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◇普通の国になりましょう

自分の主義主張と違う相手に対して「レッテルを貼る」という行為は、とても効果がある。
効果があるからみんな使いたがる。
サヨク、ネトウヨ、在日・・・。
ネットでこの手の議論、議論というよりは誹謗中傷合戦、を見ているとなんだかとても絶望的な気分になってしまいます。この国では議論というものは成り立たないのか、この国の民度はそんなに低いのか、と。
首相補佐官を更迭させることが国会の議論の目的ではない。そんなへなちょこの首を取ろうが取るまいがそんなことはどちらでもいい。自民だろうが民主だろうが維新だろうが共産だろうが、党派がどこだろうとどうでもいい。
知りたいのは、本当に集団的自衛権を行使できるようにして自衛隊を海外に派遣することが日本の平和に、国民の安全を守ることにつながるのかどうかなのだ。
その仮説と、仮設の根拠をもっと掘り下げて知りたい。
安全保障関連法案が合憲かどうかは大切なことだけれど、議論を進める上では一旦は棚上げしても構わない。だって、厳密な解釈では自衛隊の存在そのものが軍備なのであって、でも今や誰も自衛隊の存在を否定はしないしやっぱりいくら平和主義とはいっても丸腰ではいけないというのが多くの国民の認識なのだから、それはすなわち憲法の解釈に一定の幅は認めてもよいということに他ならないのだから。
戦争法案というレッテル貼りもやめよう。戦争を目的とした法案ではない。徴兵制だって憲法上不可能だと政府は言っているわけだし、飛躍した議論は意味がない。日本は戦後ずっと平和国家だった、誰一人国外で殺していない、という主張もやめておこう。直接的にはそれは事実であったとしても、間接的には基地の供与や資金の支援で関わっているのだから、自分の手を汚していないからといって誰一人殺していないということにはならない。好むと好まざると私たちの国はアメリカを中心にした国際秩序にずっと関わってきたのだから。
僕が知りたいのは、アメリカに追随して国際社会で武力行使できるようにすることが、本当にこの国の平和に寄与するのかどうかだ。
戦死者を出さない、戦闘には参加しないということは望ましいことではあるけれど一方で願望でしかない。万が一そのようなことが起きた際にはどうするのか、想定外のことまで想定しておかないと、コトが起きてから慌ててもダメだということは、私たちの社会はあの原発事故で経験したのではなかったのか?
そういうことを、タブーなしに論議してほしい。コストのことも含めて だ。
いざ武力行使となればそのための訓練も含めて莫大なおカネがかかるんだろう?自衛隊員を確保したり、実際に戦地で負傷したり心を病んだり殉職したりした際にはたくさんの保障が必要なはずだし、税収も景気も伸びない借金だらけのこの国でどうやって資金を確保していくのかの論議もまるでないわけで、ふつーに考えたらこれらのことは福祉削減と増税への道でしかないのだから、それだけの重みと覚悟が必要だと思うのです。今賛成しているひとたちもあとになって「聞いてないよー。」ってなことになるんじゃないのかしら。
そういう点からもエソラゴトじゃない、願望だけじゃない、揚げ足取りじゃない、本当の議論をしてほしい。
その上で本当に集団的自衛権が日本のためになるのかどうかを判断してほしい。

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普通の国になりましょう / C.ダグラス ラミス

「普通の国になりましょう」と題されたこの本。著者は「世界が100人の村だったら」の共著者、C・ダグラス・ラミスさんで、出版されたのは2007年だからまだ「美しい国」を連発していた頃の第一次安倍政権の頃。
著者は「普通ってなんだ?」ということを問いかけます。
天動説、進化論といった科学的なことはもとより、魔女狩り、赤狩り、奴隷制度、ホロコースト、アパルトヘイト、植民地主義、所得や性別による選挙権の格差・・・歴史上には、今振り返ればとても異常な行為を「普通」と認識して堂々と行われていたことが数知れずあります。職場事務所内での喫煙も、飲酒運転も、セクハラ、パワハラなんかもほんの少し前までは当たり前でした。当時の考えとしてはそれは普通だった、でもその「普通」に対して距離を持ってみることができる時、それらのことが「普通でない」ことがわかる。このことは何となくはわかっていても、自分がその環境に置かれたときにはなかなか気づけないものです。
「普通の国」という言葉は、小沢一郎が言い出したんだったかな。そのあたりから徐々にタカ派の中曽根さんあたりでも手をつけなかった、改憲―再軍備の論調が強くなっていったわけで、その延長上に安倍総理の強気がある。
戦力を保持し拡大したい人たちの論調は、それぞれに差異はあるだろうけど、「敗戦で平和憲法を押し付けられた」「普通の国は軍隊を持っている、交戦権を持っている」「不平等な憲法を変えて普通に軍隊を持つべきだ」というもの。
では、この「普通」は果たして未来永劫に「普通」なのか?現代の認識である「武力で紛争を解決する」ことが普通であるという認識はずっと普通のままなのか?人々が声を上げ続けることで、普通でなくすことができるのではないか。
この本は、そんな疑問を投げかけているのです。

