Pet Sounds / The Beach Boysとっても幸せな夢を見た後、目覚めたら暗い部屋に一人でぽつんといたときの淋しさのような、宝石のような輝きとガラス玉のような痛みを湛えた名盤、ビーチ・ボーイズの『ペット・サウンズ』。サーフィンやホット・ロッドのきらめく青春を輝かしく歌ってアメリカン・ドリームを手に入れたビーチ・ボーイズ。ブライアン・ウィルソンはふと夢から現実に戻されたように自意識の中へ深く沈みこんでいった...
A Hard Day's Night / The Beatles この一週間、なぜだかビートルズばかり聴いていた。とりわけ初期の、青春の始まりのような怖いもの知らずの威勢のよさや、若さならではの無邪気さや、恋の始まりの頃のドキドキした気分を感じさせてくれる瑞々しい楽曲の数々を。1960年代初頭、古いモラルが跋扈する世の中でビートルたちは、ただ自分たちの好きなことを演る、そのことだけが自分たちのやりたいことだとばかりに、大好きなR&BやR&...
Beatles For Sale / The Beatles1964年に発売された2枚のビートルズのアルバム、[A Hard day's Night]と[Beatles For Sale]の間には、決定的な溝がある。暗い部屋のカーテンをさっと開けるようなジャーン、というGのコードで始まる前作とは対照的に、物憂げなジョンのヴォーカルとアコギのカッティングから始まる“No Reply”でスタートするこのアルバムでは、初期の3枚にあった無邪気さは影を潜めてしまった。クリスマス商戦に発売...
Revolver / The Beatles(拙訳:I'm only sleeping )朝早くに目が覚めた頭持ち上げたけど、まだあくびが出る僕はまだ夢の途中僕を起こさないでまだ小川をぷかぷか流されてるんだ僕を起こさないでください揺さぶらないでくださいどっかへ行ってくれないか僕はまだ眠っているんだみんな僕を怠惰だというけど僕に言わせればみんな狂ってると思うあっちこっちへどえらいスピードで走り回って何が見つかるっていうんだ誰も必要としても...
Some Girls / The Rolling Stones(拙訳:Before They Make Me Run) バーで酔っ払って、トワイライト・ゾーンに迷い込んだ人混みの中で孤独を感じてるほんと田舎へ帰りたくなるよなぁぶっとびたくなったらヤクは選び放題また親友とのお別れのときがきてしまったようだ言いたいこと言ってやりたいことやった後にはまだ楽しみが残っているうちに動き出そう奴等が俺を追い立てる前に、歩き出させてくれ言いたいこと言ってやりたいこと...
Sports / Huey Lewis & The Newsそれにしても暑い日が続く。今週の天気予報を見ただけでもうなんだかげんなりしてしまった。去年の夏はこんなに蒸し暑かっただろうか?それとも歳をとるごとに抵抗力が弱まってきているのか?こんなクソ暑い日中に野球やってる高校球児たちは一体どんな体力をしているんだ??…そんなことをぼやきながら、暑さをぶっ飛ばすために、そしてブルーな気分をぶっ飛ばしてしまいたくて、暑苦しいアメ...
Balance / Van Halen兄は高校生の頃からハードロック/ヘヴィメタルに狂っていた。田舎町に似合わない長髪とスリムのブラック・ジーンズと鋲のついた革ジャン。そんな兄を持った特権と言うか、兄のいないときによく兄のレコード棚からたくさんのレコードを聴かせてもらった。アイアンメイデン、ジューダスプリースト、スコーピオンズ、マイケルシェンカーグループ、レインボウ、ホワイトスネイク、オジー・オズボーン、AC/DC、ラ...
天架ける橋 / 古謝美佐子一時期ちまたに“ヒーリングミュージック”と称されたものが出回っていたけれど、自ら“癒し”を名乗る音楽で癒されたためしはない。癒してあげましょう、なんていう態度がおこがましいのだ。そんな安っぽいもので癒されるほど僕らはまだ心まで支配されてしまったわけじゃない。この古謝さんのアルバムは本当に心の底から癒される。それは歌っている古謝さんや夫でプロデューサーの佐原さん自身がまず音楽を...
GOLDEN BEST / 井上陽水夏が過ぎ 風あざみ誰の憧れにさまよう青空に残された 私の心は夏模様夢が覚め 夜の中 永い冬が窓を閉じて 呼びかけたままで夢はつまり 想い出の後先夏祭り 宵かがり 胸の高鳴りに合わせて八月は 夢花火 私の心は夏模様 (少年時代 / 井上陽水)今日もギンギンに暑かった。観測史上最高気温を各地で記録するなどまさに猛暑。朝からうだる汗、見上げれば灼熱の太陽。けど、一週間前とはほん...
