Family Style / Vaughan BrothersHard To Be White Boots D/FW Good Texan Hillbillies From Outerspace Long Way From Home Tick Tock Telephone Song Baboom/Mama Said Brothers 「好きなギタリストは誰?」という質問は、正直かなり難しい。
音楽の骨格を支えるリズム隊とは違って、ギタリストの個性はそのまま音楽の表現内容とかなり密接に関係するからだ。
高速早弾きギタリストと16ビートのカッティングがかっこいいギタリスト、どっちが好きかはそのまんまその音楽の好みに直結してしまう。ランディ・ローズとアル・マッケイとコーネル・デュプリーとミック・ジョーンズとアンディ・サマーズ、誰が好きかなんて、ギタリストとしてだけでは土俵が違いすぎて比べようがない。選ぶとすれば音楽そのものの好みになってしまうのだ。
そんなんでギター・ヒーローと言われる人たちにもその人がギター・ヒーローであるということのみをもって興味を持つことがないのですが、そんな僕でもスティーヴィー・レイ・ヴォーンの登場は衝撃的だった。
ギタリストといえば猫も杓子もへヴィー・メタルだった時代に、野太いトーンと埃っぽいサウンドと超絶的な技巧でもってシーンに現れたときはこの人はスゲエッ、って思ったのだけれど、やっぱりすぐに飽きてしまった。7分も8分も延々とギターを弾きまくられても退屈なんだもん(笑)。
そんな僕が、あぁ、レイ・ヴォーンさんはやっぱりいいな、と思ったのがこの実兄ジミー・ヴォーンと組んだアルバムだったのだ。
ハードなブギーから埃っぽいブルース、ファンクなチューンにソウルフルなバラードまで縦横無尽にバラエティに富んだスタイルを披露してくれるこのアルバムのサウンドはとても気持ちいい。
荒々しく豪快でいながらきっちりと律儀なスティーヴィーと、クリアでハキハキしつつ実はとてもワイルドなジミー兄さん。ふたりのギターが押したり引いたりパスを渡したりもらったりしながらいいグルーヴを作っていく。
それに何よりふたりのギターには歌ゴコロがある。
それからね、ギターのトーンが素晴らしくいいんですよ。クリアでパキパキしていて、でも潤いがじゅうぶんにあってセクシーで、かつものすごくドライヴ感のある音。
ほんと気持ちのいい音だと思う。ずっと聴いていても疲れないし飽きない。なによりも楽しそうですよね、音を通じて聴こえてくる感情が。
ギターを弾いたりギターに歌わせるのが嬉しくって仕方がない感じ。テクニカルなことに固執するだけじゃない、音を通じて感情を響かせるということがこの上なく楽しい感じ。
“Hard to Be”とか“White Boots”なんてノリノリの気分になっちゃうし、ギュオーンと突っ走るハードなブギー“Long Way from Home”なんてさすらいの無頼な西部のガンマンになった気分になれるし、“Tick Tack”を聴くとキレイゴト笑ってしまえるような世界の平和を本気で願いたくなるような気持ちになります。
で、このアルバムを聴いたあとはいつも晴れ晴れとした気分になれる。
そこが音楽の素晴らしいところで、つまるところそれさえあれば、誰がどうだのって話はあくまでオマケなんですよね。
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レイ・ヴォーンさん、改めてやっぱりかっこいいなぁー、と思いますよね。
せっかくの兄弟コラボが遺作になってしまったなんて残念すぎます。もし今も生きていたら、もっと渋みを増したすんごい音を聴かせてくれたのでしょうにね。
お兄さんのスタイルはスティーヴィーとはまた違うけど、クールでロッケンローでかっこいいですよ!