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♪OUR FAVOURITE SHOP

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Our Favourite Shop / The Style Council

Homebreakers
All Gone Away
Come To Milton Keynes
Internationalists
A Stones Throw Away
The Stand Up Comics Instructions
Boy Who Cried Wolf
A Man Of Great Promise
Down In The Seine
The Lodgers (Or She Was Only A Shopkeeper's Daughter)
Luck
With Everything To Lose
Our Favourite Shop
Walls Come Tumbling Down
Shout to the Top

ポール・ウェラーのことをちゃんと知ったのはスタイル・カウンシルになってからのことだった。
“スタイル評議会”というユニット名が象徴するように、ソウルを中心に、ファンク、ラップ、ジャズ、ボサノヴァといろんなスタイルを取り混ぜたハイセンスでおしゃれな音は、やたらとスッキリかっこよく決めたファッションとともに、ちょっとお坊ちゃん風の気どったいけっすかない奴だと思ったんだな、最初は。
それが、うわぁっ!めっちゃかっこええやんっ!!ってなったのが“Walls Come Tumbling Down”。
こんなにもポップでおしゃれなサウンドにこんなにもハードなメッセージをのっけることってアリなんだ!という新鮮な驚きと、実際にそのサウンドとメッセージのかっこよさと。

  僕たちはいつだって「当局を信用せよ」と教え込まれてきた
  でもやってみるまでわからないじゃないか、みんなが力を合わせたらどうなるか
  やってみないか?それとも泥に埋もれて暮らすのかい?
  物事は変えていくことができる
  壁は崩れ落ちるんだ
         (Walls Come Tumbling Down)

ホーンの煽り感、リズムの疾走感、ポール・ウェラーのちょっとフラット気味に吠えるようなシャウト、この曲はもう、全部がかっこいい。

このアルバムが発表された1985年のイギリスは、かつての大英帝国の栄光にしがみついたいわゆる英国病的なものからの脱却を図ったサッチャー政権による強硬的な改革が行われていた頃。そしてその民意を顧みないやり方と、改革のひずみによる失業者の増大や貧富の格差の広がりについてのウェラーの憤りがアルバム全体を貫くメッセージとなっている。
その後、実際に東西の壁は崩れ、冷戦は終結したけれど、社会主義の崩壊と同時に世界はいわゆる新自由主義が幅を利かすようになり、その結果として世の中の格差はより膨れ上がっていった。
実際、このアルバムの歌は今の時代のこととしてとらえてもおかしくないくらい全く違和感がない。むしろバブルに浮かれていた当時よりも今の方がリアルに響く、とさえ感じる。

  ベッドから這い出すと、天と母さんをののしる父親の声がする
  30年勤めた会社に首を切られて13か月
  中には運の悪い奴もいるってことさ
  誓ってもいいけど
  すべてはこんな経済政策を立てたろくでなしのせいだ
        (Homebreaker)

  食料品店には閉店の看板がかかっている
  この時代を象徴するサインだ
  何もかも消えてしまった
  その一方でパーティーに明け暮れる奴らがいる
  強欲な商人が手をもんでいやがる
  市民から盗んだ利益でまたひと儲けを企んでいる
        (All Gone Away)

  奴らの政権公約、でたらめだらけのスピーチ
  見ると聞くとでは大違い
  資格を与えられ、保護を受けてもなお
  すべてを失うしかない人々がいる
        (Everythig To Loose)

込められたメッセージはシビアで辛辣なのに、曲そのものはクールでポップで全曲シングル・カットできそうなくらいで、とても心地よい。それはポール・ウェラーがリスペクトしてきた60年代のモッズや、その連中がリスペクトしていたソウルにルーツをたどることができるけど、ポール・ウェラーのフィルターを通してより洗練されより研ぎ澄まされた感じがあるよね。ミック・タルボットのピアノやオルガンもほんといい味出してるし、コーラスのD.C.リー嬢も素敵。特にこのアルバムでのコンビネーションは最強だな。納得いかないことはいっぱいあるけど、口角泡飛ばして叫ぶのではなく、こんなふうにクールにポップに異議申し立てしたいものだな、と思う。

大震災やリーマン・ショックのような重大事態が起きない限り粛々と実行する、と言っていた2017年4月からの消費税増税さえも延期しようという動きすらある現政権。明らかに選挙対策。騙されちゃいけない。甘そうなエサで釣って政権を維持したあとに奴らが計画を練っているのはうるさく文句をいう国民を黙らせるような政策ばかりだ。奴らがどんなふうに国民を見ているかは、「保育所落ちた、日本死ね。」の呟きを民主党が国会で取りあげたときの答弁にはっきりと現れている。「匿名では対処しようがないのであります。」という首相の態度、「だから誰が書いたんだよ!」っていう野次。真剣に切羽詰まった末の呟きでさえ政争の具としか捉えることができないのがあの人たちだ。
だけど、希望はある。ああいう呟きがあっという間に拡散される潜在的な怒りの中に。「保育所落ちたの私だ」のプラカードを持って国会前に集まった人々の行動のようなものの中に。

Governments crack and systems fall
'cause Unity is powerful
Lights go out!
Walls come tumbling down!


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Author:golden blue
“日々の糧と回心の契機”のタイトルは、好きな作家の一人である池澤夏樹氏が、自身と本との関わりを語った著書『海図と航海日誌』の一節より。
“日々の糧”とは、なければ飢えてしまう精神の食糧とでもいうべきもの。“回心”とは、善なる方向へ心を向ける、とでもいうような意味。
自分にとって“日々の糧”であり“回心の契機”となった音楽を中心に、日々の雑多な気持ちを綴っていきたいと思います。

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