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◇海図と航海日誌

  海図と航海日誌 /池澤 夏樹 このブログのタイトル「日々の糧と回心の契機」という言葉は、池澤夏樹が著書『海図と航海日誌』の中で、自らが本を読むという行為の意味づけとして語った言葉からの借用だ。 作家であるとともに、優れた書評家である池澤夏樹がこの本を上梓したのは1995年、50歳の時。自らの私生活のことをほとんど語らない池澤氏が、読んできた本を通じて文学を語る中で、自らの半生をうっすらと描き出した作品...

♪5月の心地よい風のような

すっかり夏のような陽気だと思ってTシャツ一枚でうたたねしていたら風邪を引いてしまったようだ。 夕べ夜半から降り出した雨がしっとりと緑を濡らしている。 5月は好きな季節。 何よりも身軽さが心地よい。 コートやセーターで重装備する冬はそれだけで気が重くなる。 そして適度な気温と、さらりとさわやかな湿度の低さ。 今日みたいな雨でさえ、むしろ潤いすら感じさせてくれる。 それでは、5月の5枚。      &...

♪天使たちにつつまれて / 五月のある晴れた日のアート・ガーファンクル

Garfunkel/Art Garfunkel お別れは、花屋の二階の小さな式場でとりおこなわれた。 綺麗な花に飾られた彼女は、穏やかな表情で目を閉じていた。 彼女が好きだったというサザンのバラードが、まるで彼女がそこにいるかのように鳴っていた。 余命宣告を受けた後も彼女は明るかった。それは決して無理をして明るく振舞っているような健気さではなく、まるで「明日は都合が悪くて遊びに行けないのよ」とでも言うように、残念だけど決ま...

♪タバコと、穏やかな日々へのあこがれと、ヴァン・モリソン

Avalon Sunset/Van Morrison TASPO、もう申し込みましたか?関西地域ではこの6月からTASPOがないと自動販売機でタバコが買えなくなる。で、これを機会に禁煙しようかな、という動きが僕の周囲では起きている。曰く、百害あって一利なし、曰くタバコは依存症だ、曰くタバコをやめてこづかい節約…と。 なんだかんだで20年近く、毎日一箱近くを煙にする。体に良い訳はないのはわかっている。 が、タバコこそは、次々とやってくるトラ...

◇重松清 『世紀末の隣人』と、山椒魚男の逮捕

世紀末の隣人 / 重松 清枚方と京都で、階下に住む少年や通りすがりのパート女性を刃物で切りつけて殺人未遂で指名手配されていた容疑者が、埼玉で捕まった。正直少し安堵した。というのも、この犯人が出没していた枚方-宇治-京都の淀川上流の河川敷は、僕の生活圏であり、万が一とは思いつつも、深夜に帰宅する時など、ひょっとして近所をうろついているかもしれない、という緊張が少しはあったからだ。 犯人は、僕と同年代の、...

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golden blue

Author:golden blue
“日々の糧と回心の契機”のタイトルは、好きな作家の一人である池澤夏樹氏が、自身と本との関わりを語った著書『海図と航海日誌』の一節より。
“日々の糧”とは、なければ飢えてしまう精神の食糧とでもいうべきもの。“回心”とは、善なる方向へ心を向ける、とでもいうような意味。
自分にとって“日々の糧”であり“回心の契機”となった音楽を中心に、日々の雑多な気持ちを綴っていきたいと思います。

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