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♪20/20

20/20
20/20 / The Beach Boys


Do It Again
I Can Hear Music
Bluebirds Over the Mountain
Be with Me
All I Want to Do
The Nearest Faraway Place
Cotton Fields (The Cotton Song)
I Went to Sleep
Time to Get Alone
Never Learn Not to Love
Our Prayer
Cabinessence

自分自身は興味を持ったらとことん掘り下げていかなきゃ気がすまないマニアック気質であるにも関わらず、いわゆるオタクでマニアックな人はどうもあんまり好きじゃない。我ながら困ったもんなのだが、まぁ仕方がない(笑)。
なんか「初心者はまずこれを聴けよ。」とか、「これを聴いていない奴はおいそれと語るな。」みたいなことが当たり前の感じってなんかいやぁーなものですよね。知識を得ることやつながりを見つけることは意味のあることだけれどあくまでもFUNであって、本来の音楽そのものの楽しみと本末転倒になっちゃいけない。

で、そーゆーこだわった方が多くておいそれと語りにくいのだけれど、やっぱり夏の開放的な気分にビーチボーイズはよく合います。
『ペットサウンズ』、もちろん素敵だ。初期のサーフィン&ホットロッド的ノーテンキなロックンロールもとにかくご機嫌だし、僕の世代にとっては「ビーチボーイズって現役だったんだ!」とショーゲキをくれた“ココモ”なんかも大好きだ。もっともヒットした当時は「ジジイの古くさい保守的な音楽だ」と見向きもしなかったのですが(笑)。
まぁそんなふうにつまみ食い的にいくつか聴いたビーチボーイズ作品の中で個人的に一番好きなのがこのレコードです。
よく言えばバラエティーに飛んでいて、悪く言えばとっちらかってしっちゃかめっちゃか。統一感があんまりなくって、アウトテイク集みたいなこのレコードだけど、ビーチボーイズのいろんな側面を一粒で二度も三度もおいしく味わえる感がして好きなんです。もちろん、誰もが認めるペットサウンズをイチオシにしたくないという天の邪鬼気分も少し入ってはいるんだけど(笑)、ブライアン・カラー一色のペットサウンズよりも各メンバーの個性がいろいろ前に出ている感が好きなのです。

のどかでおおらかでビーチボーイズっぽくっていいな、って思うのはカール・ウィルソンのヴォーカル曲。1曲めの“Do It Again”なんかがまさにそう。基本元気で明るいんだけどちょっとセンチメンタルでドリーミーな感じがまさにビーチボーイジー(笑)。フィル・スペクター作品の“I Can Hear The Music”も夢のように美しく完璧なアレンジとコーラスでふわふわと雲の上にいるように夢見心地になれる。
3曲めの“Bluebirds Over The Mountain”も美しいハーモニーとソウルっぽいベースラインがいい感じでありながら、イメージとしてはビーチボーイズらしくない歪んだギターが鳴り響く、ロックの時代を強く意識したアレンジがかっこいい。
ロックっぽいといえば俄然ワイルドで荒々しいビートが効いた“All I Want To Do”。これはマイク・ラヴの作品だそうで、なんでまたいきなり突然に?というくらい荒っぽいシャウトのかなりビーチボーイズらしからぬ感じではあるけれど、そもそもビーチボーイズはロック・バンドだったんだということを思い出させてもくれる。
そのハードなロック・ナンバーをはさむように、幻想的で美しい曲が2曲。デニス・ウィルソンの“Be With Me”、そしてインストの“The Nearest Faraway Place”はブルース・ジョンストンの作品。最も近くて遠い場所・・・そんなタイトルだけでももうきゅんとせつなくなってしまうような美しさだよね。
アル・ジャーディーンはレッド・ベリーの“Cotton Fields”をカバーしていて、これはたくさんのバンドのカバーがあるけれど実にビーチボーイズっぽくっていい。いわゆる、ノーテンキとせつなさの絶妙ブレンド。
そして“Times to Get Alone”の流れるような珠玉のメロディーと美しいハーモニーは、さすがブライアン・ウィルソン。
幻のアルバム『SMILE』収録予定だったという“Cabinessence”なんかは当時は革新的だったのだろうけど僕には少し蛇足に感じてしまう。けど、こういう現代音楽的なものからロックンロールの”All I Want To Do”までごちゃごちゃにそれぞれが主張しているのがこのアルバムのおもちゃ箱みたいな楽しさかな、と思ったりするわけで。
誰もが楽しめるボードゲームみたいなものも、ちょっとかけひきが必要なカードゲームみたいなものも、手作りのがらくたみたいなおもちゃも、美しい宝石みたいなガラス玉もぜんぶぶっこんで、開けるたびに童心に戻ってワクワクしてしまう、そんな音楽。

