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♪「好きな男性ヴォーカリストベスト10」って尋ねられてもなぁ・・・

時々拝見しているブログ界隈で「七夕企画 好きな男性ヴォーカリスト ベスト10/好きな女性ボーカリスト ベスト10」 を募集するという企画をやっていた。
こういう企画、正直言うと嫌いではない。昔『PLAYER』誌の楽器別の年間最優秀アーティストなんて楽しんで見ていたし、『無人島DISC』みたいな企画も大好きだし、オールスターのファン投票だって投票したくなる。
で、投稿してみようかと思って、考え始めてみたのだが、結局選べなかった。
そもそも「ヴォーカリスト」とは何を指すのかがわからなくなってしまったからだ。
例えばジョン・レノン。例えば佐野元春。例えばブルース・スプリングスティーン。例えばジャクソン・ブラウン。例えばニール・ヤング。例えば友部正人。例えばジョー・ストラマー。例えば忌野清志郎。
思春期に大いに影響を受け今も大好きなアーティストだ。
だが、じゃあ彼らが「好きなヴォーカリスト」かといえばちょっと違うのだ。
彼らの魅力は歌唱力や歌の表現力ではなく、もっとトータルな、表現者としてのアティテュードの部分だ。
ヴォーカリストとしてではなく、彼らの紡ぎ出す作品やその作品に込めたメッセージやそのメッセージを吐き出すに至る魂の部分に共感しているわけで、つまり彼らは「好きなアーティスト」であって「好きなヴォーカリスト」とは少しニュアンスが異なる。

「ヴォーカリスト」と言われてすぐ思いつくのは、どちらかというとデヴィッド・カヴァーデイルとかデイヴ・リー・ロスとかステーヴン・タイラーとか、ハードロック系のバンドの方々なのだ。でも、彼らのことがそんなに大好きな訳ではない。少なくとも「好きな男性ヴォーカリストだ。」と力説するほどには。

では、ミック・ジャガーではどうか?もちろん好きなヴォーカリストには違いない。
けど、ミックの場合、ミックのヴォーカル云々以上に、ストーンズという偉大なバンドのヴォーカリストということが非常に大きなウェイトを占める。即ち、ミックの魅力はミックのみの魅力ではなく、ストーンズの魅力を抜きにして語ることは出来ないのであって(例えソロ作品ですら、だ)、そういう意味で違う気がする。
これは、ほとんどの大好きなロックバンドのリード・ヴォーカリストは同じことが言える。

では、例えばエリック・クラプトン。例えばロウエル・ジョージ。例えばドン・ヘンリー。例えばリック・ダンコやレヴォン・ヘルム。演奏者である以上に豊かなニュアンスを含んだ素晴らしい歌い手だと思う。
楽器を演奏しながら歌う優れた歌手は多いけれど、彼らの歌はやっぱりどこまでいっても楽器とセットなのだ。歌唱だけが魅力なのではなく、彼らの歌う歌は、その楽曲を構成する一要素としての歌なのであって、歌も他の楽器と同じ位置にある。それは、なんとなく僕が思う「ヴォーカリスト」とは違うのだなぁ。
つまり、僕が思う「ヴォーカリスト」とは、ものすごい歌の力でもって圧倒されてしまうような歌手のことなのだ。「シンガー」や「歌うたい」ではなく、「アーティスト」としての評価とは別のところで、歌唱のうまさやステージ含めた表現力のみで評価されるべき歌い手のこと。

作家としてではなく、バンドのカッコよさや楽曲の良し悪しでもなく、どんな歌を歌っても純粋に「歌い手」としての素晴らしさで評価されるべき人。
その人が歌えばすべてその人の歌になってしまうような、圧倒的な存在感を持った歌い手。


そんな基準で選んでみるとこうなりました。(←なんだかんだ言って結局選んでる。)

     
Still the Same: Great Rock Classics of Our Time  PETER WOLF   The Best of...

Every One of Us   Live in Glasgow
  

Still the Same: Great Rock Classics of Our Time/Rod Stewart
Lights Out/Peter Wolf
The Best of Southside Johnny & the Asbury Jukes/Southside Johnny & the Asbury Jukes
Every One of Us/Eric Burdon & the Animals
Live in Glasgow/Paul Rodgers


だんとつで第一位はロッド・スチュワート。
ジェフ・ベック・グループ~フェイセズ~マーキュリー時代のソロのかっこよさは当然なんだけれど、尻軽で軟派なソロの絶頂期も、最近のグレイト・アメリカン・ソングも全部好き。エンターテイナーとしての余裕を見せつつ、滲み出るどうしようもないような哀愁感。それは楽曲のスタイルがそう変わってもずっと変わらない。
この「ロック・クラシックス」も、ありきたりなようでいかにもロッドらしい選曲がいい。
2位:ピーター・ウルフ。3位:サウスサイド・ジョニー。
いずれもソウルフルでエネルギッシュでやんちゃで、でもやっぱりどうしようもなく染み付いたブルースの匂いがする。ピーターのこのアルバム、探してるけど手に入らないんだよなぁ…けっこうヒットしたし、ミックとのデュエットもかっこいいのに。
4位:エリック・バードン。ワイルド。ギラリと黒く鈍く光る。
5位:ポール・ロジャース。うまい。渋い。クイーンへの加入はびっくりしたけど、意外なほどはまってる。

以上が1位~5位。
6位以降もいろいろ選んでは見たけれど、納得いかないのでやめときます。

・・・うーん、要は「好きなヴォーカリスト」というと、男臭くてソウルフルな人を選んでしまう、ということか。


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Author:golden blue
“日々の糧と回心の契機”のタイトルは、好きな作家の一人である池澤夏樹氏が、自身と本との関わりを語った著書『海図と航海日誌』の一節より。
“日々の糧”とは、なければ飢えてしまう精神の食糧とでもいうべきもの。“回心”とは、善なる方向へ心を向ける、とでもいうような意味。
自分にとって“日々の糧”であり“回心の契機”となった音楽を中心に、日々の雑多な気持ちを綴っていきたいと思います。

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