我が意を得たり、という部分があったので、長いですが引用して紹介させていただきます。



非常識な少数派を除いて、ほとんど普通の人々には、護憲派でも改憲派でも、共通した考えがあるでしょう。それは、戦争は起こってほしくない、起こっても自分の国は戦争に巻き込まれてほしくない、ということです。そしてそれは、理想論ではなく、実際の戦争の恐ろしさ(日本の場合、とくに第二次世界大戦の現実)から生まれた願いです。
戦争に巻き込まれたくないという願いは、きわめて現実的で、そう希望している護憲派も改憲派も現実主義のつもりでしょう。
改憲派(の多く)は、日本政府が軍事力をもったほうが、日本国が戦争になる可能性が少なくなると考えているでしょう。
護憲派(の多く)は、平和憲法をそのままにした方が、日本国が平和になる可能性が高いと考えているでしょう。
どちらが正しいかということが、現実的な問題です。
現実主義になろうと思えば、まず現実を見なければなりません。戦争と平和に関してもっとも重要な現実は、歴史の記録です。つまり、いままでで、軍事力をもっていた国は、戦争をうまく避けられたのでしょうか。
これまで繰り返し述べてきたように、それぞれの国が、人類史上最大の軍事力を備えた20世紀は、人類史上最大の戦死者を生み出してきました。そして、軍事力の大きな国だからといって、戦争の被害が少なかったわけではありません。日本の場合、歴史上もっとも軍事力が強かった時代と、もっとも戦死者が多かった時代は同じです。
これが現実です。
軍事力があろうとなかろうと、将来、何が起こるかを絶対に保障することはできません。しかしこれまで、国が軍事力をもつことで国民を守った、という成功例はあまりないのです。



絶対はない、というこの言葉、これも原発事故で私たちが辛い経験の上に学んだことではなかったのでしょうか。

首相は「国民を守るためだ」と繰り返すけれど、その言葉を本当にその通りだと思っている人はどれくらいいるのだろう。
絶対に戦争に巻き込まれない、と断言する根拠はいったいどこにあるのだろう。


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コメント

[C2629]

名盤さん、毎度です。
参議院でもなかなかまともな論議にならないですねぇ、期待に反してというか、想像どおりというか。
戦後70年という節目は、この国が明治維新後にたどってきた道のりとその間の社会の変化に対してこの国がどう対応してきたか、その功罪について考え直すいい機会だと思っていろいろ勉強してみているのですが、イデオロギー的なことが入ってくると正しく見えてこない感じがあります。
右も左もなしで、違う考え方をやりこめずに考えたいですね。
政党は党利党略で動くから、そーゆーこと期待しても無理なんだろうかね。

[C2625]

安倍政権は全く信用できませんが、国防という観点での冷静な論議は必要だと思います。
今回の安保法制をきっかけに議論が進めばいいと思う。
日米安保に僕は反対なんだけど、でもそしたらどうやって国防をとなったら、やはり日本単独で強い軍備を持つ必要があると思います。
今回の安保法制は、アメリカにいざというときは頼むよ!ということの約束手形のようなものかと思います。
憲法改正が必要だと僕は思うけど、改正したら集団自衛権の行使というのは、ひとつの考え方としてありだと思っています。
反対派の人たちには、その後の国防についてどのような展望を持っているか聞いてみたいです。
さらにお金をアメリカに支払い、いわゆる思い入れ予算の増額とかで、アメリカによろしく頼むのもひとつの案かと思います。
そういうの、なんか違うような気はするけど。

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Author:golden blue
“日々の糧と回心の契機”のタイトルは、好きな作家の一人である池澤夏樹氏が、自身と本との関わりを語った著書『海図と航海日誌』の一節より。
“日々の糧”とは、なければ飢えてしまう精神の食糧とでもいうべきもの。“回心”とは、善なる方向へ心を向ける、とでもいうような意味。
自分にとって“日々の糧”であり“回心の契機”となった音楽を中心に、日々の雑多な気持ちを綴っていきたいと思います。

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