10代の頃に聴いてきた音楽とソウル/R&Bの関係を振り返っていったとき、80年代の第二次ブリティッシュ・インヴェイジョンと言われた、ソウルから影響を受けたイギリス勢の存在は無視することができない。いわゆるブルー・アイド・ソウルと呼ばれた白人がプレイするソウル・ミュージック。カルチャークラブやポール・ヤングに始まって、ABC、スパンダー・バレエ、ワム〜ジョージ・マイケル、ポール・ウェラーのスタイル・カウンシル...
1986年、突如大ヒットしたロバート・クレイのアルバム『Storong Persuader』。“Smoking Gun”なんてMTVでもしょっちゅう流れていた記憶がある。マイルドなトーン、ジェントルな語り口。ホーンやキーボードも入ったR&B寄りのサウンドは、同世代のスティーヴィー・レイ・ヴォーンのような派手さもなく、だからといって渋好みの泣かせるプレイをするわけでもない。テクニックは確かに素晴らしいのだろうけど、すごいテクニックのギタリ...
golden(以下g):「まずは阪神タイガース、38年ぶりの日本一。おめでとうございます。」blue(以下b):「勝ってもうたな。」g:「第7戦までもつれた素晴らしい戦いでした。」b:「まぁ、143試合も戦うシーズンの優勝が大事なんで、日本シリーズはどっちゃでもよかってんけどな。」g:「でも、嬉しいでしょ?」b:「そらまぁ、なんせ38年ぶりやからな。」g:「38年前っていうと18才だったからね。」b:「大学一年生やったな。」g:「ある意味、...
80年代の半ばという時代は日本ではバブル景気への突入期。なんだかお洒落で浮かれたものがあっちこっちで幅をきかせ、ネアカ・ネクラ、マルキン・マルビなんて言い方で明るくゴージャスであることが正しいとされた時代だった。この時期、ブラック・ミュージックはブラコンの最盛期。ライオネル・リッチーやテディ・ペンターグラス、ピーボ・ブライソンを筆頭に、ルーサー・ヴァンドロスやジェームス・イングラム、カシーフといった...
アニタ・ベイカーさんが一躍ブレイクした1986年のアルバム。いわゆるクワイエット・ストームっていうのかな。アダルティー、シルキー、ロマンチック、ジャジー、スムージー・・・そんな言葉で形容される彼女の音楽は確かにお洒落で、バブル最盛期の80年代後半には粋なオトナのBGMとして流通していたことは確かではあるのだけれど、ただお洒落なだけではない、芯があってずしんと心に響く骨太さも魅力なわけで。プロデューサーは...
1987年はプリンスの『Sign Of The Times』がリリースされた年。その年に、プリンスをも凌ぐ大物として鳴り物入りでデビューしたのがテレンス・トレント・ダービーだった。ひとりですべての楽器をこなし、ソウル・ミュージックをベースにしつつもロックからの影響も濃いスタイルは当然プリンスを連想させるけど、テレンス・トレント・ダビーはプリンスよりももっとダイレクトにロックっぽかった。ファンク度は控えめだったし、リズ...
11月に入っても暑い日が続くなぁ、と訝しんでいたら、途端に一気に気温が下がった晩秋。そそくさと冬物のカーディガンやらダウンやら毛布やらを引っ張り出してコタツも出して。なにしろ今日の最高気温は11℃だったそうだ。25℃くらいあったのが一気に10℃以上も下がるんじゃ、身体だってなかなかすぐに順応できなくて当然だろう。身体のバランスが狂えば心のバランスも崩れるものだ。今日は朝からキツめの雨。灰色の雲がどこまでも空...
フィッシュボーンの登場は結構衝撃的だった。ファーストのミニアルバムがリリースされたのは85年だったかな。パンク以降のシーンのイギリスでは、白人黒人混成のUB40やスペシャルズなんかがレゲエやスカとパンクをミックスしたような音楽をプレイしていたけれど、それをアメリカの黒人たちが逆輸入したような音がとてもインパクトがあったのだ。“Ma and Pa”はファンキーなスカだけど、歌われているのは家庭崩壊だったりするわけで...
アメリカは広い。今でこそ50州は一体であるようなイメージがあるけれど、実は地域によってその歴史は幾分異なっている。1867年に併合されたアラスカ州や1898年に属州になったハワイ州は言うに及ばずだけど、テキサス州はスペイン領・メキシコ領から独立国の時期を経て1845年に合衆国に参加しているし、ニューメキシコ州やカリフォルニア州がメキシコから併合されたのは1848年で、これらの地域は1776年にアメリカが独立してから70年...
ニューオリンズといえばネヴィル・ブラザーズ。1954年に長兄アートがホーケッツに参加したのを皮切りに、ミーターズや数々のセッション・バンドで、あるいはソロで、ニューオリンズの音楽シーンを司ってきたネヴィル4兄弟がネヴィル・ブラザーズを結成したのは1977年のことだけど、キャリアで言えばローリング・ストーンズ以上のキャリアを誇る重鎮。1989年リリースのこのアルバムでは、よりアフリカ的なサウンドを志向し、ヴード...
セネガルの首都・ダカールの沖合にはゴレ島という世界遺産がある。16世紀から18世紀にかけて、西アフリカの各地で取り引きされた奴隷は、一旦この島に集められたあと、アメリカへ送られたのだそうだ。ヨーロッパからの移民の多くが、受け入れ窓口だったニューヨークのエリス島を通ってアメリカに入ったのとは逆に、多くの黒人たちはこの島を通ってアメリカに入った。ある意味、アメリカや西欧世界にとっての負の遺産と言える島だ。...