ドクター・フィールグッド。1971年結成、1975年デビュー。 ファーストの“Down by the Jetty”もめちゃくちゃカッコいいのだけれど、やや地味渋気味ながら聴けば聴くほどじわじわと味がしみだしてくるようなこのセカンドはもっと好き。 ファーストはちゃんとした場所に出掛けてめいっぱいカッコつけるためにあつらえたようなキメキメ感があってそこが抜群にカッコいいのではあるけれど、このセカンドは、ちょっとリラックスしてラフな格好で地元をうろつく感じのユルユルさがあっていいのです。
1曲目のI Can Tell、ジャキジャキザクザクしたウィルコ・ジョンソンのギター一発で、スイッチONになってしまう。 2曲目Going Back Home でぶちかまされるブリローのブルース・ハープ、3曲目はユルいブルースのBack In The Night、続いてウィルコ節全開のAnother Man。 小気味よく動き回るジョン・Bのベース。ビッグ・フィガーのドラムもよく歌っている。 フィールグッドと言えばウィルコ・ジョンソンばかりが取りざたされるけど、リー・ブリローの泥くさくも荒々しいヴォーカルはかなり好きだ。エリック・バードン張りにドス黒くてワイルドだと思う。 コンパクトなロッキン・ブルースにまとめられたロバート・ジョンソンのRolling And Tumbling、ウィルコがヨレヨレのヴォーカルで歌うDon't Let Your Daddy Know は全編にわたって吹きまくるブリローのハープがカッコいい。 ドゥ・ワップ的なコーラスも楽しくポップなWatch Your Step 、ニューオーリンズ的ユルさに硬質なウィルコ節が不思議としっくりくるヒューイ・ピアノ・スミスのカヴァー、Don't You Just Know It、フーチークーチーマンみたいなド級のハードなブルースに生まれ変わったコースターズの Riot In Cell Block #9、ちょっとウラから入る不思議なリズムが奇妙に体に残るBecause You're Mine 、ニューオーリンズ的オールディーズ的ポップさ満開のYou Shouldn't Call The Doctorと続いてラストは気合い一発Route66。 いやぁ、実にカッコいい。シャープなのにユルくてハードなのにファンキー。 よくモノの本なんかでは、彼らのシンプルなパブロックがパンクロックに影響を与えた的なことが書かれてあったりするのだけれど、だからといってドクター・フィールグッドはパンクバンドではない。僕はパンクは大好きだけれど、フィールグッドをパンクと同列に扱うのは違うと思う。彼らの中には良くも悪くもパンクの精神性はない。 フィールグッドが演っているのは、どこまでいってもシンプルなただのR&Bなのだ。
LA MOSCAさん、毎度です。
そうそう、そういう職人気質な感じ。カテゴライズするならむしろJ-ガイルズバンドとか、ブルース・ブラザース・バンドとか そういう方面かと思っています。
Another Manはウィルコらしい音だし、Going Back Homeもかっこいいし、ラストのブンブン盛り上げる2曲も好きです。
Author:golden blue
“日々の糧と回心の契機”のタイトルは、好きな作家の一人である池澤夏樹氏が、自身と本との関わりを語った著書『海図と航海日誌』の一節より。 “日々の糧”とは、なければ飢えてしまう精神の食糧とでもいうべきもの。“回心”とは、善なる方向へ心を向ける、とでもいうような意味。 自分にとって“日々の糧”であり“回心の契機”となった音楽を中心に、日々の雑多な気持ちを綴っていきたいと思います。
ウィルコ・ジョンソン、すい臓ガンなんですってね。
少しでも長生きされることを願っています。
今、BarDeuceです。
待ってますよー。