Dr. John’s Gumbo/Dr. John 湿気がずいぶん高くなってきて、そろそろ梅雨入りも間近だろう。 もう17、8年も前にもなる、訪れたニュー・オリンズはめちゃくちゃ蒸し暑かった。街の至る所で流しのようなストリート・ミュージシャンが客のリクエストに応えて音楽を鳴らし、夜にもなればあちこちのハコから様々な種類の音楽が聴こえてきた・・・ソウル、ブルース、ディキシーランド・ジャズ・・・扉は開け放されて路上で聞き放題で、店の横ではホームレスが踊り、それを追い払うポリスもまた踊る。 そんなニュー・オーリンズの土地柄そのままに、蒸し暑くてファンキーで泥臭いニュー・オーリンズ・クラシックの数々を、転がるようなリズムのいかれたピアノでプレイしてくれるDr.ジョン。どんどんイカれた気分になってくる。
SECOND LINE/久保田麻琴と夕焼け楽団 日本人がニュー・オリンズR&Bのカッコよさを演ろうとすると、なんとも下世話でバタ臭くなってしまった時代があった。けど、そのバタ臭さがなんともいい感じで、エスニック風味の珍味みたいに不思議な味わいを運んできてくれる。なんともいえない開放感に酒がすすむ。
Boz Scaggs/Boz Scaggs ボズ・スキャッグスがまだお洒落になる前の泥臭い作品。 ほんとにブルースやR&Bが大好きで、黒人のように歌いたい、そんな純粋な憧れがとても爽やかな感情となって、まるで5月の風のように演奏のすき間から吹いてくる。その感じがとても心地よいのです。
Music fah Ya / Taj Mahal とぼけた感じのブルースを、淡々と、飄々と、時に渋く、時にトロピカルに演奏してくれるタジ・マハル。どことなく捕らえどころのないたたずまい。昔は近所にひとりはいたような、昼間からご機嫌でワンカップ片手にふらふらしている酔っぱらいのおっさんみたいに、どこか腰が軽くて信用できない、けど、そのいいかげんさがいいのだ。
Author:golden blue
“日々の糧と回心の契機”のタイトルは、好きな作家の一人である池澤夏樹氏が、自身と本との関わりを語った著書『海図と航海日誌』の一節より。 “日々の糧”とは、なければ飢えてしまう精神の食糧とでもいうべきもの。“回心”とは、善なる方向へ心を向ける、とでもいうような意味。 自分にとって“日々の糧”であり“回心の契機”となった音楽を中心に、日々の雑多な気持ちを綴っていきたいと思います。
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