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座右の名曲(6) Sitting On The Fence

The Roosters
Sitting On The Fence




ひとりでポツンとガードレールに腰掛けて、遠くの空を眺めている。
そういうシチュエーションが好きだ。
そのとき、頭の中にはだいたい、この曲が流れている。

RCサクセションと佐野元春でロックンロールの名で呼ばれるスピリットに目覚めてからどんどん深みにはまっていった高校生の僕は、日本のロック・バンドを片っ端から聴き漁っていった、、、ってな話は以前もきっとどこかで書いたっけ。
ハウンドドッグ、シーナ&ロケッツ、モッズ、ARB、アナーキー、、、そんなかっこいいロック・バンドたちの中でも一等賞に痺れたのがルースターズだった。
当時の最新アルバムは「D.I.S」だったかな、そこから遡ってファーストとセカンドを聴いた。
その、なんともいえない、まるで青い炎みたいな、クールなのに熱い感覚。
ものすごく熱いのに、どっかが覚めてる感覚。どこかザラザラして、それを突っ切った感覚。マイナスとマイナスを掛けあわせてプラスにするマジック。
これはほかのどんなバンドにもないかっこよさだった。

その頃ちょうど僕は大学受験を控えていて、迷っていた。
何でもかんでも受験一色の学校はほとほとつまらなかったし、それを当たり前に感じているクラスメイトたちともだんだん溝ができていった。
でもその違和感はうまく表現できなくて、モヤモヤしながらも表面上は合わせてしまう自分が嫌だった。
クラスメイトのほとんどは、地元から通えるそこそこのレベルの私学へ行く。同じようにそういう学校へ行けば、きっと僕は飛び出すチャンスを永遠に失ってしまうのだろう。でも、ひとりで知らない世界へ出ていく勇気も持ち合わせていなかった。
そんなモヤモヤをぶっ飛ばしてくれたのはこの曲だったかもしれない。
「おまえの人生、おまえが決めろよ。」
「今踏み出さなきゃ、ずっとこのままだぜ。」
「ひとりになることの何が怖いんだ?」

歌詞にそんな言葉があるわけではない。
でも、大江慎也が、そんなふうに歌っている気がしたんだ。ニヤニヤしながら。

フェンスに腰掛け
明るい空の下
考えているところ
これからなにをやろうかな

そうして、僕は一歩踏み出した。
その先には、ちまちました高校生の不安なんてどーってことのない、広い世界があったのだった。
あのまんまこじんまりしたベッドタウンで腐ってなくってよかったよ。
今になって改めて心からそう思う。

あの頃衝撃を受けて浴びるように聴いたたくさんのロックンロールに感謝。
サンキュー、ロックンロール!


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Roosters a Go-Go/The Roosters





座右の名曲(5) ガラスのジェネレーション

佐野元春
ガラスのジェネレーション




佐野元春のセカンド・アルバムの一曲め、“ガラスのジェネレーション”。
この曲のラストでキーを上げてシャウトされるフレーズは、一瞬で高校生の僕にガツンと突き刺さったのだった。
それはまるである種の神託のようだった。

“つまらない大人には
なりたくない!”


物わかりのよい子どもではなかった僕は、何かにつけて親や教師のやることに文句をつけていた。
呼び出され、お説教を受けるたびに教師はこう言った。
「お前も大人になればわかる。」
そんなお説教を聞くたびに、うんざりしていたのは、教師も僕の主張が半ば正しいと感じつつも、世の中いろいろあるんだよ、そんなに甘くないんだよ、って、自分が理想をあきらめた言い訳に使っているように感じたからだと思う。
自分に嘘をついて、ごまかして、自分で自分の人生を否定している。
大人なんてつまらない。
大人になんてなりたくない。
少なくとも僕はあんなふうになりたくないな。
そんな気分の高校生に、佐野元春のシャウトはストンと心に落ちてきたのだった。

“大人になんてなりたくねー”みたいな歌を歌う人はおそらくそれまでもたくさんいた。
“大人になる前に死んでもいい”って歌う人もたくさんいた。その中には実際死んでしまった人もいくらかいた。
ガラスのジェネレーションは、そういう成長の否定とは少し違っていたのだ。
“大人になりたくない”ではなく“つまらない大人にはなりたくない”、という言葉。
それはつまり“つまらなくない大人になるんだ”っていう意思表示。
そこには絶望ではなく、ポジティブな意志があった。

