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♪BACK IN THE HIGHLIFE

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Back In the Highlife / Steve Winwood

Higher Love
Take It As It Comes
Freedom Overspill
Back In The High Life Again
The Finer Things
Wake Me Up On Judgment Day
Split Decision
My Love's Leavin'

スティーヴ・ウィンウッドという人の魅力はどうもいまひとつピンと来ないままだった。スペンサー・デイヴィス・グループ時代には天才少年と呼ばれ、ブラインド・フェイスではクラプトンと渡り合い、トラフィックではサイケデリックな世界とR&Bを融合し、と伝説ばっかりが先立って、それじゃ聴いてみなくっちゃと思って聴いてはみるもののやっぱりどうもピンとこない。
確かに出来は素晴らしいのだろうけど、なんとなく頭でっかちで高級ぶった音楽のように聞こえてしまって。かっちりしすぎて破綻がないのがつまらなく感じてしまうのかもしれない。
1986年に大ヒットしたこのアルバムもそんなわけで当時はそんなに好きではなかったのですが、大掃除のときに発見して久しぶりに聴いてみたら、これがけっこうよかった(笑)。
1曲目、当時もよくMTVで鳴っていた"Higher Love "からしてなんともいい感じ。ナイル・ロジャースのクールなカッティングとパーカッションが作り出す複合的で奥行きの広いリズムと、ゴージャスなキーボードやコーラス、コンテンポラリーで隙のないサウンドと、ヒューマニズムに基づいた世界観。

考えてみよう
より高尚な愛のことを
心の奥深くにある
あるいは見上げる星空の中に隠された
きみの心の中をのぞきこんでごらん
僕もそうしてみよう
世界はどこもかしこもどんどん悪くなっていくみたい
何が正義なのか?
僕たちは何かを見つけようとしているのに
目隠しで歩いている
成し遂げたことは
結局後ずさりしただけ

全体として80年代ならではのドッタンバッタンのエコーが効いたリズムと分厚いシンセが効いたパシャパシャした音なんだけど、これがなんともいいのだ。アダルトなウィンウッドの落ち着いたヴォーカルに空間的な奥行きを作っているというか、スペースの広いサウンドが妙に心に余裕を持たせてくれるような感じというか。
"Take It As It Comes"や"Freedom Overspill"みたいないわゆるロックっぽい曲よりも、レゲエっぽい裏のリズムで盛り上がっていく"The Finer Things"やソウルフルな"Back In The High Life Again"がお気に入り。
懐の広さとか、大人の余裕、みたいなものを感じるね。

若い頃の僕はきっとその余裕やゆとりが好きになれなかったのだと思う。
好きになれなかった、というよりは、自分の中にない、まるでわからない感覚だったというべきか。
もちろん今でも本当に大好きなのは、そういう心の底の感情をストレートに露にした表現なのだけれど、世の中を渡って行くためにはそればっかりでは破綻してしまうわけで、良くも悪くもここまで生き延びてしまった以上は大人としての責任を果たさなきゃ逆にカッコ悪くてやってられないのであって、大人としての責任を果たすために落ち着いて日常を過ごすためにはこれくらいのウェル・メイドのものがちょうどいい、ということなのだろう。
それはあきらめて適当に大人になってしまうこととは少し違う、大人としての懐の広さというべきもの。
今の自分に都合のいい解釈に過ぎるだろうかとも思いつつ、いいんだ、都合のいい解釈でもしとかなきゃ、いちいちムカついたり落ち込んでいたりしても前には進めないものね。
なんてことを思うくらい、この心地よさには抗いがたいものがある。
引っ掛かりがないからこその心地よさ。
技術とセンスに裏打ちされた心地よさ。
ゆったりした気分の中で生まれるゆとりが、エネルギーの再生産にはちょうどいい。




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コメント

[C2686]

akakadさん、こんばんは。
僕はトラフィックがいまいちピンと来なくってよくわからないままなのですが、このアルバムは歳を重ねるごとにこのマイルドさが好きになりました。
ロックっぽさはともかくとしても、いわゆるブルーアイドソウルの名盤かと思います。
  • 2015-10-26 23:38
  • goldenblue
  • URL
  • 編集

[C2684]

Traffic後期からずっと好きですね
表題曲のマンドリン?の音がとてもきれいですよね
マイルドすぎて刺激が足りないといえばそうなんですけどね

[C2572]

ひるのまりさん、こんばんは。
そうですね、僕はパンク以降に聴いてるからそういう差はあるかもしれませんね。
一番多感な頃には今みたいに名盤がっCDで再発されてなかったし、トラフィックのアルバムなんて手に入れようがんあかったですし。
そのうちいきなりハマったりするのかもしれませんねー。。

[C2571]

私はトラフィックで ウィンウッドを知りましたよ。
パンクだの テクノだのない時代の 新鮮な音楽って感じで 熱心に追っかけるわけでもないけど ず~っと心にひっかかている音楽

3年前ぐらいにクラプトンと一緒に来日したのを見に行きました。素敵な紳士になってましたよ♪
  • 2015-06-03 21:30
  • ひるのまり
  • URL
  • 編集

[C2570]

Bach Bachさん、こんばんは。
スティーヴ・ウィンウッドわからない仲間がおられて安心しましたー(笑)。
なんかこう、のめり込めない感、ぐわーっと来ない感があるのですよ。
そんな中でこれはいい感じ。天下のスーパーミュージシャンに向かって「いい感じ」ってのも何ですが。。。
ウィンウッドだから、というより80年代ブルーアイドソウルの名作のひとつかと。

[C2569] 私も

 私も、ウィンウッドさんの良さが分からず仕舞いで通り過ぎました。今度、聴き直してみようと思います(^^)。

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golden blue

Author:golden blue
“日々の糧と回心の契機”のタイトルは、好きな作家の一人である池澤夏樹氏が、自身と本との関わりを語った著書『海図と航海日誌』の一節より。
“日々の糧”とは、なければ飢えてしまう精神の食糧とでもいうべきもの。“回心”とは、善なる方向へ心を向ける、とでもいうような意味。
自分にとって“日々の糧”であり“回心の契機”となった音楽を中心に、日々の雑多な気持ちを綴っていきたいと思います。

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