冬の十字架 / 忌野清志郎 Little Screaming Revueいわゆる「中国産冷凍ぎょうざ」問題。いや、「事件」か。確かに今までさんざんあった偽装事件とはレベルが違う。健康被害が出た、そのことに対する食品会社や輸入者、販売者の責任は重い。しかし、まだ原因も明らかでない中でのマスコミの過剰なまでの報道はどうなんだろうか?逆にいたずらに不安を煽ったのではないか、という気がする。原因不明の中での被害の重大性・拡散性・...
寒水魚 / 中島みゆき家に帰ったら、6歳の娘が最近書けるようになったカタカナで、「メタミドホス」「ジクロルボス」と記した絵を描いていた。脇には「どくタイプ」「はがねポケモン」の文字。どうやら、その響きから悪者ポケモンを連想したらしい。思わず笑ってしまったけれど、6歳の子供も興味を示すほど、中国製餃子による中毒事件は日本中を震撼させている、ということなのだろう。テレビはこの一週間、興味本位に不安を煽る...
His Best (Chess 50th Anniversary Collection / Sonny Boy 'Rice Miller' Williamsonなんとなく重い気分で帰る最終電車の中で、酔っぱらいのじいさんが大きな声で独り言をわめき散らかしていた。何を言っているのかはよくわからない。やがて前の席に座ってメールをしていた若い女の子にからみだした。俺の若かった頃は、近頃の若い者は、とか、そんなことを説教しているらしい。これって「電車男」のシチュエーションだなぁ、な...
A Pagan Place / Waterboys朝からの雪はぼたぼたと降り続いた。まるで、学校の社会科の副読本に載っていた北国の冬の暮らしの写真のように、一日中降り続いていた。関西で雪が降り積もることはとても珍しい。積雪自体が何年ぶりだろうか?ぼたぼたした雪が一日中降っていた、という記憶がほとんどないのだけれど。日が暮れて、雪はやみ、はしゃいでいた子供たちの姿も消え、真っ白な世界だけが闇に浮かび上がる。明日の朝には、...
Declaration / Alarm実は先日から、愛用のNETウォークマンが故障している。電源を入れてもディスクが回転する画面が延々と続くだけで一向に再生しないままで、先端技術の機械というものはこうなってしまったらもうお手上げだ。SONYのお客さま相談室へ電話したら、いろんなことをたくさん訊かれた挙句にサービスセンターへ持って行けと言われ、持ち込んだら「ハードディスクの破損・修理代2万円」だという。さしあたってそんな余...
Crossing / Big Country1980年代前半。スコットランドやウェールズ、アイルランドといった英国の辺境の地から、高い精神性とパンクの反逆の精神を併せ持ったかっこいいロック・バンドが続々と出現していた。今や超ビッグネームになってしまったU2をはじめ、先の記事のウォーターボーイズやアラーム、エコー&ザ・バニーメン、ポーグス、デキシーズ・ミッドナイト・ランナーズ、アズテックカメラにペイルファウンテンズ、ブルー...
Joshua Tree / U2雪は止み、よく晴れた日曜日。軒から滴り落ちる雪解け水は春を連想させるけど、風はまだまだ冷え切ってキーンと音を立てて耳元を掻っ切ってゆく。ゆうべ白い花を咲かせていた落葉樹の枝は、また元の枯れ木の風情に戻ってしまった。1987年に発表されたU2の5作目のタイトルになった『ヨシュア・トゥリー』。ヨシュア・トゥリーとは、アメリカ南部の砂漠に生えるリュウゼツランの一種で、枯れ木のように見えながら...
親愛なる者へ / 中島みゆき未だNETウォークマンは壊れたまんま。それで、古いカセットテープを整理していたら、ダンボールの中から中島みゆきのテープが出てきた。『臨月』と『寒水魚』と、その当時自分で作った自己編集テープ。1982、3年か。あの頃の中学生にとってレコードは高かった。レコード(LPレコードだ)を買いたいと思ったら、まず友人に持っていないかを聞いてみる。友人が持っているものは借りて済まして、誰も持っ...
Blue Valentines / Tom Waits彼女が送ってよこした青いヴァレンタイン・カード記念日に送られた遠くフィラデルフィアからあの頃を思い出させるまるで牢獄からの外出許可証のようだ或いはふと思い立って鏡で後姿をチェックするような名前を変えた理由は俺は今も逃亡の途中だからおまえが俺の居場所を知ってるなんて思いもしなかった彼女が送ってよこした青いヴァレンタイン・カードまるで半分忘れかけた夢のように靴の中の小石の...
MTV Unplugged NYC 1997 / Babyfaceもし星に手が届くならそのひとつをもぎとってあなたに捧げたい僕の心で輝いて真実を照らしだす僕の心の内に秘めた想いそれがすべてだと思っていたけど、それはわかってたんだそれはただの夢もし世界が変えられるならあなたの宇宙の光になりたい僕の想いはきっとあなたにもわかるはずあぁ、もしも世界が変えられるならもしたった一日だけでも王様になれるとしたならば僕はあなたを女王に選ぶだ...
It's Your Night / James Ingramこの時期になるとレコード店の店頭には必ず飾られる甘いラヴ・ソングばっかりを集めたオムニバスのCD。実際暮らしの小道具としての需要があるのだろう。手を変え品を変えいろんなものが発売される。そのことをとやかくいうつもりはないけれど、個人的には甘いものは苦手だ。食べ物も、音楽も。おなかにもたれるのだ。それでも時々は、大甘のくどいくらいのラヴ・ソングに浸りたくなることがある...
