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♪LIVE

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Live / Donny Hathaway

What's Goin' On
The Ghetto
Hey Girl
You've Got a Friend
Little Ghetto Boy
We're Still Friends
Jealous Guy
Voices Inside (Everything Is Everything)

グルーヴィーでヴァイヴレーションのある熱量の高いライヴ盤といえば、やっぱりこのアルバムははずせないな。
ダニー・ハサウェイの1971年のニューヨークとロサンゼルスでのライヴを収録したこの作品。
ただね、このアルバムのことを言葉で語るのは難しいんだよなー。
ウダウダ言っているのがアホらしくなるような素晴らしい演奏なのだ。
もうね、ここにはソウル・ミュージックのすべてがある!なんて言ってごまかしたくなるくらい。
演奏の質が素晴らしいのは当然のこと。でもそんなレコードなんていくらでもある。
そんな中でやっぱりこれいいよなー、と思うのは、結局のところは人としての温もり、体温、血の通った感情が存分にレコードの中に刻み込まれているから、なのだろうと思うわけで。

ヒトという動物は、集団生活を基本として進化し、集団生活を営むための能力がものすごく発達した動物だそうで。
その一番大きなものは言葉の発明なんだけど、言葉の発明よりももっと古くから発達してきたのが、表情や声色なんだそうだ。意識的にしろ無意識にしろ感情は表情や声色に現れるのはもちろん、そこから何かを読み取る能力もものすごく発達している。
ヒトは表情や声色で相手の感情を瞬時に受け取る。言葉の中身を吟味する以前に表情やトーンで判断するのだ。
これはかなり古くからヒトが獲得した性質のようで、表情と声色を分断することはとても難しい。試しに、アホ、ボケ、カスみたいな罵詈雑言を笑顔で言おうとしてみるといい。よっぽど訓練した人でない限り笑顔のままこの言葉に感情を込めることは難しいはずだ。謝罪を求められてとりあえずその場しのぎで謝っても「反省してない!」って怒られるのも、言葉の上での表現に表情や声色が追いつかないせい。
だから、人前で何かを表現するときは伝えたいことについて本気で伝えようとしないと本当には伝わらない。
逆に言うと、本気で何かを伝えようとしている表現については、何かしら心に残るものになる。
そして、この発達した表情や声色による感情表現は、相互信頼がある関係の中では同調作用を発生させやすい性質がある。
そこそこ親しい3人のグループのうち2人が怒っているといくら自分は楽しくてもその楽しさは半減してしまう。一方で3人のうち2人がとても楽しそうにしている中で、怒りを継続させることも難しい。怒りは怒りを呼ぶし、笑顔は笑顔を呼ぶ。笑う門には福来る、という諺は科学的にも極めて正しいのだ。

何でそういう話か っていうと、ダニーのこのアルバムの中には、そういう人間関係の表現の上での特質がよく現れ、同調作用―相乗効果の素晴らしい一面が見事に収められていると思ったから。
ダニー自身が本当に心を込めて音楽を演奏していることが演奏者に伝播する。それを受けた演奏者からのレスポンスがまたダニー自身の思いをより増幅させる。演奏陣の素晴らしく熱のこもった演奏が観客をより笑顔にする。観客からの祝福が、演奏をより豊かに、グルーヴィーにさせる。
そういう幸福な善の循環がレコードに収められ、僕も幸せな気持ちになる。僕が幸せになるのを見たあなたもきっと幸せな気持ちになるだろう。
そういう善の循環で世界がずーっとつながっていけばいいのにな、ってこのレコードを聴くと思うのです。



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コメント

[C2877]

つきこさん、こんばんはー。
セミの大合唱とダニー・ハサウェイ、夏らしくてよくあいそう。気持ちよさそうやねー。
  • 2016-08-07 20:12
  • goldenblue
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[C2876]

お風呂用のCDプレーヤーではなぜか音が飛んでしまって、今リビングで、セミの大合唱とともに聴いてるの。すっごい楽しいライヴだねー。
  • 2016-08-07 17:34
  • つきこ
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[C2870]

LA MOSCAさん、ありがとうございます。
ライヴ盤は数あれど、こういう雰囲気のものはなかなかないですね。
その場の空気感ごとパッケージされているのがライヴ盤の醍醐味かと。
  • 2016-07-28 20:20
  • goldenblue
  • URL
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[C2868]

前記事からコレに繋げてるのがサイコーです。
このライヴの空気感はちょっと他にないですね。
胸が熱くなります。
  • 2016-07-27 21:29
  • LA MOSCA
  • URL
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[C2866]

ひるのまりさん、こんばんは。
マーヴィンもいいけど、やっぱりコレですねー。
ライヴでの雰囲気、その場の空気っていうのはレコードにそのまま残りますよね、不思議なことに。
音のノリもそれを反映してめちゃくちゃ熱くて温かいですね。
  • 2016-07-19 21:49
  • goldenblue
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[C2865]

Bach Bachさん、こんばんは。
この 「MyVintage」「蔵出しCD」シリーズには基本一度選んだアーティストの時代が近い盤は選ばない方針なのですが、いやぁー、やっぱりこれは別格ですね。
ほんと言葉もないです。ホットでクールで、リリカルでグルーヴィーで、エンターテイメント性も高いのに思索的、みたいな相反する要素がこんなにしっかり共存するのがすごいです。

  • 2016-07-19 21:46
  • goldenblue
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[C2864]

私もマーヴィンのLIVEを聞いていたところですが LIVEならではの発見と 盛り上がりが たまりません!
その場のいい雰囲気が アルバムに反映されていて観客も主役のような 楽器いがいのいい役割がLIVEアルバムの魅力ですよね♪
  • 2016-07-19 18:19
  • ひるのまり
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[C2863] キター!

本当に言葉もないですよね、この大傑作アルバムは(^^)。リズムセクションの低音がずっしりしたグルーブに、いつまでも身を委ねていたいです。。

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golden blue

Author:golden blue
“日々の糧と回心の契機”のタイトルは、好きな作家の一人である池澤夏樹氏が、自身と本との関わりを語った著書『海図と航海日誌』の一節より。
“日々の糧”とは、なければ飢えてしまう精神の食糧とでもいうべきもの。“回心”とは、善なる方向へ心を向ける、とでもいうような意味。
自分にとって“日々の糧”であり“回心の契機”となった音楽を中心に、日々の雑多な気持ちを綴っていきたいと思います。

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