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♪LIVING IN THE U.S.A

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Living In The U.S.A / Linda Ronstadt

Back in the U.S.A
When I Grow Too Old to Dream
Just One Look
Alison
White Rhythm & Blues
All That You Dream
Ooh Baby Baby
Mohammed's Radio
Blowing Away
Love Me Tender

オープニングからいきなりのチャック・ベリー・リフで始まるBack In The U.S.A。そしてラストにはアコギでシンプルに歌われるLove Me Tender。
チャック・ベリー、エルヴィス・プレスリーというロックンロール創成期の二大巨頭の曲をアルバムの最初と最後に配置して、タイトルも『Living In The U.S.A』、日本盤は『ミス・アメリカ』。
まるで世界制覇宣言のような堂々としたたたずまい。この当時のリンダ・ロンシュタットには、そういう振る舞いにふさわしい女王の貫禄がある。アメリカの女王はホットパンツにローラースケートなんだな(笑)。このジャケットはいまいちリンダっぽくなくって好みではないのですが、音はさすがの貫禄です。

作りそのものは今までの作品の踏襲で、ロックンロールとR&Bの名曲カバーと友人でもある西海岸のシンガーソングライターたちの歌、バンドも前作、前々作とほぼ同じメンバーなんだけど、なんていうか、脂が乗りきっている感じですよね。
特にかっこいいのがギターのワディ・ワクテル。キースのエクスペンシヴ・ワイノーズに入るまでその名前すらノー・チェックだったんですが、なるほどキースが惚れ込むのも納得の、渋くいなたく、着実的確で、なおかつワイルドに、自在に応用のきくプレイぶりがめちゃくちゃかっこいいです。
そこにからんでくるスライド・ギターのダン・ダグモアの渋い音。ベースのケニー・エドワーズはリンダのバンドの古株で落ち着いたリズムを刻み、ドラムは西海岸一の歌ものドラマー、ラス・カンケル。ピアノのドン・グロルニックは、ちょいとでしゃばりすぎの感じはありつつもトラディションに根差したいい音出してます。あと、美味しいとこスパッとさらっていくサックスは名手デヴィッド・サンボーン。それぞれがリンダ・ワールドのよき理解者としてツボを心得た演奏をしててそこがめっちゃいい感じ。
そして、パンクとディスコが時代を席巻しつつあった1978年に、こんなオーソドックスなロックを、自信を満々に実に堂々と歌う感じがね、かっこいい。
ホリーズのJust One Look、スモーキー・ロビンソンのOoh,Baby,Babyといった古典から、ウォーレン・ジヴォンのMuhammad's Radio、リトルフィートのAll That You Dreams、コステロのAlison、そしてかつての恋人だったJ.D.サウザーから贈られたWhite Rhythm&Blues。アップなものもファンキーなものもスロウも、なんでもこいの歌いっぷり、時折忍ばせるコブシの効いたシャウト。
西海岸のロックはアタシが背負ってんのよ!的な矜持っていうか、田舎っぽい少女が時代を背負って見せたかっこよさっていうか。
このキリッとした潔いかっこよさと、どこか初々しさも感じる清々しさは、春によくあう。
ただのポップ・ヒット・レコードと埋もれさせてしまうにはもったいない名盤です。




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コメント

[C2813]

Bach Bachさん、こんばんは。
これはあんまり注目されないけど、よく出来た質の高いアルバムだと思います。という僕もたまたま図書館にあって手に取った、って感じではあるのですが。
選曲、演奏、アレンジ、過不足のないプロフェッショナルな仕事ですね。
  • 2016-04-13 21:50
  • goldenblue
  • URL
  • 編集

[C2812] いい!

このアルバムは聴いた事がありませんでした。今見ると、ジャケットのデザインもファッションも、色んなものがあらわれている感じがしていいですね!
1曲目のチャック・ベリーから、2曲目の"When I Grow Too Old To Dream"への落差にグッと来てしまいました(^^)。良いレコードの紹介、ありがとうございます!

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golden blue

Author:golden blue
“日々の糧と回心の契機”のタイトルは、好きな作家の一人である池澤夏樹氏が、自身と本との関わりを語った著書『海図と航海日誌』の一節より。
“日々の糧”とは、なければ飢えてしまう精神の食糧とでもいうべきもの。“回心”とは、善なる方向へ心を向ける、とでもいうような意味。
自分にとって“日々の糧”であり“回心の契機”となった音楽を中心に、日々の雑多な気持ちを綴っていきたいと思います。

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