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◇この世はウソでできている

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この世はウソでできている / 池田清彦

「民主主義は、一般的には、人の自由を尊重する制度のように言われている。けれども実際には、人をどんどん不自由にしている。民主主義は少数者の立場を尊重する思想などでは決してなく、多数者の立場を少数者に押しつける思想だ。民主主義は平等を担保しない。マジョリティがマイノリティの意見を抑圧するシステムが民主主義なのである。」

池田 清彦さんは、1947年生まれの生物学者。早稲田大学教授、山梨大学名誉教授、東京都立大学理学博士で、テレビにもコメンテイターとしてよく出演しているらしいけど僕はあんまり見たことない。
のっけから刺激的な主張がありましたが、この本はそういう「当たり前と思っていることが実はウソだった」といった類のネタのオンパレード。
曰く、がん検診も健康診断も受けないほうが長生きする。医者にかかると普通のことに病名がつけられてしまうので病気が増える。ブラックバスなどの外来種を駆除しても意味がない。地球温暖化をめぐる言説はデタラメ。大麻取締法は天下の悪法である。受動喫煙の害は統計学的にも科学的にも否定されている。焼却炉起源のダイオキシンはほとんどないにもかかわらず高性能の焼却炉への切り替えに税金が多大に投入された。
池田先生が「ウソ」だと主張していることの多くは、だからといってそのことを論証するための証拠や根拠には乏しいので、真面目な人はひょっとしたら目くじら立てて怒りだしちゃうかもしれないけれど、僕のような偏屈者には、著者の反権力的な態度も含めて楽しく読めました。
いろんなところに噛みついているようには見えるけど、よくよく読めばほとんど同じ事を繰り返し主張しておられるようようだ。
つまりは、不安は商売になる。不安を煽って儲けている奴がいる、ということ。
最初は困りごとを解決するためのことであったとしてもそれが組織化されそのことで食っている人が出てくると、それはやがて組織存続そのものが自己目的化していく、というのはその通りだと思う。僕のしている仕事だって多かれ少なかれ似たようなもんだ。そういう人たちにコロッと騙されないためには、こういう物の見方、考え方もある、ということは知っておいたほうがいいのだろうと思う。

娘があんまり学校に行かなくてね。いじめとかではないようだけど、どうもいろんなことに合わせるのが辛いらしい。塾は行くし、そこそこ勉強はできるんだよ。最初は「学校行きなさい」ってうるさく叱ったんだけど、だんだんそうなのか?本当に?って思えてきてね。自分自身も学校がそんなに好きではなかったし、先生も友達付き合いも、もちろん嫌なことばかりではなかったにせようっとおしいっちゃぁうっとおしいものだった。そもそも「学校に行かない」という選択肢があるなんて考えもつかなかったから学校へ通っていただけでね、しぶしぶながら。
少なくともあれはウソだったよな、「いい高校、いい大学へ行って一流会社に就職すれば幸せになれる」って奴。あれは結局のところ、優秀な人材を集めてコキ使うことが国力のアップになると考えた国を挙げてのウソだったと思う。
一流会社、幸せか?辞令ひとつで全国に飛ばされて、住む場所すら自分で決められないんだぜ?医者、幸せか?ろくにまとまった休みも取れずに毎日長時間労働だぜ?ちょっとでもミスったら訴訟もんの事故だぜ?教師、幸せか?本当に子供たちにとっての幸せを与えることができているのか?国や社会から押し付けられた価値観を疑うことなく子供たちに押し付けてないか?教育ってのは結局使う側にとって都合のいい人材を増やすためのシステムだったんじゃないか?・・・なーんてことを考え出したら、無理に学校へ行かせることもないんじゃないかって思えてきてね。勉強の仕方さえ身につければ一生勉強はしていけるんだし、どうせ嫌なこと無理にしたって仕方ないんだからいいんじゃない?なーんてね。
そんな風に思っていたところへ、既製の価値観をぶっ壊すような本を読んだものだから、ますますそういう気分になってきてしまいした(笑)。

