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♪DAMN THE TORPEDOES

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Damn the Torpedoes / Tom Petty & The Heartbreakers

Refugee
Here Comes My Girl
Even the Losers
Shadow of a Doubt (A Complex Kid)
Century City
Don't Do Me Like That
You Tell Me
What Are You Doin' in My Life
Louisiana Rain

そもそも大好きなはずなのになぜだか聴き逃してしまっているアルバム、っていうのがたまにあるもので。
例えば僕の場合、これなんかがそうだった。
トム・ペティ&ザ・ハートブレイカーズが1979年に発表した3枚めのアルバム。
最初にトム・ペティのことを知ったのは"Southern Accents"、そのあとライヴ盤の"Pack Up The Plantation"が出てこりゃかっこいいやー、ってなったんだけど、その前のアルバムである"Long After Dark"を聴いたらいまいちしっくり来なくてそのまんまになってしまったのだ。
その後トムは、ディランとのツアーに出たりトラベリング・ウィルベリーズに参加したりと、ロックの歴史を作ってきた先達へのリスペクトを隠さず、むしろ先達たちへ刺激を与える触媒のような渋い存在感を果たし、“Let Me Up”やソロ名義での“Fullmoon Fever”なんて素晴らしい作品を世に送り出し・・・なんて頃になってようやく代表作と呼ばれるこのアルバムを聴くことになったのです。

オープニングのRefugeeからHere Comes That Girl、Even The Losersと続く3曲は、これもバックスクリーン3連発級のラインナップ。
かっこいいよなー。シャープなギターとトム・ペティのぶっきらぼうでクセのある歌い方。線は細いんだけどギラッと尖っていて。
この歌はメッセージもシャープだ。

 Listen,
 It don't really matter to me baby
 You believe what you want to believe
 You see you don't have to live like a refugee

  俺にはどうでもいいことなんだけどよ、
  自分が信じたいと思ったことを信じなよ
  逃亡者みたいに生きる必要なんてどこにもないんだ

決めのセリフはこれ。

 Hii!
 It don't make no difference to me baby
 Everybody's had to fight to be free

  誰だって自由になるためには
  闘わないといけないのさ

こういうかっこいいメッセージがビシッと決まるのがトム・ペティのかっこよさ。
クールというか、暑苦しく大袈裟になりにくいんだよな。
この頃のトムはよくブルース・スプリングスティーンとも比較されていたようだけど、キャラクターとしてはずいぶん違うと思う。
良かれ悪かれ“ボス”と称されるスプリングスティーンの懐の広さとそれ故の抱え込んだ苦悩の大きさに比べるとトムの方がもっとチンピラっぽくって一匹狼っぽい。ハードなメッセージを歌っても啓蒙色やプロテスト色は薄いよね。ボスが存在そのもので統率力を発揮するとするならば、トムはもっとクールで、でも裏でこっそり動いてみんなをまとめあげている、みたいな。ま、あくまでイメージですが(笑)、スプリングスティーンがこれも良かれ悪かれディラン的な太いアコギの音とするならば、トムは、おそらく大きな影響を受けたであろうロジャー・マッギンの12弦ギターみたいな感じだ。

ソウルフルなオルガンとコードをたてに刻むピアノがかっこいいDon't Do Me Like Thatも大好きな名曲。
「こうしてほしい」「こうでありたい」ではなく「こんなふうにはしないれくれ」というのがトムらしい気がするんですよね。他のことはどーでもいいけど、俺のここだけは守らせてくれよ、的な。
そしてラストはしっとりとクールにLouisiana Rain。
散々悪態ついて尖ってみせた男がホロッとこぼす弱い本音、みたいなところにグッと心揺すぶられてしまう。

 Louisiana rain is falling at my feet
 Honey, I'm noticing a change as I move down the street
 Louisiana rain is soaking through my shoes
 I may never be the same when I reach Baton Rouge

  ルイジアナの雨が俺の足を濡らす
  一歩踏み出すたびに、変わりゆく気持ちに気づいてきたよ
  ルイジアナの雨
  靴はもうびしょ濡れだ
  俺はもう今までと同じじゃない
  バトンルージュに着く頃には

こういうトム・ペティのクールなかっこよさは、むしろ年を食うごとにじんわりしみるようになってきた。
理解するのに時間はかかるけど、よさがわかれば惚れ込んじゃう、そういうタイプの人っていますよね。

ちなみにアルバム・タイトルのDomn The Torpedoesとは、南北戦争のときに北軍を率いた提督ファラガットの言葉からの引用だそうで、
"Damn the torpedoes, full speed ahead!"
「機雷なんぞクソ食らえ、全速前進!」
という意味なんだそうだ。
やってられっか、いてもうたれ!って感じ、ロックンロールだよな。


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コメント

[C2799]

Colさん、こんにちは。
そうですね、たぶんトム自身はそんなに変わっていなくて聴く側の私たちのほうに何か変化があったんでしょうね。お肉の塊や油ものが大好物だったのが、魚や和食のおいしさがわかるようになる、みたいな変化(笑)。

  • 2016-03-18 08:23
  • goldenblue
  • URL
  • 編集

[C2798] Tom Petty

goldenblueさん
私もサザンアクセンツから始めましたが、最初はなかなかのめり込めませんでした
赤いギターを抱えてアメリカンガールなんて歌ってるサラサラな髪をした優男ですもんね(笑)
年をとってからいろんなバランスが整ってきてグンと魅力的になった、、、と思うのは私だけ?で彼はずっと変わっていないのでしょうね

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Author:golden blue
“日々の糧と回心の契機”のタイトルは、好きな作家の一人である池澤夏樹氏が、自身と本との関わりを語った著書『海図と航海日誌』の一節より。
“日々の糧”とは、なければ飢えてしまう精神の食糧とでもいうべきもの。“回心”とは、善なる方向へ心を向ける、とでもいうような意味。
自分にとって“日々の糧”であり“回心の契機”となった音楽を中心に、日々の雑多な気持ちを綴っていきたいと思います。

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