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♪VOODOO LOUNGE

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Voodoo Lounge / The Rolling Stones

Love Is Strong
You Got Me Rocking
Sparks Will Fly
The Worst
New Faces
Moon Is Up
Out Of Tears
I Go Wild
Brand New Car
Sweethearts Together
Suck On The Jugular
Blinded By Rainbows
Baby Break It Down
Thru And Thru
Mean Disposition

90年代以降のストーンズについてはいろいろと賛否両論があるようで、94年のこのアルバムも評価は様々なようですが、僕はこれ、けっこう好き。
当時のストーンズは、ストーンズ本体よりもソロ活動が充実していて、キースのエクスペンシヴ・ワイノーズでのファンクぶりもかっこよかったし、ミックの『Wondering Spirit』も非常にいい出来映えだっただけに、ちょっと肩透かし感というか、60年代70年代80年代それぞれの自分たちのいい感じのところをなぞってみたような既視感は否めないとは思う。「俺たちって、こんな感じだったよな。」みたいにストーンズらしく仕上げたような。
70年代的なアナログな音を得意とするドン・ウォズをプロデューサーに持ってきたこともあって、やや音の質も古くさい。
でもね、それの何が悪いんだ、って(笑)。

確かに60年代~80年代、ロックという音楽は進化するものだった。
50年代にブルースとR&Bから進化したロックンロールは、カントリーもフォークもクラシックも取り込みながら進化を繰り返してきたし、ストーンズ自身もファンクやレゲエなんかも取り込みながら常に新しい表現方法にチャレンジしてきたバンドだけれど、一方でストーンズは、ハードロックやプログレやパンクやオルタナティブには見向きもせず、ブルースとR&Bのトラディションを根っこのところでずっと守り続けてきたバンドでもあって。
この当時、ストーンズのメンバーは50代前半。
新しいものを取り込んでいくよりも、自分たちの中に蓄積されてきたエッセンスをぎゅうっと凝縮させたようなものを作りたくなったとしても不思議ではない。
実際、曲も演奏も粒揃いだと思うよ。

中でも大好きなのは、ミックとキースのハモりが絶妙にかっこいい“Sweetheart Together”だな。
ストーンズっぽい曲ではないけど、カントリーっぽいほっこりした感じがいいよね。ミックとキースの少年時代からの絆をひしひしと感じるような感じがいい。
ファンクな“Stuck On The Jugular”やハイテンションのロックンロール“You Got Me Rockin'”や“Sparks Will Fly”もいいんだけど、このアルバムに関して言えばスロウ~ミディアムな曲の方が断然かっこいいな。
“Miss You”を少し意識したような“Love is Strong”でのミックのブルージーな歌い方とかハープとか、淡々としているようでタフで奥深い味わいが醸し出されてくる“Brand New Car”とか。バラッドなら“Blinded By The Rainbow”や“New Faces”、キースの歌う“Thuru and Thuru”と“The Worst”。あとはロカビリーっぽい“Mean Disposition”みたいなオールド・スタイルなやつね。
一般的にはストーンズはロックの王者で、いつまでも新しいことにチャレンジしてハードなロックンロールを演り続けてほしいという期待の方が高いんだろうし、このアルバムの不評を受けて次作以降はハードな曲のウェイトが高まったけど、あの2作はなんだかちょっとサイボーグ化したような感じがしていまいち深くのめりこめなくって。
個人的にはこのアルバムみたいに年相応に枯れていくようなストーンズがもっと聴きたい。
年相応に老け込んでいく中で年相応に表現されるロックンロールのスピリットに興味があるのだ。
ハードな音でなくてもにじみ出てくるロックンロールのスピリット。
進化よりも純化っていうか。
俺もこんなふうに渋いジジイになりたい、と思わせてくれるようなのがね。
だって、若けりゃいいってもんじゃない、新しければいいってもんじゃないでしょ。




・・・てなことを思いながら書きかけの記事を手直ししていたら、ストーンズ、ニューアルバム発表のニュースが!
しかもハウリンウルフやジミー・リードらのブルースをカヴァーしたアルバムだそうで。
またまた賛否が割れそうな中身だけど、僕は大歓迎!
12月2日が待ち遠しいです。



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コメント

[C2910]

LA MOSCAさん、こんにちはー。
多分「バビロン派」の方が多数派だろうなー、という気がします。確かに、かっちり作られていて、らしくない。
でも、その落ち着いた雰囲気が、けっこうしっくり来るんですよねー。普通に何回でも聴けるアルバムっていうか。
  • 2016-10-14 08:42
  • goldenblue
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  • 編集

[C2909]

俺はコレより「バビロン」派です。
ミックとキースが激しくぶつかっていびつだったり、ラフだったりして好き。
コレはすごくかっちり作られてる気がして、らしくないなって。
まあ好きですけどね、そうは言っても。
この中で好きなのは「Stuck On The Jugular」、「Sparks Will Fly」、「Sweetheart Together」です。
  • 2016-10-13 22:42
  • LA MOSCA
  • URL
  • 編集

[C2906]

名盤さん、こんにちはー。
You Got Me Rockin'もOut of Tearsも実はシングルカットされてたんですね。シングルカット曲がアメリカでトップ40に初めて入らなかったというエピソードどおりに地味なアルバムですが、けっこう好きです。
  • 2016-10-10 08:08
  • goldenblue
  • URL
  • 編集

[C2905]

このアルバム後のツアーは初来日の時より数段良かったですね。
最初の来日はストーンズがいるだけでそれなりに満足できましたが、ライヴの内容としてはイマイチだったと思ってます。
でもブードゥーラウンジのツアーは良かった。
このアルバムでは「You Got Me Rocking」「Out Of Tears」が好きです。
ニューアルバム楽しみです!

[C2904]

櫟コナラさん、こんばんはー。
確かに(笑)、あんまりいいジャケットとは思えませんが。
まぁそもそもストーンズのジャケット・デザインはいつもビミョーで、ニューアルバムもジャケットはイマイチですが。。。
  • 2016-10-09 20:58
  • goldenblue
  • URL
  • 編集

[C2903]

こんにちは。
ストーンズのアルバムが出るんですね!
goldenblueさん、教えていただきありがとうございます。
12月2日、楽しみですね。

わたしもVOODOO LOUNGEは、聴くと好みなんですが、
頻度が低いのは、このジャケットのせいかもしれません。
裏ジャケのトゲトゲを見るだけでベロが痛くなってきます笑
  • 2016-10-09 11:08
  • 櫟コナラ
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golden blue

Author:golden blue
“日々の糧と回心の契機”のタイトルは、好きな作家の一人である池澤夏樹氏が、自身と本との関わりを語った著書『海図と航海日誌』の一節より。
“日々の糧”とは、なければ飢えてしまう精神の食糧とでもいうべきもの。“回心”とは、善なる方向へ心を向ける、とでもいうような意味。
自分にとって“日々の糧”であり“回心の契機”となった音楽を中心に、日々の雑多な気持ちを綴っていきたいと思います。

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