Better Days / Southside Johnny & Asbury Jukes星野JAPANが北京オリンピック出場を決めた。終わってみれば圧勝だったものの「勝って当然」と周囲が見る中での大きなプレッシャーを跳ね除けての堂々たる戦いぶりは本当に大したものだと思う。土曜日のフィリピン戦。一年間の長いシーズンを戦った後だというのに、格下相手に本気の目つき、本気の姿勢で戦う選手たちの姿に、なんて気合入ってるんだと正直驚いた。あんな目つき...
春夏秋冬 / SION12月に入って早くも一週間が過ぎてしまった。今年も残すところわずか3週間。木枯らしが吹いてから冬至に向かうこの時期はどうも好きじゃない。日に日に短くなってゆく日照時間に、何かせきたてられるような気がするのだ。今日も自主休日出勤でめずらしく良いお天気の午前中を潰して帰途に付いたらもう日が暮れてしまった。暮れようとするお日様に「今日は一日何をしたっていうんだ?えっ?生きていた価値があった...
NG! / 小山卓治 “あんた地下鉄の匂いがする”“君はオイルの匂いがするよ”裏切られてふた晩ずつ泣いた後2人はこんな風に始まったんだ最初に2人はベッドで愛を持ち寄り固く手をつないで日陰を飛びだした女は上手にダンスを踊った男は上手にBRUCEを歌った駅前で演説を30分聞いた後募金箱を持った女をからかった号外で紙飛行機を飛ばしてネックレスを売りはらい食事をすませたOh Well Well2人ならきっとうまくやっていけるよOh Wel...
WONDERFUL FISH / 斉藤和義斉藤和義のことはあんまりよく知らないけれど、このアルバムは冬の佇まい、それも年末の喧騒によく似合う。寒々しい青・グレー基調にコートのポケットに手を突っ込む物憂げなジャケットや、「寒い冬だから」なんて曲名の印象以上に、「レノンの夢」や「引越し」、「ポストにマヨネーズ」なんかも僕の中では冬のイメージがする。そんな一曲、「歩いて帰ろう」。なんとも表現のしようのない、どうってこ...
ナポレオンフィッシュと泳ぐ日 / 佐野元春佐野元春6枚目のアルバム『ナポレオンフィッシュと泳ぐ日』に収められた「おれは最低」を初めて聴いた時、ずいぶんと度肝を抜かれた記憶がある。佐野さんがこんなにも直接的な言葉で心情を吐き出すようなことはかつてなかったからだ。ファーストアルバム~『SOMEDAY』で、ロマンティックに、ポエティックに、街の少年少女のありふれた物語を第三人称で歌っていた佐野元春の姿はこの歌に...
The Freewheelin' Bob Dylan / Bob Dylan(拙訳:Don't Think Twice, It's Alright) へたりこんで悩んだりすることはないさたいしたことじゃないへたりこんで悩んだりすることはないさこの期に及んでわかっていないようならね夜明けに雄鶏が鳴くころ窓の外を見てご覧僕が出てゆく姿が見えるだろう僕が旅をする理由をきみは知っているからもうこれ以上考えないどうってことじゃないさ灯りをつけたって無駄だよ僕には届かないから...
Born in the USA / Bruce Springsteen(拙訳:No Surrender)馬鹿げた授業なんて抜け出してさ俺たち3分間のレコードからもっとたくさんのことを学んださ学校じゃ教えてもらえないことを近所のドラマーがドラムを叩く音がするまったくドキドキしてきたぜお前はもう夢を追いかけるのには疲れ果てたというけれど俺たちは約束したじゃないか、いつでも思い出すって誓ったじゃないか退却も屈服もしはしない真冬の夜の軍隊みたいに守り...
Men Without Women / Little Steven & The Disciplesトレードマークのバンダナ、ギョロッと見開いた大きな目玉。まるで獲物を狙う精悍な猛禽類のようなこの男こそ、スプリングスティーンの良き相棒としてEストリートバンドを支えた、リトル・スティーヴンこと“マイアミ”・スティーヴン・ヴァン・ザント。スプリングスティーンがアコギ一本で『ネブラスカ』を録音している間に開店休業になったバンドのメンバーはそれぞれにソ...
Against the Wind / Bob Seger & the Silver Bullet Band(拙訳:Against The Wind) まるで昨日のことのようだけれどもうずいぶん前のことジェニーっていう最高に素敵な女の子と暗闇の中で秘密を分かち合ったんだラジオが低く流れていた夜燃え盛る炎を誰も止められないように燃え尽きるくらい愛を証明し尽くしたんだずっと永遠に終わらないって誓うわ、って言っていた彼女の言葉を思い出す彼女がどんなにきつく抱きしめてくれた...
Nebraska / Bruce Springsteen村上春樹さんが音楽について語った文章を読むのが好きだ。リズムの整った音楽のような言葉で、その歌が表現しようとする世界や、その歌が紡ぎ出した光景を鮮やかに浮かび上がらせてゆく、その文章はとても心地よく響いてゆく。そんな村上氏が音楽について語った新刊が出たので、さっそく買って読んだ。タイトルは『村上ソングス』。原詞と、自身による対訳と、和田誠氏によるイラストと、簡潔な文体...
