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♪DECLARATION -MV番外SNNその3-

Declaration
Declaration / The Alarm

Released:1984

1980年代、イギリスは英国病と呼ばれた経済の疲弊をサッチャー政権による“サッチャリズム”という経済政策での改革を推し進めていた。規制緩和や付加価値税の引き上げによるこれらの改革は、ポンド高を招き失業者を増大させ経済格差をより拡大させる一因となった。
パンクの誕生の背景にはこういった経済的な閉塞感があり、そういった流れからか80年代のイギリスには政治的にも踏み込んだ発言をするアーティストがたくさんいた。
まぁそれが当時一番かっこいい悪態の付き方だったという側面はあるにせよ、多くの自分は下層階級だと自認する若者たちの熱狂的な支持を得たことは間違いない。

Take this song of freedom
Put it on and arm yourself for the fight
Our hearts must have the courage
To keep on marching on and on
    (Declaration~Marching On

ジ・アラーム。ウェールズ出身の4人組。
じゃかじゃかとアコギをかき鳴らしながら「この自由の歌を聴いてくれ!戦いのために、勇気を持たなければ!」なんてシャウトするその名も"宣誓"という名の短いテーマ曲に続いて、なだれこんでいく"Marching On"。
一言でいうとU2がアコギでクラッシュを演ったようなバンドだった。
きっと若い頃にパンクに衝撃を受けジョー・ストラマーに心酔したに違いない、とてつもなく青臭い若き義憤と性急な理想主義に燃えるメッセージを、アコギをじゃかじゃか鳴らして高らかに歌い上げる。
正直言って今聴くと、めちゃくちゃしょうもない。
中途半端に立てた髪や、安物っぽいウェスタン調のファッションもダサダサだ。
でも、これ、高校生の頃、めちゃくちゃ好きだったんだなぁ。
「嵐が吹き荒れ雨が激しく降っている間、アンタはどこに行っていたんだい?」とお偉い人を揶揄するWhere Were You Hiding When the Storm Broke?とか、シャープなリフがかっこよかったThird Light、それからスプリングスティーンばりにドラマチックなSixty Eight Guns。バンドのポジティヴなスタンスを表明したテーマ曲みたいなThe Stand (Prophecy)We Are the Light
青い。この青さがたまらなく好きだった。
チンピラになりきれないどこか生真面目そうな風情、妙に感傷的でそのくせ大上段に構える大袈裟さまで含めて共感した。
でも、いつの間にか覚めてしまったのはどうしてだったのか。
ただ噛みつくだけではつまみ出されてオシマイ、もっとうまく立ち回らないと奴らの腹黒さには太刀打ちできっこない、と思うようになったのはいつ頃だったか。

奴らの面の皮の分厚さときたら、信じられないくらい分厚いのだ。まさに厚顔無恥。
「あなたのご意見はごもっともです。私もまさにそのことに問題意識を感じていました。」などと右手で握手を求めながら、腹の底では自分の都合のいいようにどうやってコイツを利用しようかと考えている。
奇しくもサッチャーよろしく自分自身の名前を冠した経済政策を標榜する首相を仰ぐ政権政党が、どうやら思惑通りにコトを進めようとしている。国民の声などお構いなしで原発の再稼働をすすめ秘密保護法を制定し名護の海を埋めて基地を作り島を国有化して隣国を挑発し集団的自衛権の名の下に大国におべっかを使い輸出を増やしたい大型製造業の思惑どおりに円安をすすめ財政が厳しいと生活保護を削り年金受給を引き上げ女性活用なんていう名の下に非正規労働者の拡大をすすめる人たちが、増税延期の民意を問う、ってか?そこまで見え見えの手を打って恥ずかしくないのだろうか?選挙が終わったら今まで国民の声を無視して進めてきた政策まで含めて「民意を得た」って言い切る魂胆が見え見えじゃないか。賛成したのは増税延期だけなんです・・・なんて後になって言っても通用しない。
10年後、だからあんときそう言ったんだよ、ってならないためには、少なくとも勝てはしないとしても奴らに楔を打っておくことは必要だと思うのだけれど。
もはや反逆の叫び声すら聞こえなくなってしまったこの国にこそ、今、アラームのような熱血の正義の叫びが必要なのではないのかしら、なんてふと思ってしまう選挙前。

一票で何も変わらない、と思う人も多いだろう。
少し意識の高い人なら、いくら投票権があっても自分の意志を反映できる投票先がないと嘆いているかもしれない。
でも、しょーもない上に憎たらしい奴らの思い通りにさせたらあかん。
少なくともNOならNOの意思表示をしなくては、と思います。

Cause our hearts must have the courage
To keep on MARCHING ON!




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コメント

[C2428]

名盤さん、こんばんは。
投票率はやっぱり戦後最低みたいですね。投票に行かないことも民意の一つには違いないでしょうけど。
まぁそれでも最初はもっと圧倒的と票読みされていた政権与党もどうやらそれほどでもないみたいで、思う壺への拒否感、現状やむなしだけど積極支持ではない感は強かったように思います。
  • 2014-12-14 22:13
  • goldenblue
  • URL
  • 編集

[C2426]

アラーム懐かしい。
当時けっこう好きでした。
それなりに注目されてましたよね。

今日寒かったし、投票率低かったんでしょう。
残念ながらそんなもんです。
思う壺ですね。
寒いから投票に行かない、それも一つの民意。
結局は国民が国を動かしてるんですよ。
残念すぎます。。

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golden blue

Author:golden blue
“日々の糧と回心の契機”のタイトルは、好きな作家の一人である池澤夏樹氏が、自身と本との関わりを語った著書『海図と航海日誌』の一節より。
“日々の糧”とは、なければ飢えてしまう精神の食糧とでもいうべきもの。“回心”とは、善なる方向へ心を向ける、とでもいうような意味。
自分にとって“日々の糧”であり“回心の契機”となった音楽を中心に、日々の雑多な気持ちを綴っていきたいと思います。

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