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♪CHURCH

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Church / 川村かおり

Churchのテーマ
三日月に腰かけて
City 緑の街で
Saturday Night
ZOO
アイル・ビー・ゼア Reach Out I`ll Be There
真っ白な月 Moon On The Destiny
神様が降りて来る夜
戦争が起きたら
愛をあげたい
翼をください
僕達の国境
君に出会えたこと

『Church』は川村カオリさんがそれまでに出したシングルと3枚のアルバムからいくつかと新曲をいくつか交えた変則的な1991年発売のベストアルバム。
このレコードには17才でデビューした川村カオリさんのティーンエイジ後半の初々しい姿が生き生きと残されている。
作品提供やプロデュースは当時エコーズの辻仁成と、中村あゆみのプロデュースを手掛けていた高橋研。ストリート感のある楽曲にちょっとブリティッシュ・ニューウェイヴ系のシャープなサウンドを交えたようなアレンジで、歌われている中身はある意味ずいぶんと青くさいけれど、きゅっとせつない青春の一瞬を見事に捉えていてみずみずしい。
音程だってつたなくて不安定なんだけど、その不安定さがとても青春っぽかったりもするんだな。

 僕たちは街のLittle Twinkle Stas
 ちっぽけすぎる存在さ
 力いっぱいまたたいてみるけど
 夢はもう擦り切れそうさ
    (City 緑の街で)
 
 明け方まで開いてるブックストア
 冒険小説を買って
 ファーストフードの二階の席で 
 プロローグを読んでいるよ
 いろんなことがあったんだ今日も
 地下鉄の駅で転んだ
 みんななぜ急いでいるの? 
 カーニバルでもあるのかい?
   (Saturday Night)
 
 時がたったら忘れちゃうかな
 昼間に出てるまぬけなあの月を
     (真っ白な月)

そんなにヒットしたわけではないしテレビやなんかでよく見かけたわけでもなくどうして知ったんだかよく覚えていないんだけど、なぜか大好きでよく聴いていたことを思い出した。思い出した、ってことはつまりはすっかり忘れていたってことで、彼女の歌が思い起こさせてくれる感情というのは今はすでにすっかり過去に属しているということに他ならないんだけど。

先日、高校の同窓会があった。というか、結局は参加しなかったので正確にはあったらしい、ということなんだけど。迷いはしたんだけど、高校時代のことを思い出しても、今会いたい、と思う友達の顔がほとんど浮かばなかったんだな。誰であれ会えばそれなりには懐かしいんだろうけど、さして仲良くもなかった人達とありきたりの近況報告をして、あの頃はああだったこうだったそれが今じゃこんな感じあんな感じ、なんてあたりさわりのない会話をしてもきっと楽しくはないだろう、と思ったんだな。
十代なんてさ、そもそも楽しいもんじゃない。川村カオリさんの歌みたいに、自信がなくってもやもやして先が見えなくて不安定で苦しくて痛いもんだ。脆くてすぐに崩れそうなプライドをなんとか庇うように虚勢を張って、結果としては中身は伴わずに粗ばっかりが目立つようなそんな恥ずかしいことの方が多くって。懐かしくなんて全然ない、戻りたいともまるで思わない。
でもね、その頃の恥ずかしいことや痛いことがよくも悪くも今の自分を形成する大きな要素になっていることも確かで。
川村カオリさんの歌の傷つきやすい脆さや危うさも含んだキラキラしたイノセンス、失われてしまったのならそれはそれで構わないのだけれど、そういうものをかつて自分も持っていたということは忘れないでいようと思う。

川村カオリさんはこの後いくつかのアルバムを出した後、ニューヨークへ渡り、それからSorrowというバンドを組んで活動し、ギタリストと結婚し出産、離婚。ソロとして活動を始めた矢先に乳がんが見つかり、6年前の夏に38才の若さで亡くなられた。

同窓会に参加した友人によると、みんなそれなりにそれぞれの50才を過ごしている様子。
生きてりゃいろいろあるけどさ、みんな無事で生きていてよね。



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golden blue

Author:golden blue
“日々の糧と回心の契機”のタイトルは、好きな作家の一人である池澤夏樹氏が、自身と本との関わりを語った著書『海図と航海日誌』の一節より。
“日々の糧”とは、なければ飢えてしまう精神の食糧とでもいうべきもの。“回心”とは、善なる方向へ心を向ける、とでもいうような意味。
自分にとって“日々の糧”であり“回心の契機”となった音楽を中心に、日々の雑多な気持ちを綴っていきたいと思います。

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