花が美しいのは、花びらが彩りよくカラフルだからではない。花を開かせる草木のしなやかさや繊細さ、生命力の力強さまでがあるからこそ、その象徴としての花が美しいのだ。・・・誰かの名言だったかどうかは知らない。けれど、そういう言葉を思い起こさせるような美しさが、インプレッションズの音楽にはある。インプレッションズ。オーティス・レディングやウィルソン・ピケットらの汗臭い南部ソウルとは真逆の、洗練されたアレン...
60年代ソウルミュージックといえば、絶対に避けて通れないのがモータウン。マーヴェレッツ、シュープリームス、マーサ&ザ・ヴァンデラス、テンプテーションズ、フォー・トップス、マーヴィン・ゲイ、スティーヴィー・ワンダー、そしてスモーキー・ロビンソン&ザ・ミラクルズ・・・ざっと指を折っただけでも2ダースをはるかに超えるヒットソングが次々と浮かんでくる。そんなモータウン・レーベルのアーティストから一人・一組を選...
シカゴ・ソウル、デトロイトのモータウンと来て再び南部へ。メンフィスに拠点を置いたスタックス・レコードは、MG'sという最強のハウス・バンドと共に山ほどの素晴らしいリズム&ブルースを録音した。ウィルソン・ピケット、ソロモン・バーク、サム&デイヴ、アレサ・フランクリン、エディ・フロイド、パーシー・スレッジ、アーサー・コンリー、ジョー・テックス、ジョニー・テイラー。数多くいるソウル・シンガーたちはそれぞれにみ...
「#私を構成する42枚」という企画が界隈で流行中。こういうのって、ついついやらずにはいられない性分です、ハイ。今更って感じもありつつ、まぁ「ロックの日」でもあることだし(←関係ない)。「構成する」という以上は、四角八面喜怒哀楽、できるだけいろんな要素を散りばめた方がいい。気分や気候に左右されず、いつ聴いても響くものがいい。長く聴いて体に染み込んでいるもの、そして、それなりに自分の人格形成や思考方法に影...
ポップに徹して白人社会の中で支持を得ようとしたモータウンの音楽とは真逆に、徹底して黒人社会に根付いた黒い音楽を演ろうとしたのがジェームス・ブラウンだ。“ザ・ハーデスト・ワーキング・マン・イン・ショウビジネス”、“ナンバーワン・ソウル・ブラザー”、“ファンキー・プレジデント”、・・・数々の異名を持つJBの初期のニックネームが“ミスター・ダイナマイト”、そしてその次のニックネーム“ファンクの帝王”が付けられたのが...
20代の頃、ジャズはちんぷんかんぷんだった。なんとなく、凄腕のミュージシャンたちがしかめっ面をしながらテクニックをひけらかしあっているようなイメージっていうか、門外漢が近づいてはいけないような雰囲気があった。特にそういう雰囲気を醸し出していたのがコルトレーン周辺とマイルス・デイヴィス周辺だろうか。マイルスについては、60年代後半〜70年代前半のはロック化しているとかいう批評なんかも読んでトライしてはみた...
ジャッキー・ウィルソン御大の“(Your Love Keeps Lifting Me)Higher and Higher”。ブラック・ミュージックの魅力を一曲で代表して伝えなさい、という命題があったとすれば、僕ならこの曲を一番に選ぶ。どうでしょう、この活き活きとしたリズム。伸びやかなヴォーカル。チャカチャカしたギターとパーカッションが生み出すグルーヴとバンドのアンサンブル、コーラスのハーモニー。完璧な一曲だと思う。ジャッキー・ウィルソンはエ...
ジミ・ヘンドリックス・エクスピリエンスのデビューアルバム。「ソウル/R&B60年代〜90年代」と銘打ったこのチョイスにこれを選ぶかどうか、というのは正直迷った。ジミ・ヘンドリックスの音楽は、どこをどう拾ってもロックであって、ソウル/R&Bではないからだ。ではロックとソウル/R&Bは何が違うのか。それを見つけようといろいろ考えているうちに、その違いがよくわからなくなってしまった。というのも、ジミ・ヘンドリックスの音...
6月25日(日曜日)午前9時45分。目が覚めると2畳くらいの窓がない暗い部屋の一室だった。あぁ、そうだった。ネットカフェで泊まったんだった。外に出ると首都高の高架、その向こうに六本木ヒルズが見える。蒸し暑い。あ、チェックアウト時間慌ててシャワー浴びそびれた。東京にはかれこれ10年以上ほぼ毎年、まぁコロナワクチンの副作用とか痛恨の腰痛とかで行けなかった年もあるけど、ほぼ毎年来てる。でも、六本木で泊まるのは初...
シカゴのブルースマン、マジック・サム。マジック・サム・ブルース・バンドを率いて1967年にリリースされた初めてのアルバムがこの『West Side Soul』だ。オープニングからソウルフルな“That's All I Need”で始まるこのレコードは大好物の一枚。っていうか、ブラックミュージックが好きでこの人が嫌いな人などいるはずがない。それくらい、ブラックミュージックの魅力がギュッと凝縮されたレコードだ。でも、残念ながらブルース・...