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音の食卓〈おせち〉

一年間続けてきた「音の食卓」シリーズ、今回でラストです。最終回は新年を寿ぐ「おせち料理」。尾頭付きの海老、小判のように黄金色に輝く数の子や栗きんとん、日の出を象った紅白の蒲鉾、甘く柔らかく煮含められた黒豆はマメに暮らせますようにとのささやかな願い。田畑が潤うようにとの思いが込められた田作り、先が見通せるようにとに願う蓮根、酢ごぼうは地中に深く根を張る用に、くわいは芽が出るように。そんないろんな願い...

音の食卓〈ふぐフルコース〉

冬の味覚の王様といえば?すき焼き?かに鍋?ぶりしゃぶ?個人的には「ふぐ」です。そうそう食べる機会があるわけではないけれど、てっさ、てっちり、皮ポンや唐揚げが並んだふぐのフルコースなんて贅沢の極みだと思う。もちもちした食感、あっさりとしていながら噛むほどにしみる濃厚な旨み、もみじおろしやポン酢との相性も実に絶妙で、もちろんお酒にはヒレ酒、〆にはふぐ雑炊と、ふぐのおいしさを堪能し尽くす感じがたまらない...

音の食卓〈骨付きチキンロースト〉

クリスマスが近づくと、あちらこちらにキラキラしたイルミネーションが飾られる。こういうのが一般的になったのはいつ頃からだっただろうか。昭和の頃にはなかった光景だ。イルミネーションを眺めながらロマンチックな気持ちになるということももはやないのだけれど、それでも悪いものじゃないと思う。赤や青や黄色でちらちらと瞬く光のひとつひとつはとても弱いけれど、ひとつひとつの灯りがまるでひとつひとつの人生のようにささ...

音の食卓〈ぶり大根〉

「焼き鮭」「野菜炒め」「ポークソテー」「鶏唐揚げ」「エビフライ」「炊き込みご飯」「ポテトサラダ」「ほうれん草のごま和え」などなど、一般的に料理の名前は“食材+調理方法”で表されることが多い。ところが一部に、“食材の名詞を並べただけ”の料理名が存在するのですよね。曰く「ハムエッグ」「豚キムチ」「じゃがバター」「えのきベーコン」「じゃこおろし」・・・。これら“食材の名前を並べただけ”の料理名の意味するところ...

音の食卓〈千枚漬〉

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音の食卓〈豚汁〉

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音の食卓〈茶碗蒸し〉

具だくさんの茶碗蒸し。お出しが効いたつるっとなめらかなあん。中には、色とりどりの具材。メインの食材にはならないけれど、副菜と軽視するにはあまりにも完成度高い、ある意味芸術的なメニューだと思う。海老のプリッと感、筍のシャキシャキ感、百合根のホクホク感、しっかりおだしを吸った椎茸の旨み。それからなんといっても茶碗蒸しに欠かせないのは銀杏だ。最近は銀杏ではなく枝豆が入っているのも多いけど、あの独特の苦味...

音の食卓〈ビスケット〉

シュークリームのざっくりふわとろと対極にあるもの。サックリと軽い歯ごたえのビスケット。砂糖の甘みではなく穀物の持つ、噛むほどに湧きあがるような甘み。子供の頃、今ほどおいしいスナック菓子がたくさんなかった中で、ビスケットは高級菓子だと思っていた。森永のマリーとかチョイスとかムーンライトとか、ああいうの。今食べてもやっぱりおいしいんですよね。長く愛されてきた基本型だからこその深い味わいというか、シンプ...

音の食卓〈シュークリーム&紅茶〉

ほっこりしたいときは紅茶に限る。普段よく飲むのは圧倒的にコーヒーなんだけど、コーヒーは毎朝一番の飲んで仕事へ出かけるせいか、どちらかというと覚醒用。コーヒー飲むとタバコも欲しくなるし、どこか頭が冴えちゃうところがある。なので、ほんとうにゆっくり寛ぎたいときには紅茶なのだ。ただただ弛緩して、何にも考えない。ぼぉーっとして、頭からっぽにして。非常に個人的な意見なんだろうけど、そうやってほっこり飲む紅茶...

