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ロックのゆりかご Before and Around of Rock’n'Roll



初めて「ロックってかっこいいっ!」と衝撃を受けたのは14才のとき。
なんだかんだでもう40年が経ったことになる。
その当時はまさか50代も半ばを過ぎて未だにロックを聴いているとは想像つかなかったけどね。
人格が形成される時期に触れたものというのはそれくらい大きな影響があるということなんだろう。

中高生時代は金はなかったけどヒマはたくさんあったようで、好きなアーティストのレコードを何度も何度も繰り返し聴き、ラジオや雑誌をチェックして新しいアーティストをチェックし、好きなアーティストの新しいシングルやアルバムがリリースされるのをワクワクして待っていた。

でも、そうやって新しいアーティストをチェックしなくなったり、新譜のリリースを待ち望まなくなったりになってしまったのはいつ頃からだっただろうか。

改めて思い起こしていくと、最新のロックをリアルタイムで聴いていたのは最初の10年、1980年〜1989年くらいまでなんですよね。
89年に大学を卒業して就職。
忙しくなったというのはもちろんあるけど、それは新しい音楽を聴かなくなった理由ではない。
ちょうどその頃に出てきたグランジ系のアーティストやヒップホップに馴染めなかった、というのが大きいかな。その傾向はストーン・ローゼスくらいから始まって、ダイナソーJrやニルヴァーナ、ソニック・ユースくらいまで聴きかじったものの、オアシスやブラーになるともう手も出さなかった。
モヤモヤしたりドロドロしたり超攻撃的だったりという表現姿勢は、23才になっていた自分にとっては「通り過ぎようとしているもの」で「この先の自分に必要なもの」とは少し違っている気がしたのだ。いや、正確にはそれは今振り返って思うことで当時は「なんかつまらんなぁ」と思って遠ざかっていったのだけど。

だからといって音楽を聴かなくなったわけではなく、むしろ金は学生時代よりあるわけで、週に1〜2枚くらいのペースでCDは買っていた。
ちょうどその頃からCDが完全に普及して、同時にかつての名盤がぞろぞろと再発されていったんですよね。
雑誌や名盤ガイドなんかで知識としては知っているけど聴いたことがない幻の名盤、、、例えばヴァン・モリソンの「アストラル・ウィーク」、ジェシ・エド・デイヴィスの「ウルル」、カーティス・メイフィールドの「ゼアズ・ノー・プレイス・ライク・アメリカ・トゥデイ」・・・そういう、今でこそ普通に聴けるものの当時は誰も聴いたことがなかった幻の名盤たち、或いはロバート・ジョンソンの「コンプリート・レコーディングス」やジェイムズ・ブラウンの「イン・ザ・ジャングル・グルーヴ」のようにブルースやソウルの名盤やクオリティーの高い編集盤が相次いでリリースされたのがこの時期だった。

従って、十分に潤沢とはいえない資源はついついそちらへ回されていったのだ。

80年代に大好きだったバンドはかつての縮小再生産的なリリースを繰り返すか、活動休止・解散するかになっていく、新しいバンドはピンと来ないという中で、評価の定まった名盤を漁るほうが断然コスパが良かったのも確かだ。





つまり90年代の僕にとっては、新しい音楽よりも古い音楽の方が刺激的だったのだ。

新しい時代のものも古い時代のものも、僕にとっては初めて出会う「新しい音楽」だった。

60年代70年代のロックから遡って60年代のリズム&ブルース、50年代のロックンロール、更にはカントリーブルースやジャズ。

そうやってルーツをどんどん探るうちに、ジャンルを超えて同じスピリットが脈々と表現されていて実はすべてが地続きであるということに気づいていくわけで、これがようやく「ロックのゆりかご」とした題した本題になるわけですが。

気がつけば、ロックを熱心に聴いていた時期よりも遥かに長い期間、ロック以外の、自分が生まれるよりもずっと前に演奏された古い音楽を聴いている。

ただ、ロックを拒否して古い音楽を遡ったのではなくむしろ逆。
僕が最初にロックにビビッときたものと同じ匂いがしたからはまっていったのだ。
それは、言葉にするのはとても難しいけれど、瞬間に高熱を発して輝きを放つような類いの感覚のものだと思う。

「ロックのゆりかご」
Before and Around of Rock’n'Roll

しばらくの間、ロックのルーツとなっていったオールドタイムミュージックをいくつかご紹介していきます。







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コメント

[C3454]

Bach Bachさん、遅ればせながら、今年もよろしくお願いします。

すっかり新たしい音楽シーンを追いかけなくなってから時間がたってしまいましたが、古い音楽の探求は掘れば掘るほど深みがあります。

たぶん20記事以上書く予定です。
  • 2022-01-16 15:50
  • goldenblue
  • URL
  • 編集

[C3453] あー分かります!

遅くなりましたが、今年もよろしくお願いします!

僕もストーン・ローゼスやニルヴァーナあたりで、あんなに大好きだったのに「もうロックはいいや」となりました。その頃、古いロックの方がよほど刺激的だったというのも同じです。

ルーツ・オブ・ロックの記事、楽しみにしてます!
  • 2022-01-15 02:17
  • Bach Bach
  • URL
  • 編集

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golden blue

Author:golden blue
“日々の糧と回心の契機”のタイトルは、好きな作家の一人である池澤夏樹氏が、自身と本との関わりを語った著書『海図と航海日誌』の一節より。
“日々の糧”とは、なければ飢えてしまう精神の食糧とでもいうべきもの。“回心”とは、善なる方向へ心を向ける、とでもいうような意味。
自分にとって“日々の糧”であり“回心の契機”となった音楽を中心に、日々の雑多な気持ちを綴っていきたいと思います。

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