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◇明るい悩み相談室

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中島らもの明るい悩み相談室 / 中島らも

世の中には二種類の人間のタイプがあると思う。
悩みを人にやたらと相談する人と、悩みをほとんど相談しないで自分で決めちゃう人。
僕は、悩みなんてないタイプ。
と言えればいいのですが、やっぱり世の中いろいろあって、人並みにへこみもするし悩みもします(笑)。
でも、ほとんど人には相談しない。
なぜか悩みの相談は受けやすいほうですが、人の悩みを聞いて客観的にいつも思うのは「結局、答えは自分で決めてるやん。」ってこと。ほとんどの場合はね。
多分、口にすることで安心したい、という心理があるのでしょうね。相談して背中押してほしい、とか、自分なりの考えを後押ししてほしいとか、言葉にすることで考えを整理できるとか。
だから、悩みを相談することは悪いことではないとは思います。
でもあんまりしないのは、やっぱり結局答えは自分が一番よく知っていると思うから。

人の悩みというのは、他人事であればあるほどけっこうおもしろい。
それをわかりやすく茶化してみせたのがこの中島らもさん。
これ、最初に新聞の連載で読んだときは大爆笑でした。
天下の朝日新聞がこんなふざけた記事を載せて怒られないのか?と。
実際真面目な読者層からかなり苦情が寄せられたそうですが。
何しろ悩みの中身がものすごい。
「草を見つけるとところ構わず草抜きをしたくなってしまう。」
「葬式でつい笑ってしまう。こらえればこらえるほどおかしくなってしまう。」
「人の顔を見るとすぐにその人の前世が何だったかが気になってしまう。」
「父は家に帰ると『衣服は束縛だ』と言ってすぐに素っ裸になってしまう。」
「父はトイレで便でも字を書く。その『作品』を流さない。」
などなどなど、そのシーンを想像するだけで笑ってしまうようなわけのわからん悩みのオンパレード。
で、それに答えるらもさんの回答がまぁ見事にぶっとんでいて、そして実に深い。

人間の綾というか人生の機微というか生きることの奥の深さを描き出した超名著だと、本当に思います。
これは冗談じゃなく。



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コメント

[C2568]

ひるのまりさん、こんにちは。
内田裕也の話、初耳でした。いかにもらもさんらしい話ですね。
品があるかはともかく、下ネタ系は笑いとして安易なので封印されていたそうです。
やんちゃにやりたい放題で人生を駆け抜けたロックな方でした。

[C2567]

中島らもの武勇伝で フラワートラヴェリンバンドのライヴ会場に行って、石を投げたら内田裕也に追いかけられたって話が面白いです。
若いときはとがっていて 結婚して子供ができて 広告代理店に勤めてイラストライターになってだんだん丸くなっていくんですね。
どこかシャイな部分もあり 関西人やけど 品を保っているところも 好きなところです!
  • 2015-05-24 19:16
  • ひるのまり
  • URL
  • 編集

[C2566]

Okadaさん、こんばんは。
「啓蒙かまぼこ新聞」「微笑家族」みたいな漫画から「らも咄」、あるいは劇団リリパット・アーミー、わけのわからん活動がオモロイ人でした。
「夢の乱入者」で歌ってるのも見たことあります。ボロボロでしたが(笑)。

悩みを相談する人と相談しない人、悩みの質と量はきっと変わりないと思ってます。

[C2565]

非双子さん、こんばんは。
中島らもさんは、コピーライター時代に宝島で「啓蒙かまぼこ新聞」を書いておられた頃からのファンです。
亡くなってもう10年以上たつんですね。

中島らもさんと非双子さん、なるほど、広い意味で同類のにおいがします (誉めてますf(^_^))。
アル中のジャンキーですが、天才ですよね。

[C2564]

らもさんは小説も面白いですけど、エッセイとかこういう企画物も、らもさんワールド満開で面白いですね。
らもさんの頭の中はどんな風になっていのるのか、時々気になりますが、かなり男前なんじゃないかと思っています。

それはそうとぼくは悩みを誰かに相談したという記憶がありません。多分、人にいちいち説明するのが面倒くさいのかもしれませんね。悩みの種は一杯あるんですけどね。

[C2563]

らもさん大好きです。
発想に親近感をもってます。
ってことは、私も同類なんでしょうね。

出版物はほとんど買ったよ。

古本が多いけど気にしないで、、、(笑

  • 2015-05-21 20:51
  • 非双子
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golden blue

Author:golden blue
“日々の糧と回心の契機”のタイトルは、好きな作家の一人である池澤夏樹氏が、自身と本との関わりを語った著書『海図と航海日誌』の一節より。
“日々の糧”とは、なければ飢えてしまう精神の食糧とでもいうべきもの。“回心”とは、善なる方向へ心を向ける、とでもいうような意味。
自分にとって“日々の糧”であり“回心の契機”となった音楽を中心に、日々の雑多な気持ちを綴っていきたいと思います。

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