都会のランナー / 泉谷しげるピッツバーグ・パイレーツの桑田真澄投手の戦力外通告から3日、退団が発表された。ジャイアンツを首になり、39歳のオールド・ルーキーとして海を渡った桑田投手の活躍は、日本中に感動の波紋を呼んだ。「40歳を目前にして」「夢に向かって」「挑戦」「ひたむき」「さわやかな笑顔」…そんな言葉がメディアに踊る。同世代の桑田投手のことを、僕は彼が高校生1年生の夏の甲子園からずっと見てきたことに...
80のバラッド / 泉谷しげる 泉谷しげるはとらえどころのない男だ。まるで飯場の労働者のような風体、乱暴でズバズバと切りまくるもの言い。投げやりな歌い方。泉谷のパブリック・イメージは、ちょっと怪しげな荒くれた乱暴者、ひょうきんで話のわかるおもろいおっさん、みたいなところだろうけれど。 しかし泉谷の歌を聴くと、そんなイメージは照れ隠しのために作り上げたポーズだということがよくわかる。そのポーズの下に隠し...
カバーズ / RCサクセション暑い夏がそこまで来てるみんなが海へくり出していく人気のない所で泳いだら原子力発電所が建っていたさっぱりわかんねえ、何のため?狭い日本のサマータイム・ブルース熱い炎が先っちょまで出てる東海地震もそこまで来てるだけどもまだまだ増えていく原子力発電所が建っていくさっぱりわかんねえ、誰のため?狭い日本のサマータイム・ブルース寒い冬がそこまで来てるあんたもこのごろ抜け毛が多い (悪か...
Hotel California / The Eagles (拙訳:Hotel California) 暗い砂漠の中のハイウェイ冷たい風が髪をなびかせるマリファナの匂いがあたりに立ち込め遥か前方に陽炎のように揺らめく光が見えた頭は重く視界はかすみ今夜はここあたりで泊まることにしなければ彼女が戸口に立っていた呼び鈴が鳴るのが聞こえる「ここは天国かもしれないけれど、地獄かもしれない…」と僕は頭の中でそう呟いた彼女は蝋燭に灯を燈し 僕を案内してくれた...
An Innocent Man / Billy Joel (拙訳:This Night) 言葉にはしないけど ロマンスの準備は出来ている約束したわけじゃない ぼくらはただの友達ダンスを踊ろう スロウダンスばかりじゃないけれど心に決めた約束を破ってしまいそうになる誓い合ったわけじゃないずっと前に好きだった人は誰?そんなこと知りたくもない同じようなシチュエーションでぼくらは今ここにいるもう他の誰も思い出すことは出来ないさ今夜、それはぼくの...
First of a Million Kisses / Fairground AttractionI don't want half hearted love affairsI need someone who really cares. Life is too short to play silly gamesI've promised myself I won't do that agai n.It's got to be perfectIt's got to be worth it yeah. Too many people take second bestBut I won't take anything lessIt's got to be yeah pertect.Young hearts are foolish they make such mistakesThey're...
On The Beach / Chris Rea(拙訳:On The Beach )恋する瞳であなたの名前をささやいて誰からも見えない壁の向こうへよく行ったものだ夏の風に乗って聴こえてくるあのメロディ懐かしいあの場所へ連れて行ってほしいあの浜辺へ夏の秘密を隠し持ったまま時の砂はいつか謎を解くのだろう月明かりの下あなたと僕以外誰もいない浜辺懐かしいあの場所へ連れて行ってほしいあの浜辺へ夢の中で永遠にこの甘いメロディに酔いしれる奇妙な欲...
Beach Boys Gratest Hits Vol.2 / The Beach Boys (拙訳:Sloop John B) じいさんと俺 帆船ジョンB号に乗ってやってきた ナッソーの町辺りを漂ってたんだ 一晩中飲み明かしては喧嘩ばっかり もうまいっちゃったな 故郷に帰りたいよ だからジョンB号の帆を高く上げて ほら、メインセイルも準備Ok 陸に上がったままのキャプテンを呼びつけて 故郷へ帰してくれ もうまいっちゃったよ 故郷へ帰りたいんだ 一等航海士は酔っぱらいで ...
フォー・ユー / 山下達郎山下達郎の音楽には、気品がある。職人が丹精込めて作り上げた作品に息を吹き込まれた魂のようなもの。それは、安っぽい「真実」だとか「自由」だとか「魂」だとかいうボキャブラリーで余ったエネルギーをただ吐き出すだけの自称ロック、なんかよりも遥かに真実により近く、自由で、魂が込められている。そんなことに気が付いたのは実はそう遠くない最近で、このアルバムが出た高校生の頃は、単に耳障り...