“ガラスのジェネレーション、さよならレヴォリューション”っていうメッセージは、佐野さん自身のひとつ上の世代に向けて歌われたメッセージだと言われている。
いわゆる全共闘世代へのメッセージ。
革命を叫びながら、革命をおもちゃにして、結局まるごと青春の思い出にして収まってしまった世代。
なるほど、そんなふうにも聞こえる。
当時はそんなことよくわからないまま、ただのゴロ合わせだと思っていた。
でも、そんなことはそもそもどうでもいいんだ。
そんなメッセージ以上に、聴き手をポンっとはじけさせてしまうような何か、いわゆるロックンロールの魔法がこの曲にはある。
跳びはねていくようなリズムの勢いとか、ダディ柴田のサックスソロとか、“Oh,Yeah!”とか“All Right!”みたいなシャウトとかの中に、ロックンロールにしか表現できない何かがある。
それだけでじゅうぶんだった。

おぉっ、かっこいい!
あの頃そう感じたサムシングを今も持ち続けていられているか?
この曲を思い出すたびに、そういう思いに立ち返ることができる。

OK、まだまだだいじょうぶだ。
周りから見たらじゅうぶんに大人でも、僕はまだ、何度でも佐野元春と一緒に歌える。

“つまらなくない大人には
なりたくない!”



Heartbeat / 佐野元春






座右の名曲(4) One Track Mind

Johnny Thunders and The Heartbreakers
One Track Mind




When I was born, I hada think up a song
To live like I wish I had to flop like a fish
In the confusion I made an illusion
I spit out a track And I don't look back

I Gotta One Track Mind
I Gotta One Track Mind
I Gotta One Track Mind
Over You

生まれ落ちたその時に 
こんな歌を思いついてた
魚が飛び跳ねるみたいに 
生きていきたいだけ
混乱の海から幻惑を生み出し
路上に唾吐いて 何にも振り返らない
そんな感じ、ええやろ
そんな感じでいったんねん


うーん、かっこいい。
いかがわしくも純粋で、ひねくれまくるくらいに真っ直ぐで、ヘロヘロなのにパワフルな、これこそロックンロール!と言い切りたくなるようなロックンロールの塊。

18の頃、この歌は僕のテーマ・ソングだった。
そして、ここぞというときにキアイ入れるための、いわば「勝負ソング」だった。
好きな女の子をデートに誘おうと決心した日に。
大嫌いだったアルバイト先を辞める前の日に。
アルバイトで貯めた金で家を出ることを決めた朝に。
そんな、びびってしまって流されてしまって一歩踏み出すのを躊躇しそうな自分に喝を入れるために、自分自身を鼓吹するために、ヘッドフォンで大音量で聴いていたのだ。
自分の中の弱気と不敵との葛藤を、弱気に流されそうな自分に負けないように、気持ちにガソリンを注入するみたいに。

上手いとか下手とかやない、理屈やない、どんだけ振り切ってしまえるかなんや、自分が思ったとおり感じたとおりに吠えまくり叫びまくればええんや、とジョニー・サンダースが歌っている。
このビート感を自分のものにしたいと思った。
ギラリとした輝きと切れ味を自分のものにしたいと思った。
そんな18才。
今から思えばたいしたことでもないことに、びくびくしながら、でも何とか何かを踏み出そうとしていたのだった。

音楽は不思議なもので、今聴いてもその頃のリアルな気持ちがすぅーっと甦ってくる。
あの頃の方が良かったとか戻りたいなんて感慨は一切ない、むしろ二度と戻りたくはない。
けれど、ジョニー・サンダースを聴いている時、僕は今も18歳なのだ。
迷ったり日和ったりしそうになったとき、ジョニーが蹴りを入れにくる。
おい、おまえ、18の頃のこと、忘れたのか、って。

50も過ぎると、誰からもお説教されたり叱られたりしなくなって、きっとその代わり諦められたりするのがちょっと淋しかったりもする。
だからときどきそうやって、若い頃の自分にケツをあおられたりするのがちょっと楽しかったりもする。

ロックンロールなマインドは、まだちゃんとここにあるんだぜ、なんてね。



L.A.M.F / Johnny Thunders and The Heartbreakers







座右の名曲(3) Your Love Keeps Lifting Me Higher and Higher

春分の日を過ぎた途端に、うれしくなるくらいの春らしい日射し。
土手の桜もつぼみをふくらませて、花を開かせるまでもう少し。
こんな日によく似合う「座右の名曲」は、ソウルでいこう!

