ベージュ。明るい灰黄色。あるいはごく薄い茶色。ベージュと呼ぶといい雰囲気だけど、日本語だと「らくだ色」だ。この色は子供の頃は「肌色」と呼ばれていたけれど、今は使われなくなった。人の肌の色は一様ではないからだ。個人的にはそのことと、差別意識を助長するということは直接結びつくものではないとは思うのだけどどうなんだろう。そういうことを言うのなら、 人種差別だけじゃなく、例えば男女差別に関しても「奸」や「...
急に涼しくなって、なんだかどっかりと疲労ピーク。いくらでも眠れそうな感じがする。寝転がって本など読みかけても、ほんの数分でうとうとと夢うつつ、そんな秋の入り口だ。こういう体調のときは、夢と現実の境界が曖昧な音楽が心地良い。たゆたうように、ただただその音世界に身を任せていると、ふわふわと宙に浮くような気分になってくる。ある種のドラッギーな感覚で脳内トリップ。そんなレコードのひとつが、これ、ヴァン・モ...
セピア色は、過去に属している。色褪せたセピア色の思い出・・・セピア色といえばそういう言い回しがセットになっている。セピア色の情熱、だとか、セピア色の未来、なんていう言い方は聞いたことがないし、おそらく誰もしないだろう。セピア色に褪せた思い出というのは、だいたいが夏の景色だという気がするのは気のせいだろうか。なんとなくだけど、冬にみんなで鍋をつついたとか、子どもの頃に兄弟でいっしょに雪だるまを作った...
毎日暑いですねぇ。天気予報を見ただけでうんざりしてしまう。真っ赤染まった連日の猛暑日予報。週末は少しましになるようだけど、ムシムシするんだろうなぁ。こんな日々に、いつもレベルの仕事量と出来映えを求めることなんてそもそも無理だ。緩めなきゃやってられない。本当に日本にもサマータイムやシエスタの導入が必要なんじゃないかと思う。そんな酷暑の日々、もはや緩い音楽しか聴きたくない(笑)。こんな酷暑に落ち着いて聴...
8月の色はスカイブルーがいい。いろいろと異常づくめの夏でも、やっぱり空は青い。朝早くからのラジオ体操、家族と行った海水浴、嫌でたまらなかったクラブ活動の夏連、バイトばっかりしてた学生時代、ただボンヤリとしていた無職の夏。どの夏にも空を見上げれば、スカイブルーがいっぱいに広がっていた。*夏のスカイブルーの空といえばなぜだかラジオを連想してしまう。ステレオを買うための短期バイトの廃金属処理の現場でずっ...
夏の朝ぽとりぽとりと朝露の滴がしたたるようにゆっくりとゆっくりと朝顔の花が開いてゆくようにできるだけ穏やかな気持ちで迎えたい頭の裏側でかすかに聴こえてくるのは異国人たちの管弦楽団カワラヒワの羽根のやわらかさと冷たい水の硬さ芝生の潤いとショウリョウバッタの賑やかさ叢に埋もれたビー玉が朝露に濡れてエメラルドに変わる...
朝から蝉が暴力的に啼き散らかして、ギラリとした日射しで起こされる。モワッと蒸した空気で息苦しい。暑くなりそうだ。極悪な暑さの季節が近づいている。梅雨が明けると、一年で一番不快指数が高い季節になる。「西遊記」に一年中燃え盛っている火焔山という山が出てくるけど、この時期の関西はその火焔山が火を噴いているんじゃないかと思うくらい暑い。赤く燃えているよりもよりももっと赤い感じの暑さ、緋色の世界だ。英語でい...
ボブ・ディランの歌の空は、いつも曇り空だ。僕はディランに関しては全然聴き込んでいないシロートリスナーなので、ディランについて何かを語れるほど詳しくはない。ノーベル文学賞をもらうほど歌詞が素晴らしいと言われているけれど、それも正直ピンと来ない。だけど「Bring It Aii Back Home」「Highway 61 Revisited」「Blonde On Blonde」あたりのアルバムに収められた曲のかっこよさはわかる。投げつけるようにぼやくように吐...
どんよりとした梅雨空が続く毎日。のっぺりと低く覆う雲と、だらしなく降り続く雨、滞るモヤモヤ感とのぼせる湿気、じとじと。なかなかスキッと晴れ晴れした気分にならないのは、お天気のせいばかりでもないもだろう。どんよりともやもやした気分、内に籠ってしまうような気分の中で脳内再生率があがるのは、例えばルー・リードだ。ルー・リードの音楽は何色なんだろう。全体のトーンは黒系、ただし漆黒というよりはモノクロームや...
低気圧が張りだしてお天気は斜め模様。分厚い雲が地の果てまでも続いている。気圧は低く、湿気は高く、どんよりとした重たい空気で気分も澱みそう。近づいてくる暴風雨の予感。そんなどんよりとくぐもった空のことを「鉛色の空」と呼んだりする。鉛色といえば、僕がイメージするのはレッド・ツェッペリンだ。赤銅色に錆びて朽ち果てた巨大戦艦が、鉛色に荒れ狂った海を漂流している。鉛色に重くのしかかる不穏さ。預言者の不吉な言...
紫という色は一筋縄ではいかない色だ。特にすみれ色や藤色ではなく、いわゆるパープルには、古くから官位の高い人の色とされたように高貴なイメージがある一方で、セクシャルというか妖艶というか淫靡というか、少しアブノーマルな印象も強い。魔術的、神秘的な印象もあるけれど、そのことが安らぎにつながるかといえば、むしろ不安をあおるような感じがしたりする。未知のものへの強い興味を誘惑する色。少なくとも、安定した日常...
日本語で「青」と呼ぶ色の範囲は実はとても広い。どうやら古来、青という色は、赤や黄、白や黒以外のすべての色、灰色~青~緑に至る幅で使われていたらしい。「青葉」「青虫」「青田」「青信号」、実際は緑色なのにそれを「青」と呼ぶことに誰も何の違和感もないのは、そのことがあながち不自然ではないからだろう。エメラルドグリーンや若竹色、ターコイズブルーや浅葱色など、青と緑の中間のような色は、とても好きな色。この「...
ルースターズの音楽は蒼い音という印象が強い。「青」ではなく「蒼」。グレーがかったブルー。ガンガンと煽りたてる音ではなく、じわじわと熱くなっていく音。熱いハートと同時に、どこか心の奥底が芯まで醒めている音。特に、下山淳と安藤広一が加入した“DIS.”以降大江慎也脱退までの“Good Dreams”、“Φ”は、くすんだ蒼の感じ。或いはそこに少し透明感の入ったクリスタルブルーだ。...
一番好きな色は、青なのです。青にもいろいろと幅はあるけれど、ちょっと暗めの青色が好き。瑠璃色~群青~インディゴブルー、いや、それよりは少し明るさがあったほうがいい。美しく言うと、夜明け前の空の色が理想的だ。青色というのは、分類としては寒色で、つまりはクールな色とされている。冷静沈着で、ふざけたりはしゃいだりはあまりしないイメージがある。また、憂鬱な気分を英語でブルーと表現するように、どちらかといえ...
爽やかな風、穏やかな日射しの休日。芝生に寝っころがって、こんな歌でも聴いていたい気分。新しいウイルスのニュースをどこか他人事のように噂していたのが2月、どうやらこれはまじでヤバいらしいと行動の変容を迫られたのが3月の半ば。それがなんだかものすごく前のことのような気がするくらい、4月、5月と怒濤の日々を過ごして、ようやく落ち着きがみえてきた6月。毎日神経を尖らせて、気を張ってたんだな、今思えば。けっ...