この世はウソでできている。
それはまぁちょっと極端な言い方で、そもそも物事には必ずいろんな側面からの見方があるのであって何が真実かというのは非常に断じにくいものなのだけれど、つまり言い方を変えれば、何を真実であるかを都合のいい方へ誘導されているのかもよ、ってことは考えてみた方がいい、ということだ。
で、もちろんだけど、この本で否定されたことが全てウソで、この本で語られたことが全て真実ってわけでもない。これを全部信じこむのなら、結局のところは家畜化された馬鹿と同じだ。
当たり前を疑ってみる、それが大事なポイント。
そもそも科学的な真実が、そのまんま人にとっての真実ではない。
公共の福祉に反しない限りという留保はあえてつけておくにせよ、自分にとっての真実は自分自身で決めさせてほしい。そのことを邪魔はしないが邪魔されたくもないもんだ。


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コメント

[C2808]

なんかその相当やばい情報みたいです
http://arcanaslayerland.com/2016/04/07/panama-papers/

ソースはここ以外にもたくさんありますし…

[C2807]

akakadさん、こんばんわ。
いまいち詳しいことはよくわかりませんんが、、、本当にヤバい情報は闇に葬られているもんなんでしょうね。
  • 2016-04-05 23:20
  • goldenblue
  • URL
  • 編集

[C2806]

今パナマ文書が話題になってますね
漏れたのはタックスヘイブンで合法なのが多いそうですがホントのところどうなのかが気になります

[C2794]

おぎてつさん、こんにちは。
そうやって見渡してみると、不安を商売にしている産業の多いこと!
とくにダイエット系と頭髪系は、そもそものニーズを業界が作り出しているような気がしてなりません。デブでもハゲでも誰にも迷惑かけないんじゃね?なんて思います。デブハゲ=悪の価値観を業界が作ってますよね。
もし北朝鮮が攻めて来たら、とか、安定した電力供給が、なんて不安をあおってはそっちへ予算を回していく人たちも・・・

  • 2016-03-13 15:50
  • goldenblue
  • URL
  • 編集

[C2792] おぎてつ

「不安は商売になる。」
これは本質をついていますね。
僕は信じていますが、「薬を飲むと病気になる」。どうしても飲まなければならない時は、量を少なくしてます。
そしてこの世は、誰かが作った「価値観」がまかり通ってしまう世の中なんでしょう、ね。洗脳怖し!

おぎてつ

[C2759]

yuccalinaさん、こんばんは。
おもしろい先生ですね。ここまで言ってヤバくないのかしら、と思うような発言もちらほらですが、長いものに巻かれない反権力的なところはなかなかロックだぜぃ、と思いながら読みました。
  • 2016-02-07 21:47
  • goldenblue
  • URL
  • 編集

[C2758]

こんにちは。
池田先生の出てる『ホンマでっかTV』は毎週見てます。いつも砕けた口調で喋っていますが、人の話をちゃんと聞いた上で、物事の本質をズバッと突いていて、私にはとても好印象です。実はエッセイ本も複数読んでおります。マツコ・デラックスとの対談本も出してますよ。
彼が常に否定してるのが、マニュアル人間です。他人が作ったマニュアルが自分に合うわけがない、経験のなかで自分なりに作り直せ、つまり、自分の頭で考えろってことでしょうね。それがポリシーになると。直ぐにコロコロと考えを変える人間は信用できない、とする一方で、絶対に考えを変えないのもヤバイと言います。それには常識を疑うことも大切なのでしょう。
  • 2016-02-07 09:34
  • yuccalina
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golden blue

Author:golden blue
“日々の糧と回心の契機”のタイトルは、好きな作家の一人である池澤夏樹氏が、自身と本との関わりを語った著書『海図と航海日誌』の一節より。
“日々の糧”とは、なければ飢えてしまう精神の食糧とでもいうべきもの。“回心”とは、善なる方向へ心を向ける、とでもいうような意味。
自分にとって“日々の糧”であり“回心の契機”となった音楽を中心に、日々の雑多な気持ちを綴っていきたいと思います。

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