音の食卓〈豚まん〉

腰痛回復後も、日々忙しくしています。なので、昼メシはほぼコンビニ。空いた時間にちょこっと買いに行って、ぱぱっと済ませる。ただし、飽きる。「うーん、唐揚げ弁当かー。昨日も食ったし。カップラーメンの気分じゃないし。おにぎり?サンドイッチ?うーん、いまいち決まらんな。。。」そういうときは結局、豚まんになる。ふっかふかの生地とジューシーな具材、それなりに腹持ちもいいし、惣菜パンやサンドイッチに比べるとコス...

音の食卓〈焼きそばパン〉

通っていた高校は、高い丘の上にあった。校門をくぐってから、200mくらいある登り坂を登らなくっちゃいけない。毎日遅刻寸前で息を切らせて走り込む僕にとってこの校門の向こうの坂は、遅刻でいいやと諦めさせるには十分な存在だった。坂の入り口、校門のすぐ手前には小さなパン屋さんがあって、学校の帰りにここで買い食いをするのは楽しみのひとつだった。中でも記憶に残っているのは焼きそばパンだ。ホットドッグ型のロールパン...

音の食卓〈ロールキャベツ〉

スープに浸かってすっかりやわらかくなったキャベツに箸を入れると、中からは肉汁あふれるジューシーな挽き肉。キャベツはお肉の旨みが外へ流れ出るのをしっかりと受け止めていて、外からのスープの旨みも中からのお肉の旨みの両方をいい具合に染み込ませている。挽き肉をキャベツで巻いて煮る、なんて料理方法を誰が考えたのかは知らないけれど、お肉の旨みも野菜の旨みも両方バランスよくいただけるってのがいいよね。アグレッシ...

音の食卓〈クリームシチュー〉

子供の頃、母親の作るコーンたっぷりのクリームシチューが大好きだった。ミルクたっぷり、ベーコンととうもろこしもたっぷり入っていて、じゃがいもがゴロゴロしてて、おかずになるくらいの満腹感があって。兄弟たちがご機嫌でおかわりをねだるのは、母親にとってもすごく嬉しいことだっただろう。*肌寒い季節になってくると、あったかいスープやシチューが恋しくなります。コーンたっぷりのスープや、じゃがいもや玉ねぎがゴロゴ...

音の食卓〈お茶漬け/おにぎり〉

ジョン派かポール派かかと問われると、圧倒的にジョン派だった。若い頃にガツンと衝撃を受けたロックンロールの熱さやテンションを感じるのはやっぱりジョン。ジョンの音楽には、生命のエネルギーがあふれている。ゴワゴワしてのみこみにくいところもあるけれど、苛立ちや内省も含めて生々しい。それに比べると、ポールの音楽は美しすぎる。良くも悪くも室内楽的な落ち着きがある。さっぱりしすぎてちょっと食い足りない。ただ、大...

音の食卓〈昆布の佃煮〉

ほっかほかの白ごはんの上に佃煮。大したおかずがなくても、佃煮さえあればごはんが山盛り食べられる。今でこそおいしいものがたくさんあって佃煮なんて必需品ではないけれど、冷蔵庫が普及するまでは佃煮はとても大切な保存食だったのだ。そもそもは、漁師の自家用食で、悪天候時の食料や出漁時の船内食とするために、小魚や貝類を塩や醤油で煮詰めて保存食としていたもの。傷みが早い雑魚がたくさん獲れると佃煮を大量に作り保存...

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golden blue

Author:golden blue
“日々の糧と回心の契機”のタイトルは、好きな作家の一人である池澤夏樹氏が、自身と本との関わりを語った著書『海図と航海日誌』の一節より。
“日々の糧”とは、なければ飢えてしまう精神の食糧とでもいうべきもの。“回心”とは、善なる方向へ心を向ける、とでもいうような意味。
自分にとって“日々の糧”であり“回心の契機”となった音楽を中心に、日々の雑多な気持ちを綴っていきたいと思います。

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