Jackie Wilson
Your Love Keeps Lifting Me Higher and Higher



ベースのリフとパーカッション、チャキチャキとリズムを刻むギター、そして存在感ハンパないウィルソン師の太くて張りのある歌。
コール&レスポンスを繰り返すホーンと女性コーラス、どんぴしゃのタイミングでぐいぐいと気分を高めていくストリングスも絶妙。
どんどんと盛り上がってくると裏声で高いところへ行ったり、シャウトしたり、ほんと圧倒的な存在感でまさにHigher&Higherな場所へ連れて行ってくれる完璧な一曲だと思います。

そして、歌詞もいいんです。

I'm so glad, I've finally found you
Yes, that one, in a million girl
And now with my loving arms around you
Honey, I can stand up and face the world
Your love keep on lifting me Higher
Lifting me Higher and higher

あなたがいてくれるから
世界と向き合える
あなたの愛が僕をとても高い場所へ
ひっぱりあげてくれるから


歌われているのは、Baby I love youだけのただ甘いだけのラブ・ソングではない。
愛する人の存在が与えてくれる勇気やエネルギー、とでもいうのかな、そういうことへのメッセージを含んだ愛の讃歌っていうか。

人が一人でできることはやっぱり限られていて、理解してくれる人や喜んでくれる人がいてくれることが、なにかをやっていくための推進力になるのですよね。
あの人の笑顔がみたいから。
あなたが喜んでくれるから。
そんな気持ちがエネルギーになって、一歩踏み出せることがある。
そうやって満たされた心が、笑顔の連鎖を作ることがある。
そのことから始まる愛のさざなみみたいなものが、放っておくとすぐに曇ってしまってネガティヴになってしまう世界を、クリアーにポジティブに変えていくっていうか。
そんな善の循環をイメージできさえすれば、世の中けっこういいものだよね、って思えるんじゃないか、と。

かっこいいソウル・ミュージックは、そういう循環のバッテリーみたいなものなのかも知れませんね。


Higher and Higher / Jackie Wilson






座右の名曲(2) You can make me dance,sing,or anything

座右の名曲、第2回はフェイセズのこの曲です。

The Faces
You can make me dance,sing or Anything




聞いてよ 
きみに言っとかなくっちゃ
いけないことがある

時々自分でもわけがわからなくなって
ひどいことを言ってしまうことがある
それから夜遅くまで遊び歩いて
帰ってから大喧嘩とかね
なぜだか計画はいつも
もうちょっとのところで
うまくいかないんだけど
いつもドキドキさせてくれる
きみさえいてくれたら
億万長者にだってなれる気がするんだ

きみがいてくれるおかげで
ダンスしたり歌ったりできるから
いつものなじみのことをしようよ



ひとりでいることは嫌いではないけれど、きっと本当にひとりぼっちだったなら、歌っても踊ってもきっと楽しくないんだろうな。
踊らせてくれる誰か、歌わさせてくれる誰かが、きっと誰の人生にも必要なんだと思う。

フェイセズといえば、ロッド・スチュワートやロン・ウッドがかつて在籍していた、どこか陽の当たらないバンド、っていうイメージがあるんだけど、実はめちゃくちゃ陽気で屈託のないやんちゃさが持ち味だ。
ストーンズだと斜に構えて「ケッ」ってなっちゃうようなところも、明るく笑って飄々としているようなしたたかさがフェイセズにはある。
「おまえと踊ってやってもいいぜ」って感じじゃなくって「きみといると踊りたくなっちゃうよねー」っていう屈託のなさ。
さっきまで「憎たらしっ!」と思っていても、その笑顔を見てしまうとなんとなく許してしまうようなそんなかわいらしさも込みで。

独特のやんちゃなノリを支えるのはロン・ウッドのギター。
茶目っ気のあるイアン・マクレガンのピアノ。
悠々とグルーヴを練りあげるのは山内テツ。
グルーヴの主であるはずのケニー・ジョーンズはこの曲ではなんとも歌に沿ったおおらかな叩きかたをしていて、そのテキトーさがフェイセズらしくていい。
後半、当時流行のフィリー・サウンドを狙ったんであろうストリングスとともに♪Keep on loving me,babyと連呼するロッドのノリにあわせてケニーのドラムもどんどん立ってくるあたりの展開もとっても気持ちいい。
ついつい歌ったり踊りたくなってしまいますよね。

