絵画で表現された世界を言葉で語ることは、とても難しい。言葉はイメージを限定してしまうからだ。下手をすれば、とても奥行きと広がりがあるその絵の世界観を、ある固定の解釈に誘導し、狭め、矮小化してしまうことにもなり兼ねない。ただ、上手く言葉を紡ぐことができれば、抽象的な世界観に輪郭を作ることができるかもしれない。そんな思いをこめて、あすてかさんの絵に、少し言葉を添えてみることにする。*...
2月20日土曜日、快晴。前日までのシベリアのような極寒とはうってかわっての春のような陽気だ。ちょいとそこまで、くらいの軽い準備をして京都駅からのぞみに乗る。...
「わきまえる」という言葉が話題になっている。事の発端となった、オリンピック組織委員会会長の発言の是非については、僕は古い世代のオッサンの古い価値観による戯言だと思うので、「それ、あかんやろ」という指摘さえすれば、大騒ぎするものではないだろうと思っている。発言の内容はもちろんアウトだ。会議が長くなることに性別による差はない。あるとすればそれは性別ではなく、論理的な考え方の構築力であったり、会議そのも...
夕べ、ある新聞社からイエ電に電話がありました。「無作為抽出した電話番号から、世論調査への協力をお願いしている。」とのこと。よく世論調査の記事に「無作為抽出による全国1000名の対象者に電話で回答」などと注釈がありますが、あ、ほんとに電話で聞いてるんや、と妙に納得しました。訊かれたのは、現内閣を支持するか、とか、現内閣の新型コロナ対応についてどう思うかというもの。用意された選択肢の中から近いものを選ぶ方...
謹賀新年。レ点を入れてひっくり返して読むと “新しい年を謹んで賀します”となる。「謹」は主に目上の人に対し、敬意を評しかしこまって、という意味。「賀」というのはおめでたいという意味の中でも、“相手にとっての喜び”という意味があるそうです。「新」は未使用の、という意味。改めると同じで本当は“あらたしい”と読まれていたそうです。今でも“新たに”は“あらたに”と読むのはその名残。「年」は時間の単位で、地球が太陽の...
2020年が終わろうとしている。近い将来に、或いは遠い将来に、この年はどんな年として記録されるのだろうか。或いは記憶されるのだろうか。一刻も早く忘れてしまいたい、辛苦と停滞の年なのか。あの年を境に世の中は大きく変わっていったとされる変革の萌芽の年なのか。それとも。今から思えば2020年なんて大したことではなかった、あんなのは序の口でしかなかった、ということだってあり得ないわけではない。未来は誰にもわからな...
So let hope fill our hearts, let hope fill our heartsShine the light through the darkAll around the world and everywhereI will pray this Christmas prayerSee I pray that love will rule and reignAnd I pray that time will rid the painOf this world as we learn to trust and careOh, this is my ChristmasThis is my Christmas prayer希望が我らの心を充たしますように希望が我らの心を充たしますように闇を抜けて...
僕がこれから書くことはあくまでも偏見に満ちた個人的な印象であり、当該の人たちがすべてその印象どおりではないこと、当該の人たちを自分の印象どおりの型にはめようとするものではないことをあらかじめお断りさせていただきます。*コロナ禍の暮らしでいつもなんだかなぁ、と思うことがある。それは「外出できない」「遠出ができない」ことが、当たり前のように「残念なこと」として取り扱われること。僕は基本インドア派なので...
10ccの曲で“You've Got A Cold”という曲がある。要は“風邪ひいた”って歌。風邪の症状を延々と述べてこの世の終わりのように騒いでいる歌。10ccは“I'm Not In Love”みたいな美しい曲も演るけど、基本ポップでキッチュで、スラップスティックなふざけた歌が似合うバンドだ。コロナ禍の今年のテーマ曲みたいだな、なんて言うと、世界中で100万人も亡くなっているのになんて不謹慎な!と叱られるだろうか。気がつけば今年ももうあと3...
今年は蒸し蒸しした残暑がだらだらと続くんだろうなぁ、と思っていたら、いきなりの雨続き。最高気温28℃、朝晩は23℃。これくらいなら全然過ごしやすい。もう猛暑酷暑なんてうんざりだもの。ところが、昔からそうなんだけど、そしてひょっとしたら誰でもそうなのかもしれないけど、僕は急激な温度変化や気圧の変化にものすごく弱い。それこそ「低気圧うつ」とでも呼べそうなくらい、気圧が下がると途端にやる気がなくなる。猛暑酷暑...
もうずいぶん前から、月に1回か2回、職場近くの中古CD店を覗くのが習慣になっている。10年か少し前までは、欲しいCDがたくさんあって、覗きに行く度に1枚か2枚ゲットしていた。「あ、こんなアルバムがもう中古で出てる。」「カセットテープで散々聴いたけど、これCDで持ってないんだよな。」「おっ、この人、昔けっこう好きだったんだよな。」そうやっていつの間にか、我が家のCDラックの魔窟は超魔窟と化していった...
夏も終盤のニオイを感じると聴きたくなってしまうアルバムのひとつが、ドン・ヘンリーの“Building The Perfect Beast”。セピア色の落ち着いたアルバム・ジャケットにふさわしい、大人の渋さがむんむんと匂いたつようなレコードだった。Building The Perfect Beast / Don Henleyリリースは1984年。長年のロック・ファンの間では、イーグルスらしさが感じられない、80年代っぽい打ち込みサウンドが似合わないと不評だったようだけど...