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♪ELVIS PRESLEY

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Elvis Presley / Elvis Presley

Blue Suede Shoes
I'm Counting On You
I Got A Woman
One-Sided Love Affair
I Love You Because
Just Because
Tutti Frutti
Trying To Get To You
I'm Gonna Sit Right Down And Cry (Over You)
I'll Never Let You Go (Little Darlin')
Blue Moon
Money Honey

BONUS TRACKS
Heartbreak Hotel
I Was The One
Lawdy, Miss Clawdy
Shake, Rattle And Roll
My Baby Left Me
I Want You, I Need You, I Love You

2016年になりました。
このエルビス・プレスリーのメジャーでのファースト・アルバムが発売されたのが、ちょうど60年前の1956年。
サン・レコードでの成功を手にメジャーのRCAと契約したプレスリーは、1956年1月に二度のセッションで一気にレコーディングを行い、シングルHeartbreak Hotelをリリースし、8週間に渡って1位を獲得。3月にアルバムをリリース、10週間連続でヒットチャートの1位を獲得する大ヒット。I Want You,I Need You,I Love You、Hound Dog、Don’t Be Cruel、Love Me Tenderなどを次々とチャートの1位に送り込み全米中にエルヴィス旋風を巻き起こした。
一方で若者たちをかどわかす音楽だとしてレコードを焼く運動が起きたり、歌うときの腰つきが扇情的であるとされて裁判所から禁止令が出たり、タキシードを着てテレビ出演させられたりと、このエルヴィスの登場を認めない大人たちの間での論争を巻き起こす社会現象となっていった。
それはひとつの時代を変える事件だった。
それから60年。還暦である。このアルバムが出たときにリアルで驚喜した当時の子どもたちはみんなほぼ70代以上ということである。ということは、このレコードが出たときに眉をひそめて揶揄し排除を叫んだ大人たちはもうほとんどこの世にいなくなってしまったということでもあって、カウンター・カルチャーとして出発したロックンロールは今やすっかりオーソリティーになってしまったということでもある。プレスリー本人も兵役からの帰還後はすっかり資本主義のルールに取り込まれた商売第一のスターになってしまったことが物語るようにそもそも、商業資本と結びついて爆発的な広がりを成し遂げたロックンロールにはそうなってしまう要素は最初から組み込まれていたものだったのかもしれない・・・なんてことを論じたいわけではないのだけれど。

よく「ビートルズがすべての始まりで、ビートルズがいなければ今のロックは存在しない。」みたいにビートルズを賛美する論調があるけれど、僕はその論には否定的な考えを持っている。ビートルズが世に出たのは時代の必然であり、仮にビートルズではなかったとしてもその数年以内には別のバンドが同じように世の中を変えるようなブレイクをしたはずだと思うのだ。
でも「プレスリーがいなければ今のロックは存在しない」という考えには強く賛同する。
ロックンロールという音楽は、そもそもをたどっていけば黒人たちの間で歌い演奏されていたブルースやジャズが融合し発展したリズム&ブルースに、白人のカントリーの要素を取り込んだもの。54年にはビル・ヘイリーが、55年にはチャック・ベリーがロックンロールと呼ばれる音楽を演奏してはいるものの、ビル・ヘイリーは元々はカントリーを演奏していた髪の薄いおっちゃん、そしてチャック・ベリーは当時はかなり差別の激しかった黒人であって、それなりに多くの支持は集めたではあろうもののひとつの局地的な支持を得る音楽の一形態に留まって、全米中の若者たちが熱狂するような騒ぎにはならなかった可能性が高い。
それを可能にしたのは、エルヴィスが白人の若者で、しかも男前だったから、なのだと思う。
若くてハンサムなエルヴィスが熱狂的にセクシーに歌ったからこそ、ロックンロールはブレイクした。やや極端な意見かもしれないけれど、エルヴィスがデブの醜男だったら絶対にロックンロールの隆盛はなかった。ロックンロールがメジャーになるためにはエルヴィスでなければならなかったのだ。

