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♪TREASURES

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Treasures / 山下達郎

高気圧ガール
スプリンクラー
ゲット・バック・イン・ラブ
風の回廊
アトムの子
エンドレス・ゲーム
踊ろよ、フィッシュ
ターナーの汽罐車
土曜日の恋人
ジャングル・スウィング
世界の果てまで
おやすみロージー(Angel Babyへのオマージュ)
クリスマス・イブ
さよなら夏の日
蒼氓(そうぼう)
パレード

中学生の頃に意識的に音楽を聴き始めてから、かれこれもう35年以上。早いものですよね。
その当時すでにトップ・ミュージシャンで、かつ今までずっと継続して質の高い音楽を作り続けているミュージシャンといえば、井上陽水、小田和正、松任谷由実、桑田佳祐、そして山下達郎の名前が浮かぶ。
山下達郎って、最初はもっと軽薄なミュージシャンだと思ってたんだ。
夏・海・タツロー、という言葉があったくらい、おしゃれでイケてるナウなヤング(笑)向けのリゾート・ミュージックの人だと。かっこいいと思ったよ。“Ride On Time”も“Sparkle”も。『For You』もよく聴いていたし。でも、田舎の新興住宅街のしょぼくれた童貞中学生にとっては、共感要素ゼロだったのだ。かすりもしない(笑)、憧れすらしようもない。
で、どんどんロックを聴くようになってからはどんどん遠ざかっていった。あんな軽薄なもの、聴けるもんか、って。
それが、意外とシリアスなミュージシャンなんだな、って思ったのが、大学生になってから出た『Pockt Music』。聴けるもんか、って言いながら聴いてたのね、実は(笑)。で、その次のアルバム『僕の中の少年』でそれが決定的になった。このベスト・アルバムの中で唯一シングル曲ではないのに収められている“蒼氓”が入っていた。

 さみしさは琥珀となり ひそやかに輝き出す
 憧れや名誉はいらない 華やかな夢もほしくない
 生き続けることの意味 それだけを待ち望んでいたい
      (蒼氓)

あ、あの達郎さんがこんな歌を歌うんだ、って。
もちろん、シリアスだったら高級だ、色恋沙汰やリゾートの音楽が低俗だ、っていうものではない。
でも、表現するということは何であれ生き方と向き合うということであって、達郎さんの音楽にはそういう人生と真摯に向き合うアティテチュードが表現の核にあるのを感じるのですよね。表面上に見えている部分の奥にある見えていない部分、それがあるからこその深みというか。

学究的に深く音楽を追求し、マニアックな音作りをするミュージシャンはたくさんいる。ポップなフォーマットで広くリスナーを獲得するミュージシャンもたくさんいる。自分の思いを歌にのせて歌うミュージシャンもたくさんいる。
でも、クリエイターとして「パッと聴いてもいい」、「じっくり聴き込んでもいい」、一般リスナーからマニアまでを広くとらえるクオリティーとポップさを保ちつつ、パフォーマーとしては自己がにじみでるような親しみのある表現をし、批評家としての視点と表現者としての深みを併せもった人というのはそうそういないのではないかしら。
そういうスタンスから生み出された作品は、安っぽい「真実」だとか「自由」だとか「魂」だとかいうボキャブラリーで余ったエネルギーをただ吐き出すだけの自称ロック、なんかよりも遥かに真実により近く、自由で、魂が込められているような気がするのです。





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コメント

[C2932]

LA MOSCAさん、毎度です。
トシのせいですかねぇ、自称ロック的なものにどんどん興味がなくなってきてて。
「蒼氓」はトシとるごとにますます深く感じるようになってきました。
  • 2016-12-05 07:48
  • goldenblue
  • URL
  • 編集

[C2931]

軽薄だったのは受け手というかメディアの方だけで
ヤマタツ本人は全然そんなことなかったんだろうね、当時から。
ガキだったからわかんなかったけど・・・。
「蒼茫」はすごいいいよね。俺も大好き。

「パッと聴いてもいい」、「じっくり聴き込んでもいい」
まさにそう。それがスゲーなって。
俺も自称ロックの100倍はロックだと思う。
スピリットを感じるから。
  • 2016-12-04 23:04
  • LA MOSCA
  • URL
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golden blue

Author:golden blue
“日々の糧と回心の契機”のタイトルは、好きな作家の一人である池澤夏樹氏が、自身と本との関わりを語った著書『海図と航海日誌』の一節より。
“日々の糧”とは、なければ飢えてしまう精神の食糧とでもいうべきもの。“回心”とは、善なる方向へ心を向ける、とでもいうような意味。
自分にとって“日々の糧”であり“回心の契機”となった音楽を中心に、日々の雑多な気持ちを綴っていきたいと思います。

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