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♪PAUL BUTTERFIELD BLUES BAND

Butterfield Blues Band
Paul Butterfield Blues Band / Paul Butterfield Blues Band


Born In Chicago
Shake Your Money-Maker
Blues With A Feeling
Thank You Mr. Poobah
I Got My Mojo Working
Mellow Down Easy
Screamin'
Our Love Is Drifting
Mystery Train
Last Night
Look Over Yonders Wall

最初はまるでちんぷんかんぷんな印象だったのに聴き込むうちにじわじわとよくなっていくレコードもあれば、聴いて一瞬で衝撃を受けてしまうようなレコードもいくつかある。
このバターフィールド・ブルース・バンドのアルバムは断然後者だった。
初めて聴いたのは確か高校卒業前後だったかな。
17、8の頃、ヒット・チャートを賑わせていたいわゆる洋楽ポップスから次第に時代をさかのぼるようにロックの名盤と呼ばれるものを片っ端から聴き漁っていったのだけれど、いわゆるブルース・ロックと呼ばれる類いのものは実はあんまりピンと来なかったというのが正直なところ。クリームとかね、なんか難しそうなことを難しそうな顔をして演っている感じがしてピンとこなかった感じ。
そんな中で、このレコードだけは一曲目から一発でガツンときた。
ぞわっと裏筋が震えるような感触がして、おおぉーっ、と鳥肌がたった。
1曲めのBorn in Chicagoからもうガツーン、ドカーン、ドドーンとアッパー・カットを食らう怒濤のかっこよさ。で2曲めShake Your Money Makerで打ちのめされる。
一転、ドスンと重いBlues with a Feelingが来て、インストのThank You Mr.Booberが来て、もう一発、I Got My Mojo Workingでまたぶちのめされる。
なんて熱い演奏だ。

ポール・バターフィールドは、50年代の後半からシカゴのブルース・クラブでいかつい黒人のブルースマンたちに混じってジャム・セッションをしていたそうで、っていうかその当時白人でブルースを演ろうなんて奴はそもそもいなかったわけだから、そりゃあもう筋金入りだ。
で、ただ熱いだけではなくある意味とてもアーバナイズされていてクールでもある。
マイク・ブルームフィールドとエルヴィン・ビショップのギターのからみ、そこにぶっこんでいくバターフィールドのハープとマーク・ナフタリンのオルガンがまたかっこいい。
各人のソロは冗長ではなくコンパクトでツボを押さえていて、それぞれのからみが有機的につながりあっている感じが、垂れ流しのソロを延々と演るバンドとはひと味もふた味も違うな、と。
そしてやっぱり目からウロコのかっこよさだったのはリズムだ。
ジェローム・アーノルドとサム・レイというふたりの黒人によるリズム隊、このノリがもう、凄すぎる。元々ハウリン・ウルフのバンドにいたそうで、なるほど、草野球チームにプロ野球選手が混ざっているような感じ(笑)。サム・レイはI Got My Mojo Workingではリード・ヴォーカルもとっていてこれがまた実に渋い。
リズム、ノリ、ということは、このアルバムを聴くまではきっとほとんど意識していなくて、メロディーか歌詞、或いはメッセージも含めたスピリットの部分しか自分の中に入ってきていなかったんだな、なんてことを思い起こせばそうだったんだと思うわけで、このあとストーンズのかっこよさにようやく目覚め、ブラック・ミュージックの深みにずぶずぶとはまっていくきっかけになっていったのであって。
そういう意味でも、このレコードは個人的にも大きな意味を持つアルバムだったな、と改めて思い返した次第。

B面はテンポを上げてMellow Down Easy、バターフィールドのハープとブルームフィールドのからみがかっこいいインストのScreamin' 、ナフタリンのオルガンが渋いリズムのうねりを作り出すOur Love Is Drifting 、シャッフル・リズムが汽車のリズムみたいなMystery Train 、ハープとギターは汽笛と車輪が軋む音だ。どろっと重いブルースのLast Night ときて、最後はエルモア・ジェームス的に豪快なLook Over Yonders Wallで〆。
白人だってブルースがプレイできることを証明してやるんだ!そんなバターフィールドたちの気合いがこもった演奏は、演奏そのものがひとつのメッセージでもある。
その込められたメッセージの純度の高さが高校生の僕が食らった衝撃の本質だったのかも、今振り返るとそう思います。




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Author:golden blue
“日々の糧と回心の契機”のタイトルは、好きな作家の一人である池澤夏樹氏が、自身と本との関わりを語った著書『海図と航海日誌』の一節より。
“日々の糧”とは、なければ飢えてしまう精神の食糧とでもいうべきもの。“回心”とは、善なる方向へ心を向ける、とでもいうような意味。
自分にとって“日々の糧”であり“回心の契機”となった音楽を中心に、日々の雑多な気持ちを綴っていきたいと思います。

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