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♪BILL WITHERS' GREATEST HITS

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Bill Withers' Greatest Hits / Bill Withers

Just The Two Of Us (With Grover Washington Jr.)
Use Me
Ain't No Sunshine
Lovely Day
I Want To Spend The Night
Soul Shadows (With The Crusaders)
Lean On Me
Grandma's Hands
Hello Like Before
Who Is He What Is He To You

秋も深まるにつれ、懐の深い歌ものが恋しくなります。
どこか不器用でゴツゴツしていて、でもどこか繊細でやわらかくて、おおらかというか懐が深いというか。
というわけで、ビル・ウィザース。
はっきり言って地味です。
きらびやかさやかっこよさ、いわゆるスターっぽさとは無縁。泥臭くて男臭くはあるけれど、いわゆる親分肌兄貴肌のやさぐれブルース・マン的なワイルドさは微塵もなく、ジェントルだけどキザっぽい男のそれとはまるで違う。まるで黙々と働く職人のように寡黙で、繊細。遠慮がちで自信なさげに淡々としているけれど、こと仕事においてはプロフェッショナル。

ビル・ウィザースはウエスト・ヴァージニア州スラブフォークという小さな田舎町で六人兄弟の末っ子として生まれ、17才のときに海軍に入隊。9年間在籍し、その後飛行機の整備士など数々の仕事を転々とし、デビューしたのは30才を過ぎてから。また、生来の吃音であったという。
いろんな経験をしてきたんだろうな、若気のいたりで調子にのって人を傷つけたこともあったのだろう。そして傷つけられもしたのだろう。そんないろんな経験を踏まえた深みがこの人の声にはある。そしてその深みのある声は、とても優しい。

優しさというのは心の許容量のことだ、って昔誰かが言っていた。
相手のことをどこまで許せるか、どれだけ受け入れられるか。相手のふるまいの背景にあるもの、心の奥にあるものをどれだけ慮ることができるか。
僕は心が狭いから、ついつい「むかつく」だの「許せない」だの「いいかげんにしろ」だのめちゃくちゃ言っちゃってから、ああ、またあんなこと言っちゃったな、って反省してばっかりなんだけど、それでもいろんな経験をして、心の許容量は少しずつだけど広がってきているようには思う。まぁ、周りの人から見たときそれはどうなんだかよくはわからないけれど。
優しいだけの男になんてなりたくはないと思ってきた。嫌われても煙たがられても、自分の主張はするぜ、って。
でも、最近特に思うんですよね。
そんなふうに突っ張ってはみても、やっぱり一人では生きられない。自分と違う立場の人のふるまいを一度受け入れたり、いちいちひっかからずに受け流したり、ってことも大切だな、って。
つまらないことにいちいちこだわるよりも、もっと懐を広くもって余裕があるほうがかっこいいよな、って。
たぶん、小さなことにこだわることが自分自身の証だと思っていたんだと思う。でも、もう、いちいち小さなことにこだわらなくっても、そうそう揺るぎはしないんじゃないか、って。

ビル・ウィザースの懐深くあたたかい声には、ついついそんなことを考えさせられてしまうのですよね。
深まる秋、人生もいつのまにかどんどん秋深くなっていく。
それはそれでいいことだ。
秋には秋の楽しみがあるはずだもの。


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[C2924]

ezeeさん、毎度です!
グローヴァー・ワシントンJrとの“Just the two of us”みたいなメロウなものから、ミックも演ってた“Use me”みたいなファンク、フォーキーなのもゴスペル色の濃いのも、なんでもありで全部ええ感じ。
職人芸ですわ。

  • 2016-11-19 20:36
  • goldenblue
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[C2923]

yuccalinaさん、こんばんは。
ビル・ウィザース、どこか素朴な魅力がありますよね。
苦労人ならではの優しさ的なものが、ほっと落ち着いた気持ちにさせえてくれます。
  • 2016-11-19 20:30
  • goldenblue
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[C2922]

まいど! 
黙々と働く寡黙な職人。。うまいこと言いまんなぁ
ほんとそんな感じですよね。この人。
また再びいろいろ聴いてみます!
  • 2016-11-19 01:19
  • ezee
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[C2921]

こんにちは。
ビル・ウィザーズは、Old Grey Whistle TestのDVDで初めて知ったのですが、一目で好きになりました。そうそう飛行機工場の話も、OGWTのプレゼンターがしてたなあ。
吃音って確かロジャー・ダルトリーもそうでしたよね。彼の場合それを活かす歌い方をして逆に受けたそうですが、、。
  • 2016-11-18 08:41
  • yuccalina
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[C2920] goldenblue

サーシャさん、ご訪問ありがとうございます。
なんだかんだでうだうだと10年くらい書いてます。演奏するほうはとても人前では、、、のレベルですが、聴くのはもうかれこれ35年。
duke氏とも音楽の好みが近くてblogを通じて知り合って、うーん、かれこれ8、9年になりますか。
今後ともよろしくお願いしまーす♪

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golden blue

Author:golden blue
“日々の糧と回心の契機”のタイトルは、好きな作家の一人である池澤夏樹氏が、自身と本との関わりを語った著書『海図と航海日誌』の一節より。
“日々の糧”とは、なければ飢えてしまう精神の食糧とでもいうべきもの。“回心”とは、善なる方向へ心を向ける、とでもいうような意味。
自分にとって“日々の糧”であり“回心の契機”となった音楽を中心に、日々の雑多な気持ちを綴っていきたいと思います。

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