いやー、やっぱりかっこいいっすよ、エルヴィス。
Blue Sued Shoesの最初のカウントからもうゾクゾクする。
I Got A Woman、Money Honey、、、今聴いてもカール・パーキンスやレイ・チャールズ、クライド・マクファターらの原曲よりもぶっとんでいてエキサイティングでスリリング、リトル・リチャードのTutti Fruttiはまぁ原曲もかなりイカレているだけあって爆発力で負けているとはいえ、 リチャードのワッパバドゥバッパワッバブーーーン!なんていうシャウトをそのまんま演ること自体がすごくファンキーなことだったはずだ。
そんなロックンロール・ナンバーのバランスをとるように配置されたJust Because、Tryin' to Get to You、 I'm Gonna Sit Right Down and Cry (Over You) といったカントリー・ナンバーや、I'm Counting On You、I Love You Because、 I'll Never Let You Go (Little Darlin')、そして当時ですら20年も前のヒット曲だったBlue Moonといったスロウ・ナンバーがまたかっこいいのだ。
甘いけれどべったりと甘ったるくないというか、もっちゃりしないというか、キレがあるというか、表裏一体の甘さとほろ苦さを見事に表現する奥行きの深さや、ドクドクと脈打つようなスロウならではのビート感があって。
よく言われるエルヴィスの功績=黒人が発明したロックンロールを白人の若者がプレイした、ということのみならず、どっぷりと当時の白人テイストなカントリーやスタンダード・ナンバーを実に黒っぽいフィーリングで演ってみせたということにも、エルヴィスによる白人と黒人の文化の融合があったのだな、なんてことを今更ながら感じたりするのです。


とまぁ、そんなこんなで2016年。
今年もうだうだ書いていきますので、ひとつおつきあいのほどを。



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コメント

[C2737]

ひるのまりさん、新年おめでとうございます。

エルヴィスには元々そんなに興味なかったのですが、つながりから遡っていくとやっぱりエルヴィスがいてこそ、黒人たちのR&Bが全世界規模でロックに進化していった大きなポイントだったな、と。歴史遡っていくのが好きなんでしょうね、分析というよりは屁理屈こじつけなんですが(笑)。

今年もよろしくお願いしまーす。
  • 2016-01-05 22:06
  • goldenblue
  • URL
  • 編集

[C2736]

BachBachさん、新年おめでとうございます。
今年もよろしくお願いします。

エルヴィスのイメージ、昔はラスベガスの成金のイメージしかなかったのですが、この時期のはほんまカッコいいですねー。
パフォーマー、ショウマンとしても超一流だったと思います。
しかし、教科書にも載ってたとは知らんかったです。。。
  • 2016-01-05 22:01
  • goldenblue
  • URL
  • 編集

[C2735]

ezeeさん、新年おめでとうございます。
うちの父親はエルヴィスの二つ下でしたが、エルヴィス聴いてた感じはなかったですね(笑)。
ロックにはルックス、というか、雰囲気や佇まいのカッコよさも重要ですな。カッコよいことやってる人はやっぱりカッコいいです。
では、今年もよろしくおねがいしまーす。
  • 2016-01-05 21:56
  • goldenblue
  • URL
  • 編集

[C2734]

あけまして おめでとうございます
今年もよろしくお願いします♪

プレスリーは すでに太っていたのでCD持ってないけど唯一 クリスマスアルバムはあります
たしかに歌は 抜群にうまい!

事細かに分析する能力は goldenblueさんの右にでるものはいないと思います(笑)

私は寝るときのお供に音楽を聴いてます。
眠れない夜に2回CDまるまる聞いてるときもあり
  • 2016-01-05 19:13
  • ひるのまり
  • URL
  • 編集

[C2733] あけまして

おめでとうございます。今年もよろしくお願いします。

このアルバム、僕が中学生の頃の英語の教科書に出てました。大人になってから友人と話したときに、友人が「パフォーマーとして比較するなら、プレスリーとビートルズを比較するのはプレスリーに失礼だ」なんて言っていたのを思い出します。徴兵後のプレスリーのビデオを見た事がありますが、それでもぶっ飛びました!徴兵前の、ロックンロール全面押しのステージは見てみたかったです。

 というわけで、今年もよろしくお願いします!

[C2732]

おめでとうございます!
親父も聴いてたエルヴィス。60年前とはいえ超セクシーですね。
ロックの最重要項目がルックスってことを改めて実感です!
今年もお互いウダウダ系でヨロシクです
  • 2016-01-05 01:01
  • ezee
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golden blue

Author:golden blue
“日々の糧と回心の契機”のタイトルは、好きな作家の一人である池澤夏樹氏が、自身と本との関わりを語った著書『海図と航海日誌』の一節より。
“日々の糧”とは、なければ飢えてしまう精神の食糧とでもいうべきもの。“回心”とは、善なる方向へ心を向ける、とでもいうような意味。
自分にとって“日々の糧”であり“回心の契機”となった音楽を中心に、日々の雑多な気持ちを綴っていきたいと思います。

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