元気になりたいとき、フェイセズは効き目抜群だ。
斜に構えてひねくれているより、ぶつぶつ不満を垂れているより、フェイセズでご機嫌になるのが一番の元気回復。


Snakes and Ladders / The Faces

ちなみにこの曲はシングルのみの発表で、オリジナル・アルバム未収録。
“Snakes and Ladders”というフェイセズ解散後に出たベストアルバムに入ってます。
“Snakes and Ladders”っていうのは、古代インドから伝わる子ども向けのボードゲームの名前なんだそうです。





座右の名曲(1) Brightside Of The Road

まだまだ収まるどころか拡大する一方の新型コロナ。
一日中マスクするのにも慣れたけど、なんともいえないこの閉塞感、さすがにうんざりする。
言いたいことはいろいろあるけど、そんなことを書いてもつまらない。
むしろこういうときこそ、大好きなロックンロールのことを書くべきだろう。

ということで、しばらくの短期連載シリーズ。
題して「座右の名曲」。
ベタなタイトルですが。。。
自分なりのポリシー、生きる姿勢やスタンスに影響を与えた曲についての一考察、、、いや、そこまで言うと言い過ぎか(笑)、要は若い頃にガーンとショックを受けたような曲をいくつかピックアップした感想文をいくつか書き散らかします。

第一回は、この曲です。
Van Morrison
Brightside Of The Road




暗い路地裏から 
陽の当たる道の向こう側へ
もう一度愛し合わないか
陽の当たる道の向こう側で
一緒に行こう
信じるものを分かち合って
暗い路地裏から 
陽の当たる道の向こう側へ

この人生に産み落とされたけれど
時々何が何だかわからなくなる
時間はあっという間に過ぎていく
瞬きのように

できる限り楽しむんだ
僕の歌を一緒に歌ってほしい
暗い路地裏から 
陽の当たる道の向こう側へ



ちょっとカントリーっぽいアコギやフィドルがいいよね。
歌のテーマどおり、明るい日射しが歌の中に降り注いでいる。

ヴァン・モリソンって、どっちかっていうとちょっと小難しくて哲学的でどこか孤高の仙人みたいな独特の佇まいがあってちょっと敷居が高いイメージ。
確かにそのイメージどおりに深い思索の果てに生まれたようなシリアスな曲もたくさんあるけれど、実はとてもポップで人懐っこい歌もたくさん歌っているのですよね。

開かれた窓、そよぐカーテン。
雲の切れ間から陽光がさすように、どこか吹っ切れたような明るいトーンとウキウキするような跳ねるビート、ソウルフルな歌。
エネルギーが少しずつ充ちてくる。

ずっと反抗的でひねくれていた少年時代、とりあえずなんでもかんでもかみついていた20代、なんの根拠もないのにやたらと血の気が多かった僕が、やっぱりソウルだよな、と思いはじめたのはいつ頃だったのだろう。
奪いとるよりも与えることのほうが、結果としてたくさんのことを得られるのだと気づいたのはいつ頃だったのだろう。
その頃からヴァン・モリソンがとても気持ちよく心に響くようになっていったような気がする。

まずは受け入れる。
それって、実は反抗的でひねくれていた自分が、相手にとってほしかった態度なんだろうね。
それがいつの間にか、受け入れる立場に変わっていた。
まぁ、年を重ねていけばそういうことになるのが必然なんだろうけど、そういうことに気づいてからのほうがずいぶんと生きやすくなっていった気がする。

Let’s enjoy while we can.
できる限り楽しもう。
Please help me sing my song.
誰かに助けてもらいながら、
自分の歌を歌おう。


世の中いろいろあるけれど、基本的にはこういう気分で過ごしたい。

眉間にシワがよってきたら、この歌を思い出して、ハナウタで歌ってみようと思う。
From the darkend of the street,
to the brightside of the road♪


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Into the Music / Van Morrison



音楽歳時記まとめ記事

3年にわたってすすめてきた「音楽歳時記」シリーズのまとめ記事です。

僕は昔から、気温や気候がかなり気分に直結するところがあって。
機嫌悪くても晴れてて爽やかならすぐ収まるし、雨で肌寒けりゃすぐに気分が塞ぐ(笑)。
誰でもそうなのか、自分にその傾向が特に強いのかはよくわからないけれど。