ぼちぼちいこか / 上田正樹と有山淳司俺の借金 全部でなんぼやお好み焼屋の ゆうちゃんから 5000円 借りてきて全部 パチンコで 負けてもたから乾物屋の中西に 8000円 借りたそやから ゆうちゃんに 3000円 返して2000円 だけ 競馬をやったら19000円 勝ってしもたそのなかから 6000円 乾物屋の中西に返して残りで 飲みにいったら3600円 足れへんかった馴みの店やし 明日払うわ ...
憂歌団 / 憂歌団関西弁でブルース、といえば、そういやまだ記事にしていなかった、そう、憂歌団。学生の頃、京都でしょっちゅうライヴ演っていて、何度も見に行った。本当に心の底から笑い、しんみりし、熱くなる、素直に音楽って楽しい、と思えるライヴだった。きっとこのまんまこの先何十年も、くたばるまでブルースを演り続けてくれるのだろうと思っていただけに、解散は本当に意外だった。ブルース=暗い音楽、という認識が...
この熱い魂を伝えたいんや / 上田正樹とSOUTH TO SOUTH日本人の演るソウルやR&Bなんて所詮「ごっこ」だと思っていた。黒人音楽に憧れて、スタイルからファッションから何もかもを真似ようとするほどに、残念ながら、なんだかとても滑稽になってゆくのだ。けど、このアルバムに残されたソウルは、本物だ。「この熱い魂を伝えたいんや、ええか!わかるか!」若き日のキー坊の熱いシャウトが炸裂する。ほんとに、心から、ソウル・ミ...
罪 / BOROBOROといえば結局「大阪で生まれた女」の人となってしまったけれど。80年代前半のBOROの音と歌はめちゃくちゃかっこよかった。大好きだったヴィクター・インヴィテーション時代のものは、ずっとCD化されていないようで、今や入手不可能、そんなわけで、大好きだった1980年代前半のBOROを、僕は古びたカセット・テープでしか聴くことができないでいるのだけれど、この頃のBOROは本当によく聴いた。多分、ラジオの深...
EARTH / KAJA AND JAMMIN’カジャ&ジャミン。全国的にはどれくらいの知名度があるのだろう?TVドラマ『ハングマン』の主題歌「ありがたや節」を演っていたレゲエ・バンド。僕にとっては、学生の頃幾度もライヴに足を運んだ、とてもなじみのあるバンドなのだけれど。その頃、レゲエはヒップだった。ドレッド・ヘア、赤・黄色・緑のラスタカラーの毛糸の帽子、街へ出れば、そんなレゲエ・ファッションの連中がうろうろしていた、...
Rebel Music / Bob Marley & The Wailers 原因が特定できないまま、中国餃子事件…事件?騒動?問題?…の報道の温度は日を追うごとに鎮まりを見せている。あれほど殺気だって「国産品以外買わない!」と騒いでいた主婦は、今日何を食べたのだろう?買い物するとき裏の表示を見たところで、店員に聞いたことろで、100%避けれっこないってことに気付いただろうか?「中国からの輸入は停止すべき」とのたまっていたコメンテイター...
ザ・クロマニヨンズ / ザ・クロマニヨンズ星占いなんて信じたためしはない。占いなんて、言葉のとらえ方一つでどうにだって解釈できるようになっているものだし、運勢なんて信じない。けれど、自分がうお座の生まれだということはなぜかとても気に入っている。うお座生まれの人というだけで好きになってしまいそうなくらいだ。うお座だからというわけでもないだろうが、水辺が好きだ。海でも川でも湖でもちいさなせせらぎでも、...
KING’S / レッド・ウォーリアーズ『他人から見たらおかしなことにいかに心血を注ぎ込み、華麗に人生を損ねる事ができるか?』…そんな、昨日も明日もない刹那的な瞬間に人生の全てを賭ける事の出きるスリルこそがロックンロールのかっこ良さの本質だと思う。そしてそんな本質を見事なまでに体現してくれたのがレッド・ウォーリアーズだった。1985年、人気ブレイク寸前だったレベッカをクビになった木暮武彦と、一度は夢を諦めて堅...
螢 / SION今週はなんだかとても疲れた。働きすぎだ。何曜日の何時かわからないくらい、ふらふらになるまで働いた。少し眩暈がした。やり切れると思っていた仕事は、蓄積疲労でペースが落ちて、結局終わらなかった。何とか間に合った終電で家にたどり着き、コタツでビール飲みながら、落ちるように眠ってしまった。早く帰ろう今日はもうヘトヘトだ 早く帰って眠りたい少し喋りすぎたし はしゃぎすぎたし 疲れた電車は今日もす...
GATEWAY / HARRYHARRYのデビュー25周年のソロ・アルバムが近々発売されるらしい(POP-ID通信よりの情報)。これは、ストリート・スライダーズ時代の自作曲のセルフ・カバー。25周年だとかセルフ・カバーだとか言葉自体がHARRYとのギャップを感じたりはするのだけれど、それくらい時は経ってしまっているということか。かつて綴ってきた歌に込められた思いを、今のHARRYはどう歌うのだろう。ハタチそこそこの頃、僕もギター片手に...
股旅 / 奥田民生2月29日。4年に一度しか巡ってこない日付。今年はうるう年。誕生日が近いせいか、2月29日が来るたびに、何ともいえない妙な感覚に陥ってしまう。2月29日がなければ例年ならば3月2日のはずの日がまだ3月1日だ、という不思議。日本からアメリカに12時間以上も飛行機で飛んだのに、日付変更線を越えて、さっき日本で過ごしたはずの日付にもう一度舞い戻ってしまう感覚にも似た不思議さ。地球が約365.25日かけて太陽...