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The Poet/Bobby Womack

80年代、本物のディープなソウル・ミュージックは瀕死の状態だった。ファンキーなリズムがいつの間にか骨抜きにされ、単純に機械的なビートを繰り返すだけのディスコ・ミュージックに食われてしまったのだ。官能もなくただただ機械的に快楽だけを提供するディスコにはスピリットがない。またA.O.Rとフュージョンが大流行した時代でみあり、軽薄短小というものがもてはやされつつあった時代でもあった。爽やかさこそが一番とされた...

The Many Facets Of Roger/Roger

ファンク・バンドZappの中心人物、ロジャー・トラウトマンが81年にリリースしたファースト・ソロ・アルバム。トーキング・モジュレーターを使ったコーラスや、ハンドクラップ、スクラッチ・ギターなどZappでもおなじみの要素をふんだんに盛り込んだファンク・アルバムだ。のっけからマーヴィン・ゲイの“I Heard It Through The Grapevine”をファンキーに。リズムはかなりシーケンサー多用のエレクトリックなものなんだけど、ロジャ...

Reflections/Gil Scott-Herpn

黒いボブ・ディランと呼ばれたギル・スコット・ヘロン。ジョン・レノンやボブ・マーリーやカーティス・メイフィールドに肩を並べるくらいの黒人社会からの異議申し立てや政治的な告発を、メロディーがあってないようなリズムの立った言葉を速射砲のように連ねていく様は確かに黒いボブ・ディランだ。歌というよりスポークン・ワーズに近い歌い方はラップの先駆者のようでもある。ゲットーのブラザーたちここは本当にデンジャラスな...

Making History/Linton Kwesi Johnson

リントン・クゥエシ・ジョンソンは、社会派の詩をダブのリズムに乗せて語るように歌うポエトリー・リーディングの第一人者。メッセージを直接語るポエトリー・リーディングというスタイルがラップに直接影響を与えたのは想像に難くないけれど、それ以上に革命的だったのはダブだ。メロディーやアレンジではなく、音響を音楽の一部としたというのは、エレキギターの登場に匹敵するようなかなりの革命的な事件だったのではないだろう...

City Gates/George Adams~Don Pullen Qualtet

ジョージ・アダムスは、チャールズ・ミンガスのグループなどで頭角を現したサックス奏者。ミンガスといえばど真ん中王道のジャズよりもちょっと外れたところでちょっと偏屈な音を出すイメージがあるけれど、ジョージ・アダムスもそういう親分直系の、ちょっとフリーキーで、でも黒人音楽のルーツにしっかりと根ざしたスタイルに好感が持てる人だ。印象としては、ローランド・カークが少しまともになってアルバート・アイラーを目指...

Born To Love / Roberta Flack & Peabo Bryson

80年代前半は、ディスコ・ブームが一段落して、ブラック・コンテンポラリーと呼ばれる音楽が流行した時代で、僕が初めて「ブラコン」=ブラック・コンテンポラリーを認識したのはこの曲でした。「ベストヒットU.S.A」の中のCMで頻繁に流れていたからね。嫌でも耳についた。1983年、高校2年生だったのだな。当時、黒人音楽への興味はほぼゼロに等しかった。ロックに夢中で、特にパンクのかっこよさに衝撃を受けた頃だったのだから...

No Problem/上田正樹

サム・クックとレイ・チャールズが興しオーティス・レディングやスティーヴィー・ワンダーが世界中へと拡大させたソウル・ミュージックは、世界中のあっちこっちで地域の音楽とミックスしながらあっちこっちでBabyたちを作っていった。日本でも、たくさんのアーティストが影響を受けて、ソウル/R&Bっぽいやり方で音楽を生み出していった。そこで、番外編として、いくつかの日本人アーティストをピックアップしてみたいと思う。先駆...

OK/RCサクセション

RCサクセションがソウル/R&Bのバンドなのか、といえば賛否両論の意見があるだろう。確かにソウル/R&Bの影響を強く受けたバンドではあるけれど、RCがソウルバンドであるならば、ローリング・ストーンズやJ.ガイルズ・バンドなんかもソウルバンドに加えなくてはならなくなるだろう。ただ、改めてソウル/R&Bを好んで聴くようになっていった経緯を紐解いていくと、RCサクセションや忌野清志郎の存在はやはり外せない、との思いもあり番...

Soul Vacation/Rat'n'Star

我々の世代にソウル・ミュージックの楽しさを教えてくれた一番身近な存在はシャネルズ〜RATS &STARだったのではないだろうか。80年だったっけ、“ランナウェイ”でシャネルズがデビューしたのは。揃いのスーツに黒塗りの出で立ちはインパクトがあったし、テレビにもよく出てたからけっこう自然に馴染んでいた。大好きでよく聴いていたのは、83年リリースの『SOUL VACATION』。プロデュースは大瀧詠一、ジャケットはアンディ・ウォー...

Run To Live,Live To Rin/円道一成

うー!これはカッコいいな。残念ながらCDが再発されないまま、今や知る人ぞ知る存在になってしまった円道“シャーク”一成さんの1984年のレコード。オープニングの“愛しのワンダフルダーリン”は確か、何かのCMソングにもなってたんだったかな、当時けっこうヒットしてた記憶があるんだけど。アルバムには山下達郎も全面参加していて当時流行していたシティ・ポップ風の佇まいではあるけれど、何しろ円道さんのシャウトがすごい。オー...

Private Dancer/Tina Turner

惜しくもこの5月に亡くなられたティナ・ターナーが1984年にリリースした『Private Dancer』。このアルバムを敢えて選んだのは、リアルタイムで初めてちゃんと聴いたブラック・ミュージックのレコードだったという大変個人的な理由によるものです。当時ヒットしていたブラック・ミュージックのアーティストといえば、マイケル・ジャクソン、ライオネル・リッチー、プリンスあたりだったか。そのあとホイットニー・ヒューストンが出...

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golden blue

Author:golden blue
“日々の糧と回心の契機”のタイトルは、好きな作家の一人である池澤夏樹氏が、自身と本との関わりを語った著書『海図と航海日誌』の一節より。
“日々の糧”とは、なければ飢えてしまう精神の食糧とでもいうべきもの。“回心”とは、善なる方向へ心を向ける、とでもいうような意味。
自分にとって“日々の糧”であり“回心の契機”となった音楽を中心に、日々の雑多な気持ちを綴っていきたいと思います。

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