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♪COVERS

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Covers / RCサクセション

明日なき世界
風に吹かれて
バラバラ
シークレット・エージェント・マン
ラヴ・ミー・テンダー
黒くぬれ!
サマータイム・ブルース
マネー
サン・トワ・マ・ミー
悪い星の下に
イマジン

カヴァー・アルバムといえば、やっぱりコレでしょ。
これは衝撃的だったな。
アルバム発売に至る諸々も衝撃的だったけど、それはそれとしても、歌そのものが目からうろこだった。

「翻訳カヴァー」っていうのは基本としては原詞を忠実に訳して歌うものだと思っていたのですが、清志郎がやってみせたのは「替え歌」もしくは「超意訳」。
♪何いってんだー、よせよー、っていう意味よりも音の響きから替え歌を作った、っていうのもすげえ、と思ったけど、それ以上にあの清志郎が「反核」とか「反戦」とかめちゃくちゃまともなメッセージを歌っている、ってことにもビックリした。僕が知っていた清志郎はそういうまともなメッセージを歌うような人ではなく、“うんざりだぜ”とか“やってらんねー”的な非生産的な、“めんどくさいことうだうだ言ってないで気持ちいいことしようぜ”ってことを歌ってきた人、むしろお堅い理屈を言う人たちを嗤ったりからかったりする人だったからだ。
替え歌としてのメッセージがとても直接的でわかりやすいだけに、このアルバムは古くからのファンからも賛否両論だった。突然“社会派”だのなんだのって言われたり 、実際この頃からRCから離れていった人もたくさんいたし、正直僕も最初は、なんか清志郎変わっちゃったな、と思ったけど、そーゆーことではなかったんだよな、とすぐに思い直したのだ。
つまり、清志郎がずっと歌っていたのは、「やりたいことをやってシアワセに生きたい」ってことだけだったのであって、キュートなラブソングも、過激なアジテートソングも、根っこは同じ、こんなことを歌いたいと思ったから歌った、ただそれだけなのだ。そして「やりたいことをやってシアワセに生きたい」という願いをを邪魔する最たるものとして「反核」や「反戦」を歌ったのだ、と。
あと、今ならこうも思う。
あれは、学生運動の時代に政治や革命を熱く語っていた同世代や少し上の世代への痛烈な皮肉を込めたメッセージだったのではないか、と。おまえらがあの頃やいやいとお説教を垂れていたのは一体何だったんだ?あの頃よりもいろいろヤバイことが起きているのに、ずいぶんと従順なお利口さんになってしまったもんだな、おまえらが何にも歌わないんなら俺が歌ってやるよ、みたいな気持ちがあったんじゃないかと。
ロックやそのルーツであるブルースはそもそも虐げられたマイノリティーの存在主張の音楽。清志郎が歌い始めた頃には反戦のデモや政治集会に参加することはインテリ学生にとっては多数派だったから、清志郎はそれに逆らって世の中を斜めから見たような歌を歌った。そんなひねくれ者の清志郎がまともなメッセージを歌いたくなったというのは、ある意味時代がとても享楽的で去勢されたような状況になってしまったから、とも言えるのかもしれない。

どうしても歌の中身に注目が寄ってしまいがちだけど、それを別にして今聴いてもこのアルバムはかっこいいよ。
G2がかなり消極的な参加になった分、山口冨士夫や三宅伸治、それにジョニー・サンダースらギタリストのゲストもたくさん呼んでずいぶんとギター志向の強い音になっていて、チャボもあまり乗り気でなかったのか当時はずいぶんと控えめだなと思ったのだけれど、渋いフレーズや奇妙なトーンでの不思議なフレーズもたくさん弾いていて実はなかなかにかっこいい。それになにより、清志郎のテンションが高くてエネルギッシュですよね。
30年近くが過ぎてもその清志郎のヴォルテージの高さはちゃんとレコードに残っていて、今も僕のケツをちゃんと蹴りあげてくれる。
そして、清志郎がこのアルバムに込めたメッセージは今も有効だ。というか、今だからこそより必要だと思う。清志郎独特のユーモアも含めて。





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Author:golden blue
“日々の糧と回心の契機”のタイトルは、好きな作家の一人である池澤夏樹氏が、自身と本との関わりを語った著書『海図と航海日誌』の一節より。
“日々の糧”とは、なければ飢えてしまう精神の食糧とでもいうべきもの。“回心”とは、善なる方向へ心を向ける、とでもいうような意味。
自分にとって“日々の糧”であり“回心の契機”となった音楽を中心に、日々の雑多な気持ちを綴っていきたいと思います。

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