Full House Live / J Geils Band J-ガイルズバンド。古いブルースやR&Bを、とびっきりのビートと黒っぽいフィーリングでプレイするシンプルでワイルドでいなたくて男臭くて最高にかっこいいバンド。山川健一氏は著作『みんな十九歳だった』の中で、浪人しながらアルバイトしていた19歳の頃に初めて聴いたJ-ガイルズバンドのことを書いている。「バイトから帰ってきて三畳の部屋で聴くと、くそっ、ボストンの冬も寒いんだろうな...
30th Anniversary Tour Live / George Thorogood& the Destroyersロックの本場アメリカには、無数のいかしたロックンロール・バンドがある。来る日も来る日も飽きることなく同じような昔ながらのロックンロールやブルースを、労働者階級の暇をもて余した酔っぱらいの為にクラブで毎晩のようにプレイして日銭を稼いで暮らしている連中。デラウェア出身のジョージ・サラグッド&ザ・デストロイヤーズは、そんな無数のバンドの親玉...
The Blues Brothers: Original Soundtrack Recording / Blues Brothers映画はほとんど見ない。もうずいぶん長いこと見ていない。もちろん嫌いってわけではないけれど、どんなものを見たいのかよくわからなくて、なかなか触手が動かないのだ。片っ端から見ているほどの時間もなかなかなくって、それこそ定年過ぎて憧れの年金生活にでもなれば毎日レンタルビデオ三昧で好き放題に見てやろう、などと思っているのだが、そもそも年金...
The Commitments: Original Motion Picture Soundtrack映画について今も印象に残っているものを思い返してみれば、ほとんどがバンド系の物語や、音楽が主題的に使われた映画だということに気付いた。実際、そういうものばかり意識して観ていた、ということもある。古くはオールディーズがひたすら流れる『アメリカン・グラフィティ』、ザ・フーの「四重人格」が原作の『さらば青春の光』、 レコーディングで歌うジミー・クリフが...
The Man & His Music / Sam Cooke「すべての道はローマに続く」という格言に倣って言えば「すべてのソウル・ミュージックはサム・クックに続く」のだと思う。サム・クックの歌は、南部臭いどっぷりディープなソウル・ミュージックではない。それはむしろ軽いポップス。或いはいわゆるオールディーズ。ストリングスなんかも入った軽く聞き流せる類の音楽。ところが、後に発売された当時のライヴ盤などでは、非常にディープで...
Dock of the Bay / Otis Redding(拙訳:The Dock of the Bay)朝日を浴びてたたずんでいる多分日が暮れるまでそうしている船が港に入りまた出て行くのをずっと見ている波止場にたたずんで波が寄せては返すのを眺めている波止場にたたずんでヒマを潰してる故郷のジョージアを離れこのサンフランシスコに流れ着いた何の目的もないまま暮らしてきたしきっとこれからもなんにもないんじゃないかって思うんだだから波止場にたたずん...
Live at Carnegie Hall / Bill Withers(拙訳:Lean On Me) 私たちの人生は時々痛みや悲しみではちきれそうになるけど、いつでも明日があることを、私たちは知っている自分自身が弱っていると感じる時は私を頼ってほしいあなたの友達になってあなたがこれからも生き抜いていくための力になるよほんの少しの間誰にだって、頼れる誰かが必要だからプライドをぐっと飲み込んで時には人の力を借りることもあなたには必要だあなたが...
Learning to Crawl / Pretenders(拙訳:2000Miles)彼は行ってしまったの遥か2000マイルの彼方に雪が降る日ごとに募ってゆくあなたを恋しい気持ち子供たちが歌う「キリストはクリスマスには帰ってくる」という声が「彼が帰ってくる」って聞えてしまうの凍てつくような聖夜時々あなたが夢に現れるの紫色の空の下 雪のきらめきがダイヤモンドみたいに輝いてまるでクリスマスみたいね、って私たちは歌うのよ2000マイルの遥か彼方...
遙かなるクリスマス / さだ まさしメリークリスマス二人のためのワインと それから君への贈り物を抱えて駅を出るメリークリスマス外は雪模様気づけば ふと見知らぬ誰かが僕にそっと声をかけてくるメリークリスマス振り向けば小さな箱を差し出す 助け合いの子供達に僕はポケットを探るメリークリスマス携帯電話で君の弾む声に もうすぐ帰るよと告げた時のことメリークリスマスふいに誰かの悲鳴が聞こえた 正面のスクリーン激...
Foot Loose & Fancy Free / Rod Stewart(拙訳:I was Only Joking)学校にいたガキの頃からルールなんてずっと破り放題見つかっては謝ってでも結局何にも反省なんてしないまま俺たちはみんな偽物のヴァレンチノで気取っていた親父は俺たちを滑稽だといったけれどみんなそれなりには心を傷めてたんだ仕事中でもオフの時でも俺たち好き勝手し放題社会って奴に挑んでいたつもりだったんだ押し黙った表情の無い顔が俺たちに冷た...
Rubber Soul / The Beatles 大晦日までたくさん働いて正直くたくた。今年もたくさん働いたよ、ほんと。お陰さまで今年の正月も餅が食えるのだけれど。帰り道に聴いたビートルズの“In My Life”。「僕の人生がどう変化しようとも、これからもきっと思い出す場所がある」っていうジョンの優しくも物憂げな声、テープを早回しして音を高くしたせいでハープシコードのように聞こえるピアノのブリッジが、僕をセンチメンタルな気分にさ...