おもちゃというものは楽しむことができなければ意味がない。
ビーチボーイズのメンバーたちは自分たちの音楽が聴き手に楽しまれて初めて価値があることをよく知っているのだと思う。だからとことん作り込んで納得行くものを作ろうともしたし、聴き手が求めているものが古き良きビーチボーイズ・スタイルなのだとしたらそれをずっと演り続けることを厭わない。どんなにこねくりまわしてひねりまくった作品でも彼らの音楽はポップであり続けたのも、彼らは自分たちの存在価値がそこにあることを、強迫観念的なまでに意識し続けていたからだと思う。
どんなプロセスを経ようが、作品は聴き手に受け止められて初めて価値が出る。だから、プロセスや手法やそれにまつわる伝説を論じたり崇めたりするよりも、音そのものを楽しむのが一番なのではないかな。いや、論じたり掘り下げたりすることを否定するわけではなくむしろ楽しいことだしそのことでその音楽への理解がより深まるものだとは思うのですが、その楽しさはあくまでも音楽を楽しむためのツマミみたいなものだと認識しておきたいものです。

さて、ごちゃごちゃしゃべりすぎてしまいました。
理屈ばっかりこねていないでちゃんと言っておこう。
ビーチボーイズはいいな。



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コメント

[C2636]

kingbeeさん、はじめまして。
たくさんの方がいろんなものをUPしていただけるおかげで自分ではすすんで探さないようなものもたくさん視聴できたいへん感謝しております。
これからもいろいろUPしてくださいね!

[C2635] 初めまして

I can hear the music をUPしたkingbee(yukemuripop)と申します。
だからどうってことはないのですが、
偶然リンクを発見して喜んでおります。
ありがとうございます♪
  • 2015-08-23 21:56
  • kingbee
  • URL
  • 編集

[C2624]

ひるのまりさん、こんばんはー。
ビーチボーイズが流れていた青春。単純に素直にうらやましいです。
その頃に生まれていたらなぁ・・・(遠い目)・・・、あ、でもそもそもが天の邪鬼なんで、その頃に生まれていたとしても「フンッ!ビーチボーイズなんて。」と言っていた可能性は大です(笑)。

[C2623]

GAOHEIGⅡさん、こんばんはー。
そうなんです、バンド全体でやってる感じとバラエティ感が楽しいんです、このアルバム。
おりこうさんな音楽のようなイメージがあって若い頃はあんまり興味なかったんですが、楽しくて美しくてワイルドできゅんとくる素敵なバンドだと改めて思っております。

[C2622]

まさに青春の1ページ!
サーファーブームがありまして 猫も杓子も丘サーファーだったのですよ♪
なので 若者が集まる場所は必ずビーチボーイズが流れてたんですよ!
アメ村も ポツポツ店が出始めて 輸入レコード店で物色した覚えがあります。
村上春樹原作」の映画「風の声を聴け」でビーチボーイズの「カリフォルニア・ガール」が流れていて まさにあの時代の香りがします。
モーレツ時代が過ぎて の~んびりいこうよ俺達はというCMがはやった 戦後第2の転換期
このアルバム 聴きたくなってきた
CD棚を探さなくては!
  • 2015-08-06 18:51
  • ひるのまり
  • URL
  • 編集

[C2621]

golden blue様 こんにちは

近所のイオンではココモが流れています。

このアルバム、自分も好きです。
バンド一丸となって制作した感じが出ていて、
バラエティに富んでいて楽しいです。
それでいてブライアン楽曲が目立ってしまうという構図が切ないですけれども。

ちなみにビーチボーイズはM.I.U.から入りました。
近所のビーチボーイズコーナーにそれしか無くて
「取り敢えずビーチボーイズ」なるものを聴いてみようか、と手に取った次第。



[C2620]

Bach Bachさん、こんばんはー。
僕はそうですねぇ、一番好きなのは“Don't Worry Baby”ですね。なにしろ、キラキラした青春っぽさと美しいハーモニーが気持ちよいです。
夏にビーチボーイズ、ベタですがベタだからいいのです。

[C2619] ビーチボーイズ

最高ですよね!僕も、80年代のアルバムのクオリティの高さにのけぞった記憶があります(^^)。ビーチボーイズで好きなのはやっぱりハーモニーの美しさで、"California Girl"と、サーフィンUSA収録の"lonely sea"です(^^)

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golden blue

Author:golden blue
“日々の糧と回心の契機”のタイトルは、好きな作家の一人である池澤夏樹氏が、自身と本との関わりを語った著書『海図と航海日誌』の一節より。
“日々の糧”とは、なければ飢えてしまう精神の食糧とでもいうべきもの。“回心”とは、善なる方向へ心を向ける、とでもいうような意味。
自分にとって“日々の糧”であり“回心の契機”となった音楽を中心に、日々の雑多な気持ちを綴っていきたいと思います。

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