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♪PICTURE THIS

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Picture This / Huey Lewis & The News

Change Of Heart
Tell Me A Little Lie
Tattoo (Giving It All Up For Love)
Hope You Love Me Like You Say You Do
Workin For A Livin'
Do You Believe In Love
Is It Me
Whatever Happened To True Love
The Only One
Buzz Buzz Buzz

学生時代の友人にMという男がいた。
1回生の時に同じクラスになったその男は、岐阜県の山奥の出身で、いかにも田舎から出てきたばかりっぽい純朴な出で立ちと明るくて大らかで物おじしない性格で、僕とは性格も生い立ちもまるで違うのだけれどなぜか気があって、よくいっしょにつるんでいた。
バイトがない日にはいっしょに銭湯へ行き、四畳半の狭い下宿でビールを飲んだ。
「なぁ、俺、大学生ってもっと毎日が華やかで楽しいもんだと思ってたんだよな。キャンパス・ライフ、っていうの?テニス・ラケット抱えたかわいい女の子とおしゃれな喫茶店でお茶して、週末には仲間とドライブに行って、みたいな。」
飲んでぼやくのは、イメージしていた学生生活とパッとしない現実とのギャップ。ふたりともまだろくにちゃんと女の子とつきあったことがなかった。
「バイトして金貯めたら夏に与論島へ行こうぜ。やりたい盛りの女の子がじゃんじゃかいるらしいぜ。」とか、「一緒に会社を興さんか。今○○を売ったらめっちゃ儲かるぜ。」とか、そーゆー現実離れした妄想みたいなことをうだうだ話して、そのうちどうでもよくなって音楽をボリュームいっぱいにして大騒ぎして、隣の部屋の学生から文句を言われて、それでもまだ騒いで大家さんにこっぴどく怒られて。そんなことがしょっちゅうだった、18才~19才。

当時大ヒットを連発していたボン・ジョビとかヴァン・ヘイレンとかアメリカンなものがMの好みで、いわゆるハードロック以外でMの大のお気に入りだったのがヒューイ・ルイス&ザ・ニューズだった。
陽気であっけらかんとしたシンプルなロックンロール。生真面目なくらいにかちっとジャストでタイトなリズムと、磨き抜かれたコーラスや完璧なまでのバンドのアンサンブル。でもどこか剽軽で間の抜けた感じの田舎くさいキャラが憎めなくて。
僕は当時どちらかというとパンク~ニュー・ウェイヴのアンダーグラウンドなものやシュールなものにはまっていたのだけれど、その一方で彼らのような明るく健康的なアメリカン・ロックをとても眩しいものを見るように魅力的だと思っていた。本当はこんな風に、何にも考えず陽気にあっけらかんと毎日を清々しく生きられたらどんなに楽しいだろうかと思った。それもまた、まだまだ世間知らずで頭でっかちだった18才~19才ならではの青い思い。

今聴いてもかっこいいいですよね。
新緑が美しく、さわやかな風薫るこの季節にはちょうどいい。
ヒット曲の"Do You Believe In Love"のポップでドリーミーなコーラスや青空に駆け上がっていくようなサックス・ソロにはとてもワクワクするし、レゲエっぽいリズムの"Tell Me A Little Lie"やヒューイのハーモニカもかっこいい、飄々とした感じの"Tattoo (Giving It All Up For Love) "、AOR的なロッカ・バラードの"Hope You Love Me Like You Say You Do"や"Is It Me"でぐっとロマンチックに迫るかと思えば、"Workin For A Livin' "では爆発するようにハードに跳ね、"Whatever Happened To True Love"、"The Only One"、"Buzz Buzz Buzz" と、パブ・ロックっぽさもあるシンプルでスカスカのロックンロールで陽気に躍らせてしまう、緩急自在の完璧なリズムとコーラスとアンサンブル。
80年代初頭という時代もあってかやや西海岸的さわやかさを前面に出してはいるけれど、50年代のロックンロールとR&Bを下敷きにしたサウンドの芯のところはとても骨太というか無骨というか、汗くさくて男っぽい。でもいわゆるマッチョな感じはなくてむしろ生真面目で誠実な感じがむしろちょっとかわいらしく思えるくらい。
そして何よりごり押しではなくナチュラルにポジティヴなのがいい。
ポップでカラッと晴れやかで、いつの間にか元気が湧いてくるのだ。



