Listen To The Music 2/槇原敬之 夏川りみの「歌探し」以来、カバー集が気になっていろんなのを聴いてみたけれど、その多くは極論すればカラオケ集にすぎなかった。まぁ、それはそれで予想通りだったし、それなりには楽しんだのだけれど。 そんな中で槇原敬之のこのアルバムだけは印象が違っていた。 なんというのだろうか、槇原敬之にとって歌う必然性のあった歌、歌われるべくして歌われた歌、とでもいえばいいだろうか。 ...
Sold/Boy George 麻薬がらみで思い出したアルバム、ボーイ・ジョージの『SOLD』。 ある世代であれば言わずと知れた、カルチャークラブのフロントマンだった男。80年代前半、奇抜なメイクと女装で世間を驚かせ、小学生でも口ずさんでしまうようなポップな楽曲で世界中を席巻した。そして、ある世代にとっては「誰それ?」と言われるかもしれないかつてのポップスター。 2ndアルバムで絶頂に達した人気は、それがある種の「現...
I Was Warned/Robert Cray このところなぜかロバート・クレイにはまっている。たまたま中古CD屋で何の気なしに手に取った一枚だったのだけれど、カーステレオに永らくつっこみっぱなしで、つい何の気なしに彼のギターのフレーズを追いかけていたりしてしまうのだ。 ホーンやキーボードも入ったR&B寄りのサウンド、マイルドなトーン、ジェントルな語り口。秋晴れの澄み渡った空にも、今日みたいな雨の日曜日にもよく似合...
手紙~拝啓 十五の君へ/アンジェラ・アキ 不覚にも感動してしまった。アンジェラ・アキの『手紙~拝啓 十五の君へ』。 正確には歌そのものだけではなく、たまたま見ていたテレビの「NHK全国学校音楽コンクール中学生の部」のドキュメンタリーに感動したのだろうけれど。 ドキュメンタリーでは、コンクール(うっわっ、なんか懐かしい響きの言葉!)に向けて悩みつまずき挫折しながらも一生懸命練習する中学生たちの姿を追ってい...
今日は近所の神社の秋祭りの日。 昼間から神輿や花笠の行列が練り歩き、参道に露天がにぎやかに並び、夜には大きな火のともった松明が奉られる。 天にも届くような炎、その向こうのキーンと澄んだ夜空には、煌々と輝くお月様。 明日あたりが満月だろうか、ほんの少し欠けている。 月見といえば九月だが、平安の昔から、中秋の名月の翌月の満月の前の月を「十三夜」と呼び愛でる風習があるのだそうだ。完璧にまん丸な十五夜の月より...
瀕死の双六問屋 / 忌野 清志郎 通勤用のカバンにはいつも何か一冊は本が入っている。 今読んでいるのは、『瀕死の双六問屋』という本。作者・忌野清志郎。 2000年頃にTVブロスという雑誌に連載されたコラムを集めたものだが、そんなものが出版されていることは実は全く知らなくて、先日たまたま寄ったタワーレコードで売っているのを偶然発見して迷わず購入したのだった。2000年といえば、ちょうど国歌の法制化の是非が問題に...
少し汗ばむくらいの快晴。爽やかないいお天気だった。 久しぶりに何の予定もない一日。ごろごろしながら、昼間からビールを飲んでいた。 そもそもそんなに酒好きではなかったのだけれど、どうしてだろう、このところやけにお酒がおいしい。 煙草は、いろんな不要物質が充満してごちゃごちゃになってしまった頭や気持ちをクール・ダウンさせるためのもの。お酒は、表に出すことがなかった心の裏側のひだのすき間に隠れこんでしまっ...
印度放浪 (朝日文庫)/藤原 新也 歩むごとに、ぼく自身と、ぼく自身の習ってきた世界の虚偽が見えた。ぼくは歩んだ。出会う人々は、悲しいまでに愚劣であった。出会う人々は悲惨であった。出会う人々は滑稽であった。出会う人々は軽快であった。出会う人々は、はなやかであった。出会う人々は、高貴であった。出会う人々は荒々しかった。世界は良かった。 1960年代末、当時23歳の藤原新也がインドで目にしたもの。それは、川辺りで...
旅に出て目に映るものは、どんなものでも目新しく鮮やかで興味が湧く。 けれど、それらはそこで日常的に暮らしている人々にとっては、ごく普通のなんでもないことでしかない。 旅の初期に旅の熱気を昂らせるそれらのものが、やがて旅が長くなってきた時には淋しさの原因の変わってゆくものだ。自分だけが部外者で観察者であることの孤独、どんなに深く関わろうとしても、内部の人たちだけが持ちうる熱に同じ温度で関わることなどで...