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♪THAT STUBBORN KINDA FELLOW

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That Stubborn Kinda Fellow / Marvin Gaye

Stubborn Kind of Fellow
Pride & Joy
Hitch Hike
Get My Hands On Some Lovin’
Wherever I Lay My Hat
Soldier’s Plea
It Hurt Me Too
Taking My Time
Hello There Angel
I’m Yours, You’re Mine

もう一枚、このところの大のお気に入りを。
マーヴィン・ゲイの1962年作、初のシングルヒットStubborn Kind Of Fellow を含むセカンド・アルバムです。
マーヴィン・ゲイといえば何はさておき『What's Goin' On』なんだけど、かなり作り込まれたあのアルバムのしかめっ面の歌よりも、初期のみずみずしいマーヴィンの声がね、なんとも好きなんです。
なんといっても冒頭からの3曲、おおらかなリズムで揚々と歌われるStubborn Kind of Fellow、手拍子とファンキーにコロコロ転がるピアノがかっこいいPride & Joy、そしてストーンズも『Out of Our Heads』でカバーしていたブルージーなHitch Hike。これは以前にezeeさんがスモーキー・ロビンソンのアルバムで例えていたバース、掛布、岡田のバックスクリーン3連発級のかっこよさです。
ちなみにこの3曲、すべてマーヴィンの自作で、かつピアノもドラムもマーヴィン自身。印象的なコーラスはマーサ&ヴァンデラス。

マーヴィン・ゲイは実はデビュー当時はフランク・シナトラやナット・キング・コールのようなスタンダードを朗々と歌いあげるような歌手になりたかったそう。実際ファースト・アルバムはそのような体裁で録音されたし、その後も『ナット・キング・コールを歌う』とかいくつかのムーディーなアルバムも録音されたのだが、これはさっぱり売れなかったようで、黒人のダンス・ミュージックを白人のティーンエイジャーに売ることを狙っていたモータウンのベリー・ゴーディーはマーヴィンにそっちの路線をあきらめさせ、ビートの効いたポップ・ソングを歌わせる。
ところがこれが大ヒット。マーヴィンは一躍、サウンド・オブ・ヤング・アメリカンを標榜して大躍進するモータウンを代表するシンガーのひとりになる。
このエピソードがなんとなくマーヴィン・ゲイらしくて好きなんですよね。
自分が好きなもの、やりたいものとは違うと思いながら、求められた役割を十二分にこなしてしまえるだけの器用さと、その一方でやればやるほど自分が引き裂かれていく感じを内に秘めつつ結局求められた役割から逃れられなくなっていく感じ。
そもそもマーヴィン・ゲイは教会の牧師の家に生まれて協会でピアノやドラムを学んだらしい。そのまま順調に育てば牧師になったんだろうけど、誘われてドゥーワップのグループに入ったせいで勘当。
しかし、マーヴィンの才能を見出だしたムーングロウズのハーヴィー・フクアに紹介されてモータウン入り。
モータウンでは最初はセッション・ドラマーだったのが歌うことになり。
社長のベリー・ゴーディーの姉の18才も年上のアンナに好かれて結婚し、いきなりVIP待遇。
本来やりたかったものとは違うポップ・ソングでスターになり、メアリー・ウェルズ、キム・ウェストン、タミー・テレルとデュエットの相手役を次々と任され。
そういうキャリアそのものがかなり成り行き任せ。
成り行きの中でコロコロと転がりながら、とりあえず全部受けて立つ。そーゆー感じがいい。

最近ね、そういうもんだよな、と思うんですよね。
自分が思うらしさだけを突き詰めたところでただの独りよがり。求められた役割の中にどれだけ自分の色をにじませていくことができるか、置かれた場所でどれだけのことができるか、そういう中での悪戦苦闘の結果こそが、本当にその人にしかできないその人らしさになるんじゃないかって。

マーヴィン・ゲイの歌にあるとてもポップでおおらかなのにどこか微妙に影があるようなブルース感はそういうところから来ているような気がする。
そして、そういうブルース感覚があるからこそ、聴いた人を惹き付けてやまない魅力があるのではないか、と。
それは決して不幸なことではないはずなのだ、と思うんですよ。

と、まぁそういう云々かんぬんは抜きにしても、ほんとかっこいいです、このアルバムのマーヴィン・ゲイ。



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コメント

[C2791]

ezeeさん、毎度です。
バックスクリーン3連発の例えが大好きで使わせてもらいましたー。
与えられた仕事で評価されるのが結局は幸せ、そうなんだろうなーと最近はよく思います。しょうもない自己主張よりも、求められたことに誠意を尽くす、みたいな。

このアルバムの曲のみずみずしさ、かっこよさ。ちょこちょこ歌い上げ系をはさみこんでくるところも含めていいですねー。
  • 2016-03-11 08:48
  • goldenblue
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  • 編集

[C2790]

yuccalinaさん、こんにちは。
自分らしさは周りが決めてくれる、今ある環境の中で与えられた役割に力を尽くす・・・みたいなことがテーマの今日この頃でとても共感してしまうのがマーヴィン・ゲイなのです。
できればややこしい葛藤などなしに過ごしたいものですが、そういう葛藤こそが人生の推進力になるのかもしれませんね、なんて思ったりもします。
  • 2016-03-11 08:40
  • goldenblue
  • URL
  • 編集

[C2789]

ポップ・ソウルも、ライヴ・パフォーマンスも嫌いやったみたいですね、 マーヴィン。
でもStubborn Kind of Fellowは、見事に最高です。ジョン・オーツもそう言うてました。
丹精こめて歌い上げた思い入れあるスタンダードよりも。与えられた仕事でちゃんと評価されるってのが結果、幸せなんでしょね〜
  • 2016-03-10 23:40
  • ezee
  • URL
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[C2788]

おはようございます。これ、大好きなアルバムです。
ドキュメンタリー見て知ったんですが、マーヴィンは最初ドラマーやってたんですよね?自分らしさにたどり着くまで、色々とあったみたいですね。結婚相手のゴーディーの妹だか姉が彼よりも一回り年上だったというのも、多分内面の問題と関係ありそうですが、そうした葛藤があったからこそ、色んなスタイルに挑戦して、素晴らしい作品を残したのかも。
  • 2016-03-10 08:25
  • yuccalina
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golden blue

Author:golden blue
“日々の糧と回心の契機”のタイトルは、好きな作家の一人である池澤夏樹氏が、自身と本との関わりを語った著書『海図と航海日誌』の一節より。
“日々の糧”とは、なければ飢えてしまう精神の食糧とでもいうべきもの。“回心”とは、善なる方向へ心を向ける、とでもいうような意味。
自分にとって“日々の糧”であり“回心の契機”となった音楽を中心に、日々の雑多な気持ちを綴っていきたいと思います。

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