食べ物、着る物、そして聴く物は、気温や湿度に合わせるのが心地いい。
いくら天の邪鬼でも、ピーカンの爽やかな朝にトム・ウェイツを聴いたり、雪の降る冷えきった夜にボズ・スキャッグスを聴いたりはしないのだ。

さて、3年がかりで選んだ二十四節気七十二候の72枚をずらっと並べてみよう。

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〈春分〉
Tapestry / Carole King
Going to a Go Go / Smorky Robinson and The Miracles
Give It Up / Bonnie Raitt
〈清明〉
The Man and His Music / Sam Cooke
Nicolette / Nicolette Larson
Shake You Down / Gregory Abbott
〈穀雨〉
Pres and Teddy / The Lester Young and Teddy Wilson Quartet
A North Of A Miracle / Nick Heyward
The Best Of / Eric Carmen

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〈立夏〉
Please / RCサクセション
Please,Please,Me / The Beatles
The Rose Of England / Nick Lowe
〈小満〉
Little Feat / Little Feat
There Goes Rhymin' Simon / Paul Simon
Char / Char
〈芒種〉
Four Chords and Saveral Years / Huey Lewis and The News
You're Only Lonely / J.D Souther
The Collection / Ken Boothe

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〈夏至〉
St.Dominic's Preview / Van Morrison
私と音楽 / 原田知世
Skylarking / XTC
〈小暑〉
The Honeydrippers / The Honeydrippers
,80のバラッド / 泉谷しげる
The Best of / Jimi Hendrix
〈大暑〉
El Ray X / David Lindley
Southern Nights / Allen Toussant
The George Benson Cook Book / George Benson

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〈立秋〉
The Sound Of Summer Running / Marc Johson
Goodtime For Love / 渡辺貞夫
Summer Doze / 憂歌団
〈処暑〉
Mystery Girl / Roy Orbison
On The Beach / Chris Rea
Giving You The Best I Got / Anita Baker
〈白露〉
峠のわが家 / 矢野顕子
Evantually / Paul Westerburg
Rising Sun / 矢沢永吉

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〈秋分〉
Brothers In Arms / Dire Straits
Aja / Steely Dan
In My Soul / The Robert Cray Band
〈寒露〉
Vacancy / 柳ジョージ
Too Ry Ay / Kevin Rawland and Dexy's Midnight Runners
上々颱風3 /上々颱風
〈霜降〉
Muswell Hillbillies / The Kinks
Wildflowers / Tom Petty
Ogden's Nut Gone Flake / The Small Faces

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〈立冬〉
How Will The Wolf Survive / Los Lobos
Gettin' Around / Dextor Gordon
You Gotta Sin To Saved / Maria McKee
〈小雪〉
Swordfishtrombone / Tom Waits
Pirates / Rickie Lee Jones
Same Old Man / John Hiatt
〈大雪〉
Ella and Louis / Ella Fitzgerald and Louis Armstorong
My True Story / Aaron Neville
Bridge Over Troubled Water / Simon and Garfunkel

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〈冬至〉
Amazing Grace / Aretha Franklin
Every Pictures Tells A Story / Rod Stewart
The Gift / Midge Ure
〈小寒〉
Horses / Patti Smith
Down By The Jetty / Dr.Feelgood
Stephen Stills / Stephen Stills
〈大寒〉
I'm Still In Love With You / Al Green
Adventure / Television
Undercurrent / Bill Evans and Jim Hall

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〈立春〉
Stone and Eggs / 佐野元春
The Crossing / Big Country
Elvis Presley / Elvis Presley
〈雨水〉
Randy Newman / Randy Newman
Hosono House / 細野晴臣
Phoebe Snow / Phoebe Snow
〈啓蟄〉
Highland Hardrain / Aztec Camera
Cupid and Phyche ,85 / Scritti Polliti
George Harrison / George Harrison


こうやってアルバム・ジャケットがずらっと並んでいるのを見るのは、とても好きだ。
それぞれの音楽にある、それぞれの思い。
それぞれの時期の自分と、幾人かの親愛なる人たちの顔も浮かんでくる。

