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ザ・中間管理職ブルース

「やっぱり辞めることにしました。」彼女がそう申告してきたのは8月のお盆前のことだった。7月頃に、2週続けて月曜日に遅刻、しかも一度は連絡なしの遅刻をしてきた彼女に、面談をしたところ、「このところすごくしんどくて眠れなくて。」と。「いわゆるサザエさん症候群的な奴?」「そうかしれません。皆さんが普通にこなせてることが全然できなくて。」「そうか、無理せずにな。」と返したものの、彼女をそこまで追い込んだ張本...

音の食卓〈肉じゃが〉

ほこほこに炊きあげられたじゃがいも。箸を入れるとほろっと崩れる。しっかりと染み込んだ甘辛い醤油味の向こうに、牛肉の旨みがじわじわと口の中に広がっていく。くたくたになった玉ねぎがそこに加わってまた違う種類の甘みが重なる。人参は見た目は少し固く感じられるけど歯茎ですっと潰れるやわらかさで、そのじゃがいもと異なる食感がなんとも心地よい。そこにまた糸こんにゃくのぷりぷりした弾力が絶妙なアクセントを連れてく...

ナイスピッチングな好投

「本日のヒーローインタビューは、7回2安打無失点、ナイスピッチングな好投で、3年ぶりの勝ち投手となりました笠根投手です。笠根さん、おめでとうございます。」「ありがとうございます。」「7回を無失点で切り抜けましたね。」「そうですね、先に先制点を与えてはいけないと思って頑張りました。」「危険なピンチは、4回ランナー1・2累で4番の中本選手の場面でした。」「はい、後で後悔したくないと思って、しっかり勝負に行きま...

音の食卓〈幕の内弁当〉

幕の内弁当。若い頃はピンと来なかったんだけど、年をとってちょっと、いろんなものを少しずつ、っていう楽しみがわかるようになってきた気がする。エビ天、鶏の煮物、ポテトサラダ、きんぴら、わかめとちりめんの酢の物、佃煮、菜っ葉の煮浸し、お新香・・・小さな間仕切りに少しずつちまちまと盛られた色とりどりのおかず。いろんなものの断片を少しずつ切り取った箱庭的世界。幕の内弁当には、世界が詰まっている。ルーツをたど...

音の食卓〈昆布の佃煮〉

ほっかほかの白ごはんの上に佃煮。大したおかずがなくても、佃煮さえあればごはんが山盛り食べられる。今でこそおいしいものがたくさんあって佃煮なんて必需品ではないけれど、冷蔵庫が普及するまでは佃煮はとても大切な保存食だったのだ。そもそもは、漁師の自家用食で、悪天候時の食料や出漁時の船内食とするために、小魚や貝類を塩や醤油で煮詰めて保存食としていたもの。傷みが早い雑魚がたくさん獲れると佃煮を大量に作り保存...

音の食卓〈お茶漬け/おにぎり〉

ジョン派かポール派かかと問われると、圧倒的にジョン派だった。若い頃にガツンと衝撃を受けたロックンロールの熱さやテンションを感じるのはやっぱりジョン。ジョンの音楽には、生命のエネルギーがあふれている。ゴワゴワしてのみこみにくいところもあるけれど、苛立ちや内省も含めて生々しい。それに比べると、ポールの音楽は美しすぎる。良くも悪くも室内楽的な落ち着きがある。さっぱりしすぎてちょっと食い足りない。ただ、大...

音の食卓〈クリームシチュー〉

子供の頃、母親の作るコーンたっぷりのクリームシチューが大好きだった。ミルクたっぷり、ベーコンととうもろこしもたっぷり入っていて、じゃがいもがゴロゴロしてて、おかずになるくらいの満腹感があって。兄弟たちがご機嫌でおかわりをねだるのは、母親にとってもすごく嬉しいことだっただろう。*肌寒い季節になってくると、あったかいスープやシチューが恋しくなります。コーンたっぷりのスープや、じゃがいもや玉ねぎがゴロゴ...

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golden blue

Author:golden blue
“日々の糧と回心の契機”のタイトルは、好きな作家の一人である池澤夏樹氏が、自身と本との関わりを語った著書『海図と航海日誌』の一節より。
“日々の糧”とは、なければ飢えてしまう精神の食糧とでもいうべきもの。“回心”とは、善なる方向へ心を向ける、とでもいうような意味。
自分にとって“日々の糧”であり“回心の契機”となった音楽を中心に、日々の雑多な気持ちを綴っていきたいと思います。

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