黒は強さの色だ。力強い、パワフルという強さではなく、頑丈さ。いわゆる強度の高さ。象に踏まれても潰されない強さ。どしっと構えてたじろがない強さ。石の上にも何年的な我慢強さを含む頑丈さ。黒はまた、闇の色でもある。闇の中では何にも見えない。何にも見えないということはある意味何物にも惑わされないということで、やはり黒は強さの色だと思う。そういう強さを持った音楽といえば、これを思い出す。...
知らない町を訪れるとき、地図は必需品だった。一晩を夜行バスで明かしてたどり着いた町のインフォメーション・センターで簡単な地図をゲットする。現在地を確認して、その町の目ぼしい場所を探す。歩いていけるのか、バスに乗るのか。地図さえあれば、多少道に迷っても問題ない。自分の現在位置と目標の位置さえ把握できれば、問題は半分以上片付いたようなもの。その差をどうやって詰めるのかさえ考えればいい。*幼い頃から、地...
爽やかな風、穏やかな日射しの休日。芝生に寝っころがって、こんな歌でも聴いていたい気分。新しいウイルスのニュースをどこか他人事のように噂していたのが2月、どうやらこれはまじでヤバいらしいと行動の変容を迫られたのが3月の半ば。それがなんだかものすごく前のことのような気がするくらい、4月、5月と怒濤の日々を過ごして、ようやく落ち着きがみえてきた6月。毎日神経を尖らせて、気を張ってたんだな、今思えば。けっ...
一番好きな色は、青なのです。青にもいろいろと幅はあるけれど、ちょっと暗めの青色が好き。瑠璃色~群青~インディゴブルー、いや、それよりは少し明るさがあったほうがいい。美しく言うと、夜明け前の空の色が理想的だ。青色というのは、分類としては寒色で、つまりはクールな色とされている。冷静沈着で、ふざけたりはしゃいだりはあまりしないイメージがある。また、憂鬱な気分を英語でブルーと表現するように、どちらかといえ...
ルースターズの音楽は蒼い音という印象が強い。「青」ではなく「蒼」。グレーがかったブルー。ガンガンと煽りたてる音ではなく、じわじわと熱くなっていく音。熱いハートと同時に、どこか心の奥底が芯まで醒めている音。特に、下山淳と安藤広一が加入した“DIS.”以降大江慎也脱退までの“Good Dreams”、“Φ”は、くすんだ蒼の感じ。或いはそこに少し透明感の入ったクリスタルブルーだ。...
日本語で「青」と呼ぶ色の範囲は実はとても広い。どうやら古来、青という色は、赤や黄、白や黒以外のすべての色、灰色~青~緑に至る幅で使われていたらしい。「青葉」「青虫」「青田」「青信号」、実際は緑色なのにそれを「青」と呼ぶことに誰も何の違和感もないのは、そのことがあながち不自然ではないからだろう。エメラルドグリーンや若竹色、ターコイズブルーや浅葱色など、青と緑の中間のような色は、とても好きな色。この「...
「○○君が全部飲み終わるまで、授業は始めませんよ。」その女教師は、そう言って僕の前に仁王立ちになった。「ほら、もう少し。がんばって。」「う、ぐ、ぐ、、臭いが、、」「△△くん、○○くんの鼻をつまんであげて。」「はーい。」「ほら、もう少しよ。あと一息。」・・・ぐ、ぐ、ぐなんとか全部飲み切った。「ほら、飲めたじゃない。がんばればできるのよ。」そう女教師が言い終わる前に、僕は無理矢理胃の中へ押し込んだ牛乳を、す...
紫という色は一筋縄ではいかない色だ。特にすみれ色や藤色ではなく、いわゆるパープルには、古くから官位の高い人の色とされたように高貴なイメージがある一方で、セクシャルというか妖艶というか淫靡というか、少しアブノーマルな印象も強い。魔術的、神秘的な印象もあるけれど、そのことが安らぎにつながるかといえば、むしろ不安をあおるような感じがしたりする。未知のものへの強い興味を誘惑する色。少なくとも、安定した日常...