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♪MARQUEE MOON -My Vintage(69)-

マーキー・ムーン
Marquee Moon / Television

Released:1977

鬱鬱とした気分が溜まってきたら、聴きたくなるのがこれ。
逆に言えば、このアルバムがとても気持ちよく聞こえるときの精神状態は、少しやばい。
なんかねぇ、聴いていると、ボロボロ涙がこぼれて来そうになるんですよね。
ん、それってかなり危険?
ある種の医者へ出向けば診断書もらえるかもしれないね。いや、それはあんまり質のよくない冗談。
ちょっと疲れているんだ、長いこと生きてりゃ、ときにはそうやって隙間に挟まってしまうことだってある。

Television:
Tom Verlaine(vo.g)
Richard Lloyd(g)
Fred Smith(b)
Billy Ficca(ds)

歪んだ音で急上昇と急降下を繰り返す Friction のギター・ソロが気持ちいいんだ。
吐き出すように歌うMarquee Moon の呪文みたいなフレーズがかっこいいんだ。
神経質でヒリヒリとした声で擦り傷を掻きむしるような切迫感を持った See No Evil
そしてどこかあっけらかんとふっきれたような Venus

テレヴィジョン。
北の空で微かな光を放ちながら輝く北極星みたいに、弱々しくもいつもそこに居てくれる音楽。
まさに Guiding Light だ。
そして、絶望の中の密やかな決意表明のような Prove It にまた、涙が止まらなくなる。

このアルバムについては多くを語ることができないな。
ただ、流されるままに、漂うように、トム・ヴァーレインたちの紡ぎ出す、儚くも美しい物語に身を任せていたくなる。

ヘヴィな気分に陥って、ぽっこりと穴にはまってしまったような気分のときには、こう思うようにしている。
流れに逆らって漕いで行こうとするから、無駄に消耗してしまうんだ。
流れに任せろ。
目指した場所を目指す必要なんてどこにもない。たどり着いた場所が目指した場所だと思えばいい。
ElevationTorn Curtain のトムとリチャードのギターが、まるで荒波やカモメの鳴き声に聞こえる。
流れに任せろ。
北極星はいつだって、あの場所で弱々しくもいつも光を放っている。





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コメント

[C2264]

LA MOSCAさん、毎度です。
これはね、ほんとに完璧な作品だと思います。
このアルバムについてのいろんなレビューを見ていると「パンクとして取り扱われているが、音楽性としてはプログレに近い。」みたいなことがわりと書かれていたりするんですが、そういう人は「パンク=音楽性はない」とでも考えているのでしょうね、何にもわかっちゃいねーなー、と・・・僕は、これこそパンクだと思います。
  • 2014-06-08 18:59
  • goldenblue
  • URL
  • 編集

[C2261] 遅くなりました(笑)

コレ出されちゃったら黙ってられません(笑)

確かに明るい気分の時に聴きたいアルバムじゃないかも知れないですね。
未だに結構な頻度で聴いてる俺もヤバいのかも(笑)
でも1つの作品として完璧だと思う。

俺にとってもGuiding Lightです。

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golden blue

Author:golden blue
“日々の糧と回心の契機”のタイトルは、好きな作家の一人である池澤夏樹氏が、自身と本との関わりを語った著書『海図と航海日誌』の一節より。
“日々の糧”とは、なければ飢えてしまう精神の食糧とでもいうべきもの。“回心”とは、善なる方向へ心を向ける、とでもいうような意味。
自分にとって“日々の糧”であり“回心の契機”となった音楽を中心に、日々の雑多な気持ちを綴っていきたいと思います。

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