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コメント

[C2552]

アズさん、コメントありがとうございます。
かれこれもう30年も前の話になってしまいました。そんな感じは全然しないのですが。
カラオケボックスの登場は確かに革命的でした。カラオケなんておっさんの行くスナックにあるもんだと思ってましたから。
大家さんが夜中に怒鳴りこんでくるような四畳半の下宿なんて今もあるんでしょうか。

  • 2015-05-11 22:38
  • goldenblue
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[C2551]

名盤さん、調べてみたところ、ヒューイ・ルイス&ザ・ニュースの初来日大阪公演は1985年12月4・5日の二日間だったそうです。
空間を共有していた可能性50%ですね!
そういう同世代と30年後にこうしてやりとりしているっていうのはなんとも不思議な気分ですねー。
  • 2015-05-11 22:33
  • goldenblue
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[C2550]

ezeeさん、まいどです。
確かにおっさんくさかったです、ヒューイ・ルイス。バンドのメンバーも全員イケてなくて(笑)。MTV全盛期のあの時代によくあれだけ売れたもんだと思いますが、ルックスと演っている音はよくマッチしていたとも言えます。
泥臭くも親しみのある、アメリカ的良心を感じるバンドでした。

  • 2015-05-11 22:28
  • goldenblue
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[C2549]

お久しぶりです。その頃自分は関西大学の裏、俗称「関大スラム」の4畳半で暮らしておりましたよ。懐かしいです、当時カラオケボックスが出始めて、テレクラ(笑)なんぞが流行ってましたね♪あっヒューイさんは自分も同じく「おっさん印」を押してしまいました(笑)当時30代?と思うのですが。
  • 2015-05-11 22:05
  • アズ
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[C2548]

もしかしたら同じ空間にいたかもしれませんね!

[C2547]

まいどです。
出てきたから時からおっさんのオーラ、プンプンだったヒューイ・ルイス。
売れてましたね〜
やっぱDo You Believe In Loveが一番ええですな
バック・トゥ・ザ・フューチャーの主題歌も良かった。なつかしっ!

[C2546]

名盤さん、こんばんは。
僕もMもバブルとはまったく関係のないところで地味に貧乏に大学生やってました。友人のほとんどがそんな感じだったのは、バブルの恩恵が一部だったのか、そういう世界に関わりのない奴ばっかりがつるんでいたのか(笑)。

僕もこのM君といっしょにライヴ行きました。パワー・オブ・ラヴのヒットしていた年、確かフェスティバル・ホールでした。
  • 2015-05-10 22:39
  • goldenblue
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[C2545]

ヒューイ・ルイス&ザ・ニュース好きでした。
このアルバムも、大ヒットした『スポーツ』も。
その次のアルバムも好き。
ライヴも行った、フェスティバルホールだったと思うけど。
明るい音楽が好きだったけど、バブルの波に乗れず暗い大学生時代だったような気がする。
だけど綺麗な女子には身の程知らずにアプローチしていた記憶も。
そんなとこだけ大胆でした。
明るい音楽を聴いていたからかなぁ。

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golden blue

Author:golden blue
“日々の糧と回心の契機”のタイトルは、好きな作家の一人である池澤夏樹氏が、自身と本との関わりを語った著書『海図と航海日誌』の一節より。
“日々の糧”とは、なければ飢えてしまう精神の食糧とでもいうべきもの。“回心”とは、善なる方向へ心を向ける、とでもいうような意味。
自分にとって“日々の糧”であり“回心の契機”となった音楽を中心に、日々の雑多な気持ちを綴っていきたいと思います。

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