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♪BLANK GENERATION

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Blank Generation / Richard Hell and The Voidoids

Love Comes In Spurts
Liars Beware
New Pleasure
Betrayal Takes Two
Down At The Rock And Roll Club
Who Says? (It's Good To Be Alive?)
Blank Generation
Walking On The Water
The Plan
Another World
I'm Your Man
All The Way

梅雨。じっとり湿気がこもって不快指数が高まる、あんまり好きじゃない季節だな。
蒸し蒸しするなぁ、と思えばなんとなく爪先や指先は冷えていたり、なんとも体調のコントロールが難しい季節です。頭ばっかりのぼせ気味になっちゃうんですよね。
毒をもって毒を制す、ではないけれど、不快指数には不快指数を、ってなことでリチャード・ヘルの登場です。
基本文系、スポーツは嫌いではないけれど体育会系筋肉バカとは波長があわない自分としては(笑)、リチャード・ヘルの頭でっかちさがなんとも好き。
ガリガリの筋肉のヘロヘロの肉体で無理して虚勢張っている感じがいい。性格的には絶対嫌な奴なんだろうけどね(笑)。
歌はヘロヘロ、ベースも決して上手いとは言えない。自分で作ったバンドは相棒だったギタリストとケンカして辞めてしまう。それも一度ならず二度も。このアルバムでせっかく少し火がついたのにドラッグに溺れてブレイクの機会を逃し、セカンドを出したのはパンクの時代が過ぎ去ったあと。相棒だったギタリストがジャンキーらしさをもったまま死んで永遠になったのに、ヘルは今も無様に生きている。正直かっこよくはない。でもそのかっこ悪さ、無様さも含めてなぜか共感してしまうのです。
日常的に聴く音ではないけれど、ごく稀に、無性に聴きたくなる。リチャード・ヘルでなきゃだめなんだ、というときがある。

♪生まれる前から言ってたんだ
 「ここから出してくれ」って

 どうせ空っぽの世代
 やるのか、去るのか、どっちでもいい
      (Blank Generation)

ヨレヨレでヘロヘロでエキセントリックなヘルのヴォーカル、キリキリと痙攣するようなロバート・クワインのギター。ペラペラな音で性急に刻まれるリズム。それはほとんど聴き手の称賛を拒むようにがさつでぶっきらぼうで不愉快さに満ちている。
だけどそこにある、「誰が何といおうと、俺が、今、歌うことに意味があるんだ」感が、なんかこう、かきむしられるみたいにかっこいいんだよな。
そういえばエキセントリックっていう言葉。通常使われる意味としては「常軌を逸した」「異常な」「とっぴな」「風変わりな」というような形容詞なんだけど、元々は幾何学の言葉で、「偏心=円や球などが中心がズレている」という意味の言葉なんだそうです。
中心がずれている、心が偏っている、っていうのはすごくリチャード・ヘルっぽい。
そんな偏った心だからこその軋みがこのレコードにはある。

今更そんな破滅的な生き方には憧れはしないけれど、だからといって100%真っ当に健全な精神的肉体的生活を送っているわけでも当然あるはずはなく、やっぱりそれなりに日々の生活の中で軋みはあるわけで。
業績が悪いとか、浮上の兆しが見えないとか、危機感持って向き合えてないとかね、状況がよろしくないときはもうけちょんけちょんにやられるからね。ムカつくんだけどキレてもしょうがない。我慢するほどよりしんどくなる。軋む。
そういうのはなんとか大きなズレにならないように日々細々と繕ったりしながらなんとかやってきているわけだけど、でもたまにはそういう軋みをちゃんと解放してやることも必要で。
リチャード・ヘルの歌う軋みがとても愛おしく感じられるのは、そういうときなのかもしれない。




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コメント

[C2856]

yuccalinaさん、こんばんは。
僕はコレ、後聴きなのです。興味を持った頃はCD出回ってなくて。でも、ボーナストラックでなかなかエキセントリックなシナトラのカバー曲が入っててかっこいいです。

この人のこの当時のパンクっぷりからすれば、もし早くに亡くなっていればもっと伝説のヒーロー扱いされたんだろうに、という残念な気持ちが、かっこ悪く生き続けているってことなのですが、かっこ悪く生き続けていることが悪いことだとは僕も思っていませんです。
自分もかっこ悪く生き続けていくし、そもそも当人からすれば「ほっとけ!」って感じですよね。
  • 2016-06-28 22:36
  • goldenblue
  • URL
  • 編集

[C2855]

こんにちは。
これ、ジャケ違いで持ってました。
胸にYou make meって書かれてたやつ。
今見たら、何でも社会のせいにする犯罪者の言い訳みたい、とか思ってしまった。が、当時は共感してたんだなあ、としみじみ。
Hellを名乗った時から、生きるも地獄、死ぬも地獄が約束されていたのかもしれませんぐ。自業自得ってやつかな?
でも、生き続けるのがカッコ悪いとは、私は全然思いませんです。死ぬも生きるも自分の意志だけで決まってる訳じゃないしねえ。
  • 2016-06-28 08:53
  • yuccalina
  • URL
  • 編集

[C2854]

LA MOSCAさん、こんにちは。こちらこそご無沙汰ですー。
リチャード・ヘル、ふるまいそのものがパンク、というか。
どうしようもなくズレちゃう感がパンクですね。

  • 2016-06-26 10:30
  • goldenblue
  • URL
  • 編集

[C2853]

お久しぶりです。
この記事はスルー出来ませんね(笑)
この人のことを語り出すと長くなりそうですが手短かに(笑)

俺は2ndの『デステニィーSt.』の方が愛着ある、実は。
それこそ無様さも含めて。

でも、この1stにはgoldenblueさんが仰るように「誰が何といおうと、俺が、今、歌うことに意味があるんだ」感に溢れててそこがいい。
時代と刺し違えたとでも言うか。

この人に強く思い入れるのは、このズレっぷりにシンパシー抱けるからかもしれないですね。

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golden blue

Author:golden blue
“日々の糧と回心の契機”のタイトルは、好きな作家の一人である池澤夏樹氏が、自身と本との関わりを語った著書『海図と航海日誌』の一節より。
“日々の糧”とは、なければ飢えてしまう精神の食糧とでもいうべきもの。“回心”とは、善なる方向へ心を向ける、とでもいうような意味。
自分にとって“日々の糧”であり“回心の契機”となった音楽を中心に、日々の雑多な気持ちを綴っていきたいと思います。

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