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♪MALPRACTICE -My Vintage(35)-

Malpractice
Malpractice / Dr. Feelgood

Released:1975

さてさて、毎年恒例の週末の東京行きもいよいよ間近になってきた。
そろそろロックンロール・モードのスイッチをオンにしておかなきゃ。
たとえばこれ、Dr.Feelgooooooood!!!

ドクター・フィールグッド。1971年結成、1975年デビュー。
ファーストの“Down by the Jetty”もめちゃくちゃカッコいいのだけれど、やや地味渋気味ながら聴けば聴くほどじわじわと味がしみだしてくるようなこのセカンドはもっと好き。
ファーストはちゃんとした場所に出掛けてめいっぱいカッコつけるためにあつらえたようなキメキメ感があってそこが抜群にカッコいいのではあるけれど、このセカンドは、ちょっとリラックスしてラフな格好で地元をうろつく感じのユルユルさがあっていいのです。

1曲目のI Can Tell、ジャキジャキザクザクしたウィルコ・ジョンソンのギター一発で、スイッチONになってしまう。
2曲目Going Back Home でぶちかまされるブリローのブルース・ハープ、3曲目はユルいブルースのBack In The Night、続いてウィルコ節全開のAnother Man
小気味よく動き回るジョン・Bのベース。ビッグ・フィガーのドラムもよく歌っている。
フィールグッドと言えばウィルコ・ジョンソンばかりが取りざたされるけど、リー・ブリローの泥くさくも荒々しいヴォーカルはかなり好きだ。エリック・バードン張りにドス黒くてワイルドだと思う。
コンパクトなロッキン・ブルースにまとめられたロバート・ジョンソンのRolling And Tumbling、ウィルコがヨレヨレのヴォーカルで歌うDon't Let Your Daddy Know は全編にわたって吹きまくるブリローのハープがカッコいい。
ドゥ・ワップ的なコーラスも楽しくポップなWatch Your Step 、ニューオーリンズ的ユルさに硬質なウィルコ節が不思議としっくりくるヒューイ・ピアノ・スミスのカヴァー、Don't You Just Know It、フーチークーチーマンみたいなド級のハードなブルースに生まれ変わったコースターズの Riot In Cell Block #9 、ちょっとウラから入る不思議なリズムが奇妙に体に残るBecause You're Mine 、ニューオーリンズ的オールディーズ的ポップさ満開のYou Shouldn't Call The Doctorと続いてラストは気合い一発Route66
いやぁ、実にカッコいい。シャープなのにユルくてハードなのにファンキー。
よくモノの本なんかでは、彼らのシンプルなパブロックがパンクロックに影響を与えた的なことが書かれてあったりするのだけれど、だからといってドクター・フィールグッドはパンクバンドではない。僕はパンクは大好きだけれど、フィールグッドをパンクと同列に扱うのは違うと思う。彼らの中には良くも悪くもパンクの精神性はない。
フィールグッドが演っているのは、どこまでいってもシンプルなただのR&Bなのだ。

彼らがバンドを結成した1971年っていうのは、イエスが“こわれもの”を、レッドツェッペリンが“Ⅳ”をリリースした年で、同じ年にはクイーンが結成されている。
ドラマチックに構成された楽曲、大袈裟で壮大な歌詞、そしてテクニックひけらかしのインプロヴィゼーションが延々と続いていくような重厚なサウンドがもてはやされていた時代。そんな時代の最先端で「進化」を追求したバンドとはまるで無縁な場所で、くたびれたパブで酔っぱらい相手に時代遅れのブルースやR&Bばっかり演っていた、というそのスタンスだけでもすでに惚れ惚れしてしまいそうです。
そして、当時もてはやされていた最先端のサウンドがすぐに古くさい時代がかったものになってしまったのに、彼らの音は40年を経た今も尚活き活きとして響いてくることを思うとき、不思議なパラドックスを見るような気分になる。
それはやっぱり彼らが、大好きなブルースやR&Bを、頭でこねくり回さず素直に感じたまま伸び伸びとプレイしているからだと思う。大好きな音楽を存分に楽しんでいる、その気持ちがちゃんと音に残っているんですよね。
それって、音楽への接し方としてとても謙虚だと思うのです。

それでは週末に、東京でお会いしましょう。
とびきりのロックンロールと共に。




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コメント

[C2027]

Okadaさん、毎度です。
ウィルコ・ジョンソン、すい臓ガンなんですってね。
少しでも長生きされることを願っています。

今、BarDeuceです。
待ってますよー。
  • 2013-11-03 18:38
  • goldenblue
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  • 編集

[C2026]

Dr. Feelgood、かっこいいですね〜。
一時期彼らのアルバムをよく聴いていて、その名残がぼくのメールアドレスに見てとれるはずです。
余命わずかと言われているウィルコが最後にレコーディングをしているという話ですが、うまくいってるのかなぁ。

ライブ、楽しんできてください!

[C2025]

花マロリンさん、こんにちは。
いよいよ明日ですねー。
月曜日に休めるよう、今日も仕事片付けてます。。。
  • 2013-11-02 10:17
  • goldenblue
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[C2024]

LA MOSCAさん、毎度です。
そうそう、そういう職人気質な感じ。カテゴライズするならむしろJ-ガイルズバンドとか、ブルース・ブラザース・バンドとか そういう方面かと思っています。
Another Manはウィルコらしい音だし、Going Back Homeもかっこいいし、ラストのブンブン盛り上げる2曲も好きです。
  • 2013-11-02 10:16
  • goldenblue
  • URL
  • 編集

[C2023]

お疲れ様です!
あさって、お目にかかるのを楽しみにしてますねーーー。

  • 2013-11-02 06:11
  • 花マロリン
  • URL
  • 編集

[C2022] 「Back In The Night」はスケベなカンジがする(笑)

うん、パンクとは真逆な部分さえあると思います。
パンクにありがちだったアマチュアリズムが無いというか。
職人気質なカンジ。
俺のフェイバリットは跳ねまくる「Going Back Home 」
ウィルコのギターに限って言うとシャープさが際立つ「Another Man 」かな?

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golden blue

Author:golden blue
“日々の糧と回心の契機”のタイトルは、好きな作家の一人である池澤夏樹氏が、自身と本との関わりを語った著書『海図と航海日誌』の一節より。
“日々の糧”とは、なければ飢えてしまう精神の食糧とでもいうべきもの。“回心”とは、善なる方向へ心を向ける、とでもいうような意味。
自分にとって“日々の糧”であり“回心の契機”となった音楽を中心に、日々の雑多な気持ちを綴っていきたいと思います。

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