こういうのを選ぶとき、どこかに偏りすぎないようにバランスを気にかけるのが自分的習性でありまして。
できるだけ、時代も、国籍も、性別も散らして散らして。
そういう中でセレクトされたこの72枚から、改めて自分の志向と嗜好、或いは思考を再確認することができた感じがする。
時代も国籍も聴いた時期もひとつひとつはバラバラで脈絡がないけれど、こうやって並ぶとなにかひとつのものが浮かびあがってくるような気がしないでもない。


ほとんどはいわゆる広義のロックですが、その中でソウル6枚、ジャズが5枚にフュージョン、ブルーズ、レゲエ、ゴスペル。

ちなみに、分布としてはこんな感じです。

50年代  4
60年代  8
70年代 25
80年代 24
90年代  6
00以降  5

ジャマイカ        1
アフリカ系アメリカ   13
ヨーロッパ系アメリカ  27
イギリス        18
日本          13

男 59
女 13

泥臭いブルースロックから、軽快なロックンロール、フォーキーなものもファンキーなものもオルタナティブなのも、ジャズもR&BもAORもどれも自分の一部分。
尖ったのもまーるいのも、ハードなのも穏やかなのも、ストレートなのもねじくれたのも。

さて、明日はどんな自分が顔を出すのか。
お天気まかせでいきたいと思います。








音楽歳時記シーズン3「啓蟄」

3月初旬のこの時期には、誕生日があって、その一週間後に東日本大震災があって。
そういうせいだけでもないんだろうけど、この季節はなんとなく、静かに人生について、世界について、考えを巡らせてみたい気分の季節にいつの頃からかそうなってしまった。
その上、このコロナウイルス禍によるどんよりムード、嫌でも自分やこの国の行き着く先に漠然とした不安感を感じては重い気分になってしまう。
もっとも、いろいろ考えを巡らせたところで結局のところはなるようにしかならないんだけど。

3月6日、啓蟄。
まだまだ気温は低いけれど、陽射しはすっかり明るい。
どことなく優しい愛情に包まれている気分を思い出す気持ちになってみよう。
不安は横へ置いといて、穏やかな気持ちを思い起こそう。

そんな気分に似合うレコードを探していたら、ジョージ・ハリスンが思い浮かんだ。
ジョージの名盤といえば「All Things Must Pass」なんだけど、僕は1979年のセルフタイトルを冠したアルバム「George Harrison」が一番好きだな。

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George Harrison / George Harrison

ジョージ・ハリスンのことは、正直そんなに深い思い入れがあるわけではなかった。
ビートルズならやっぱりジョンだし、ポールの才能はものすごいし、リンゴの人の良いキャラは素敵だ。となると、どうしてもジョージの存在には地味さがつきまとう。
でも、どんな気分のときでもすんなりと受け入れられるのはジョージの音楽だった。
気がつけばいつもそこにいて、穏やかに、時にはちょっと意味不明に、謎の微笑みを浮かべている。
テンションの浮き沈みが少なくて当たり外れの少ないその安定感は、実はとても貴重なんですよね。



53年生きてきて、振り返ってみると、意外とたくさんの愛情に包まれてきたのだと気づく。
そのときはわからなくって、照れ隠しでごまかしたり、ちゃんとその愛情を受け止められずに悪態ついたりしてきたんだけど、まるっきり愛されていないと拗ねていたわけでもなかったはず。

Love comes to everyone。
太陽の陽射しが誰にでも降り注ぐように、愛も誰にでもやってくる。
それを感じるか、受け止めるかは、自分次第なんだってこと。
Love comes to everyone。








令和二年の閏日

閏日とは、暦の上の季節と実際の季節とのズレを調節するためもの。
太陽暦のユリウス暦では一年を365日としているが、実際には地球は太陽の周りを365日5時間48分45秒で一周するため、だんだんとズレが出てきてしまう。
その差が年に約1/4日であるため、4年に1回、1日多くすることでそのズレを修正するのだ。

閏年という仕組みって、なんかいいな。
いつもはいないのに、たまーにさりげなくやってきては、ハイッ、あらよっ!てズレを修正する閏日の仕事ぶりは、腕のいい職人の仕業のようだ。
普段は気づきもしない微妙な、けど、放置しているといつの間にか大きなズレにつながってしまう案件を修復するというミッションを担った仕事人。
365日の正規メンバーではないにもかかわらず、ちゃんと自分の役割を果たして、また次の出番まで去っていく。
このさりげなさが、なんともかっこいいな、と。



