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♪LOADED

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Loaded / The Velvet Underground

Who Loves the Sun
Sweet Jane
Rock & Roll
Cool It Down
New Age
Head Held High
Lonesome Cowboy Bill
I Found a Reason
Train Round the Bend
Oh! Sweet Nuthin'

蔵出CD・初期のgoldenblue編その8。
Sweet Jane、Rock and Rollという2大名曲を収録したヴェルヴェト・アンダーグラウンドのラスト・アルバム。
これを初めて聴いたのは、高校時代のこと。友人Wの家で聴かせてもらった。
まだ海外のロックなんてヒットチャートに昇っていたようなアーティストしか知らない頃だったのだけど、今思えば、最初に聴いたヴェルヴェッツがこれでよかった。最初にセカンドとか聴かされていたら拒絶していたかもしれないもの(笑)。

アルバムはなんとも不思議にふわっとしたWho Loves the Sunで始まる。ぱーぱぱーぱー。なんだこりゃ、暗いのにのどかだな。続いてずいぶんさわやかなイントロが始まったかと思えば一転、ラフなギターのリフが轟いて、ヴォーカリストがボソボソと呟くように歌い出す。スタンディンオンザコーナー、スーツケースィンマイヘッ~。
おっ、かっこええやん、これ。ぐいっと引き込まれる。
続いてガシャガシャと雑っぽくもゴロゴロと転がっていくようなRock and Roll、さらにワイルドでちょっとストーンズみたいにラフなCool It Down、そして一転静かなNew Age。
それまでに意識して聴いた古いロックといえばビートルズのヒット曲集ぐらいだったわけで、なんだろう、ペラペラの音質とシンプルな音の構成はビートルズとそう変わらないけど、この音楽の突き放したような無愛想さ、妙にざらついてヒリヒリするような雰囲気は。
当時よく聴こえていたヒット・チャートを賑わしているロックとは明らかに違っていた。なんかゾクゾクするような震えが下のほうからせりあがってくる感じ。
そうか、これがルー・リードか。
佐野元春がインフルエンスド・アーティストに挙げていたことから想像していたイメージとは正直全然違ったんだけど、このダークな感じは何ともいえず僕の心に引っ掛かった。

気に入った様子の僕にWはご満悦で(そういえばこれより前にWにピンク・フロイドを聴かされてていて、これはまるっきりダメだった)、ルー・リードという人物がどれくらい偉大かを、ま、多分何かの雑誌の受け売りだったんだろうけど、とつとつと語りはじめる。次はシド・バレットのソロ・アルバムを買うつもりだとか、ニコのソロも出ているはずだけど見かけたことがないとか、今度心斎橋の輸入盤屋へ行こうとか、そんなことをしゃべるWの言葉なんてスルーして、僕は頭の中でもう一度、さっき聴いたばかりのSweet Janeを思い出していた。
スタンディンオンザコーナー、スーツケースィンマイヘッ~・・・
歌の中で、ルー・リードは一人で路上に立っていた。
その佇まいがかっこよかった。
作品としてはそうすごい出来のものではないだろう。まして、あのノイジーでぶっ飛んだ壊れそうに美しいヴェルヴェッツのファーストやセカンドを聴いたあとでは、どこかのどかでとてもフツーな感じがする。
でも、陰鬱で暗憺とした地下世界から一歩踏み出して外の風に吹かれるようなさっぱりした気分がここにはある。



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コメント

[C2774]

LA MOSCAさん、毎度です。たくさんコメントありがとー。
あらためて聴きなおしてみて、やっぱりこのアルバムはいいなー、と。SweetJane、Rock and Rollはもちろんですが、Cool it downがかっこいい。B面のカントリーっぽいのもけっこう好きです。
  • 2016-02-26 22:52
  • goldenblue
  • URL
  • 編集

[C2770]

初期のジョン・ケイルが居た頃とは違ったよさがありますよね、コレ。

「Sweet Jane」と「Rock and Roll」はライヴでも定番で俺も勿論、大好き。
特に後者は俺のアンセムです。

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Author:golden blue
“日々の糧と回心の契機”のタイトルは、好きな作家の一人である池澤夏樹氏が、自身と本との関わりを語った著書『海図と航海日誌』の一節より。
“日々の糧”とは、なければ飢えてしまう精神の食糧とでもいうべきもの。“回心”とは、善なる方向へ心を向ける、とでもいうような意味。
自分にとって“日々の糧”であり“回心の契機”となった音楽を中心に、日々の雑多な気持ちを綴っていきたいと思います。

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