2002年の暮れに、50歳であっけなくあの世へ逝ってしまったジョー・ストラマーの、結果的に遺作となってしまったアルバム。 ファーストシングルとしてカットされた“Coma Girl”とかレゲエ・リズムの“Get Down Moses”みたいなジョーらしいいかしたロックンロールから、ずしっと重い手応えの“Ramshacki Day Parede”、エレクトリカルなダンス・ビートを強調した“All in a Day”、アコギで弾き語るボブ・マーリーの“Redemption Song”やボビー・チャールズの“Silver and Gold”みたいにぐっと枯れた味わいの渋い録音まで、ジョーのキャリアを一気に駆け抜けたような曲の数々。 亡くなる直前のレコーディングとはとても思えないほど充実していてかっこいいのだ。 エネルギーがみなぎっている。 それも若い頃の怒りに任せた暴走気味のがむしゃらでめちゃくちゃなエネルギーではなくって、もっと内側から湧き出たエネルギー。 紆余曲折あって、いい思いもすればヘマこいて最悪の思いもしたけれど、そういう中から拾い上げた、自分自身のあるべき姿、果たすべきミッションみたいなものに素直に向き合おうとする中から出てきたようなね、そういう感じがする。 「やぁ、どうだい、今度のアルバムは。そりゃ、一時期はあせっていたことも腐っていたこともあったし、何とでもしやがれと投げやりになったこともあったさ。でもな、まだまだやりたいことがいっぱいあるんだよ。ちょっと久しぶりにちゃんとやってみようか、って感じなのさ、俺ももう50だしな。」 そんなインタビューでも聞こえてきそうなね、充実感。 ラストの“Silver and Gold”だって、さらっと流すとどこか達観したような呟きにも聞こえるけれど、そんなことはない。ジョーなりの、これからの行き方をきっぱりと宣言しているようなかっこよさと力強さが込められている。まだまだこれからだぜ、そう簡単に枯れてたまるかよ、って。
I'm gonna go out dancin' every night I'm gonna see all the city lights I'll do everything silver and gold I got to hurry up before I grow too old
I'm gonna take a trip around the world I'm gonna kiss all the pretty girls I'll do everything silver and gold And I got to hurry up before I grow too old
Oh I do a lotta things I know is wrong Hope I'm forgiven before I'm gone It'll take a lotta prayers to save my soul And I got to hurry up before I grow too old
Author:golden blue
“日々の糧と回心の契機”のタイトルは、好きな作家の一人である池澤夏樹氏が、自身と本との関わりを語った著書『海図と航海日誌』の一節より。 “日々の糧”とは、なければ飢えてしまう精神の食糧とでもいうべきもの。“回心”とは、善なる方向へ心を向ける、とでもいうような意味。 自分にとって“日々の糧”であり“回心の契機”となった音楽を中心に、日々の雑多な気持ちを綴っていきたいと思います。
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