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♪KING OF AMERICA

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King Of America / The Costello Show

Brilliant Mistake
Lovable
Our Little Angel
Don't Let Me Be Misunderstood
Glitter Gulch
Indoor Fireworks
Little Palaces
I'll Wear It Proudly
American Without Tears
Eisenhower Blues
Poisoned Rose
Big Light
Jack of All Parades
Suit of Lights

どんより曇り空、だんだん日が暮れるのも早くなってくるし、寒さもだんだん増してくる。
なんだかこの時期はいつも気分がパッとしなくなるんだよなぁ。
仕事もいまいちスカッとしないし、なんだかなぁーっ、って気分(笑)。
エルヴィス・コステロさんが86年に「ザ・コステロ・ショウ」という名義で録音したこのアルバム、そういうどよんとした気分にはなかなかマッチする。

77年にパンクのシーンから登場したコステロさん、アトラクションズという精鋭のバンドも得てシャープでイキがよくてしかもエスプリに富んでアイロニカルなロックンロールをぶっとばしてくれていたのだが、81年には地味なカントリーのアルバムを出したり、82年と83年にはモータウンやソウルに近寄ったアルバムをリリースしたりとカメレオンのようにスタイルを変えてはその深い音楽への愛情と造詣を表出してきたわけで。
が、チャートでのブレイクを狙った前作、前々作が思ったほどヒットしなくてがっかりしてヤケになったのか、もうそーゆーの狙うのはやーめたっ、って気分になったのか、しばらくの沈黙のあと録音したこのアルバムは、極端に地味。ジャケットの写真もなんだか虚ろで自虐的な感じがするし、長年のパートナーであるアトラクションズも起用せず、またあえてコステロの名前を使わなかったことも含めて「もう隠居しちゃおうかな」的な脱力感や厭世感がある。
ただ、この中身が実にいい。
コンフェデレイツ=同盟軍、と名付けられた演奏陣。アメリカでは同盟軍と言えば、南北戦争の南部同盟を指す言葉でもあって、まぁネーミングからして敗北感があるのだけれどそれはともかく、エルヴィス・プレスリーのバンドの黄金時代のメンバーだったジェームズ・バートン(g)やジェリー・シェフ(b)、ロン・タット(ds)といった歴史的重鎮に加え、R&Bの伝説ドラマーのアール・パーマーやアメリカンロックの名手ジム・ケルトナー、プロデューサーのT・ボーン・バーネット、その後プロデューサーとして頭角を現すミッチェル・フルームなど凄腕のミュージシャンが多数参加して実に渋く落ち着いた音を鳴らしている。聞いた話では元々はコンフェデレイツとアトラクションズを半々のつもりだったのが、アトラクションズがセッションに入る頃にはすでに録音がすすんで出番がなくなったんだとか。
曲も粒ぞろい。
“Lovable”や “Big Light”といったご機嫌なナンバーもかっこいいんだけれど、“Our Little Angel ”や“Indoor Fireworks”、“ I'll Wear It Proudly”、“Poisoned Rose”、“Jack of All Parades”といったスロウな曲がとても美しいのだ。そこに乗る少しかすれたコステロさんの声がまたとてもよくあうんだな。ちょっと疲れてくたびれた男の色気、みたいな。
ちょっと疲れてくたびれた気分でコレを聴いていると、あ、もうコステロみたく隠居しちゃおうかな、なんて気分になってくる。さっさと隠居して過去だけ振り返って“Indoor Fireworks”よろしく室内花火でもちまちま楽しむか、なんて。
普通にいけば定年まではあと11年とちょっと。がむしゃらに頑張らなくってもそこそこのところでそこそこにやればそこそこに逃げ切れるんじゃないか、なんて気分にね。日々は納得のいかないことがわんさか。それは、よりよいものを目指したい もっとうまいやり方があって、これから先の世代も含めてもっとよりよくできるはずとの思いがあればこそなんだけど、なんだかね、いつまでたっても変わらない相手に良かれと思って相手からしたら気分のよくないであろう忠告をするのもなんだか疲れてきたな、とかね、時々そーゆー気分になる。逆ギレされたり、自分のこと棚にあげて的に逆に悪者扱いされた日にはね。えー、そうじゃないでしょー、それじゃまるで“Don't Let Me Be Misunderstood”じゃないっすか。それとも僕の考え方そのものが“Brilliant Mistake”なのか?
とまぁ、そんなどんより気分。
まぁいいか。好きにすればいいや。どんな称号であれ、喜んで授かるよ。
コステロさんが“I'll Wear It Proudly”って歌ったみたいに、あなた方が差し出す冠を、誇らしげに被ってやるさ。
なんて自虐的な呟きには、やっぱりこの音が妙にはまるんだよな。



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コメント

[C2698]

mono-monoさん、こんばんは。
ハイ、頑張りすぎなんです。
拾わなくてもいいものをつい拾っちゃう、頑張らなくてもいいものをつい頑張ってしまう、性分なんでしょうが、まー、ほどほどでないとね、とは思います。
ちなみに仕事でテンパっているときは、ブログの更新頻度もあがります(笑)、気分転換?

コステロさん、大ファンってことはないのですが、やっぱり惹かれるものがありますねー。
そのなかでもコレはファーストとならんで別格に好きな一枚です。
  • 2015-11-10 23:19
  • goldenblue
  • URL
  • 編集

[C2697] Re: ニーナ・シモン

deacon blueさん、こんばんは。

> ☆ ザ・コステロ・ショウの「悲しき願い」はニーナ・シモン盤が本歌ですね。なんだろう。キム・ワイルドがスプリームスの「ユー・キープ・ミーハンギン・オン」をやったような感じですか。。。

ニーナ・シモンのはちゃんと聴いたことがないんですよね。
むしろ「悲しき願い」といえば尾藤イサオ。
♪だーれのせいでもありゃしない~みんなオイラが悪いのさぁ~って奴ですね(笑)。
コステロさんのこのバージョン、マリンバ?がやけに耳に残ります。

  • 2015-11-10 23:13
  • goldenblue
  • URL
  • 編集

[C2696]

golden blueさん
大丈夫ですか、頑張りすぎじゃないですか。
ちょっと心配にもなりますが適度に手を抜いてみては、なんて、すいません。

いつものように(笑)この記事から、コステロのレコードまとめて聴いてしまいました
いやあ恰好良いですキングオブアメリカ、それからオールモストブルーも最高でした。

しかしこのカラー写真ジャケット新鮮ですね。
CD欲しくなりました。

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golden blue

Author:golden blue
“日々の糧と回心の契機”のタイトルは、好きな作家の一人である池澤夏樹氏が、自身と本との関わりを語った著書『海図と航海日誌』の一節より。
“日々の糧”とは、なければ飢えてしまう精神の食糧とでもいうべきもの。“回心”とは、善なる方向へ心を向ける、とでもいうような意味。
自分にとって“日々の糧”であり“回心の契機”となった音楽を中心に、日々の雑多な気持ちを綴っていきたいと思います。

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