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♪PLASTIC ONO BAND

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Plastic Ono Band / John Lennon

Mother
Hold On
I Found Out
Working Class Hero
Isolation
Remember
Love
Well Well Well
Look at Me
God
My Mummy's Dead

蔵出CD・初期のgoldenblue編その10。
このアルバムは痛い。
ビートルズを解散して一人になったジョンが、赤裸々に自分自身と向き合って作ったレコード。ベース、ドラム、ギター、ピアノのとてもシンプルなアレンジで歌われる裸の歌。ヒリヒリする。
ジョンの声が、もっとちゃんと見るんだ、もっとちゃんと向き合うんだ、と促してくる。首根っこを捕まれて、グイッと引き込まれてしまう。覗き込む心の底には、できれば見ずにやり過ごしてしまいたいようなドロドロが渦巻いている。
そんな感じ。

この歳になっていまさら自分自身と真っ正面から向き合いたくはない。
見えないものは無理に見なくていいし、聞きたくないことは無理に聞かなくていい。見ないふり聞かないふりもそこそこ上手になったし、それはそれでちゃんと生き延びていくには大切なことだ、と思う50代を前にした自分がいるのだ。
もういいよ、ジョン。勘弁してくれ。そう思ってしまう。
でも、これを初めて聴いたときの痛さを忘れてしまったわけじゃない。
戻りたいとは思わないけれど、そういう時期を経て今の自分があることは忘れてしまうわけにはいかないのだ。
渦巻くドロドロに向き合ったジョンの歌は、とても力強い。

♪魔法なんて信じない/アイ・チンを信じない/聖書を信じない/タロットを信じない/ヒットラーを信じない/ジーザスを信じない/ケネディを信じない/ブッダを信じない/マントラを信じない/ギタを信じない/ヨギを信じない/王様を信じない/エルヴィスを信じない/ディランを信じない/ビートルズを信じない
僕は僕を信じる/僕とヨーコを/それだけが現実だ
夢は終わったんだ/僕は夢想家だった/でも生まれ変わるんだ/僕はセイウチだった/でも僕はジョンだ/だから、続けていきなよ、友だちよ/夢は終わったんだ

自分を取り巻くまやかしを、そして時には自分自身のすべてだったようなものをひとつずつ力強く否定していきながら、自分自身を信じるんだと歌うジョン。夢は終わり、その夢が終わった場所で、自分自身であることを学ばなければいけない。
そういう場所をくぐり抜けて僕は強さを少しずつ身につけていった。
そして、これからの時代に、もう一度このスピリットを思い出す必要があるのかもしれない、となんとなくそう思っている。
下り坂を転がり始めるハードな時代に。



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コメント

[C2776]

これと黄色いレコード(笑)、確かに別格ではあります。
これを聴きたくなるときは、きっと相当重いときで、できればこれを聴きたくなるような気分にならないでいられることを願いたいのではありますが。。。
  • 2016-02-26 22:59
  • goldenblue
  • URL
  • 編集

[C2772]

コレも日常的には聴けないね、俺も(笑)
でも、同じく忘れてない。
個人的ランキングを妄想することの多い俺ですが(知ってますよねw)
コレは順位のつけられない特別な1枚です。
コレと黄色いレコードはね、順位なんか付けられない。

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golden blue

Author:golden blue
“日々の糧と回心の契機”のタイトルは、好きな作家の一人である池澤夏樹氏が、自身と本との関わりを語った著書『海図と航海日誌』の一節より。
“日々の糧”とは、なければ飢えてしまう精神の食糧とでもいうべきもの。“回心”とは、善なる方向へ心を向ける、とでもいうような意味。
自分にとって“日々の糧”であり“回心の契機”となった音楽を中心に、日々の雑多な気持ちを綴っていきたいと思います。

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