腕のいい職人に例えられるミュージシャンはたくさんいる。
例えばブライアン・ウィルソン。
もちろん嫌いではないんだけど、ドラッグとか精神的な病とか、ブライアン・ウィルソンには苦悩する天才みたいな物語がついてまわって少し重苦しさを感じたりもする。
或いはスティーリー・ダンのドナルド・フェイゲンとウォルター・ベッカー、10ccのグレアム・グルードマン、XTCのアンディ・パートリッジ・・・彼らに共通するのは、少し偏執狂的とすらいえるマニアックさやこだわりの強さかな。
いや、もちろんそれも悪くない。
悪くはないんだけど、ちょっと肩が凝る。
そうじゃなくって、もっとナチュラルにポップな音、あざといくらいのポップな音を生み出す職人といえば・・・あ、そうだ、ジェフ・リンだ。

この人の音楽は、素直にわかりやすくて楽しい。
ビートルズ直系の美しいメロディー、大仰すぎずかつ効果的なストリングス、玄人受けを狙った諧虐的な音ではなく、もっと開かれた音。
力みが少なく、かといってゆるいわけでもない独特のリラックス感。
ひねりはいろいろあるんだけど、ひねるためのひねりではなく、好きなことをやっていったらこんなんなりましたー、っていう感じがするんだな。



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The Very best Of E.L.O / Electric Light Orchestra



新型コロナウイルスに関するドタバタに振り回される令和二年の閏日。
総理大臣の独断には、深みもセンスもなく、あざとさしか感じられない。
「ここまでのところはどうやらしくじったなー、このままじゃーまずいよなー、オリンピックができなくなっちゃう。なにかドーンと、やってる感のアピールできることしなくっちゃ。」って匂いが残念ながらプンプンする。
そういうのに人間はすごく敏感なんですよ。

ジェフ・リンのポップスにはそういうあざとさがない。
スーパースターになりたい、金持ちになりたい、みたいなギラギラしたものもなく、ルックスだって超地味で、本当にポップな音楽が大好きなんだな、ということがにじみ出ている。だから聴き手が素直に受け入れることができるんだろうと思うんだな。

ウイルスに関しては、不安になるのは一番よろしくなさそうですよね。
他人のすることにケチをつけても仕方がない。
ハイッ、あらよっ!ってウイルスを退治してくれるようなスーパー職人みたいな存在に頼りたくなるんだけど、残念ながらそんなものはないわけで、自分で自分を守るしかない。
むしろ、入ってきたウイルスを退治する上でも免疫力を高めておくことが大事なんじゃないか、と。
ポップな音でも聴いて、明るい気分をキープするとかね。
なんて無責任な感想を呟いておくことにする、そんな令和二年の閏日でした。






明るい旅情

【対蹠地】
対蹠地(たいせきち)は、地球あるいは他の天体上で、ある場所とは180°逆に位置する場所である。
地球においては俗にいう「地球の裏側」である。
対蹠点とも言う。
数学では3次元のいわゆる球以外の、抽象的な球面に対しても対蹠点という表現を使う。
(Wikipediaより)

後輩の女の子が、一週間の休暇を利用してパタゴニアへ一人旅に行って来たと聞いた。
「パタゴニアって!?また遠いとこまで。」
「片道23時間でしたかねぇ。」
「ロサンゼルスからブエノスアイレス?」
「いや、ダラスってとこで乗り換えてチリのサンチアゴでもう一回。」
「よー一週間で帰って来れたなぁ。地球の裏側やん。」
「はい。」
「で、パタゴニアって何があるの?」
「・・・自然。。。」
まぁ、ちょっと変わった子ではあるんだけど。



緯度と経度が正反対の場所のことを「対蹠地」と呼ぶということを、僕は池澤夏樹さんのこの本で知った。

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明るい旅情 / 池澤夏樹

対蹠地。対蹠点。
東京の地理的な対蹠点はウルグアイの東、ラプラタ河口の沖合いになる。
池澤さんは、自然地理的な意味ではなく人文地理的な意味での対蹠点として、スーダンのジュバへ向かう船での経験のことを「ジュバへ行く船」という文章で書いている。

気候、人口、文化、あらゆる点で日本と正反対の場所としての土地と景色。
まだ作家になる前の若い頃、ナイル川の源流をたどる旅を企てたのだそうだ。
エジプトのポートサイードからスーダンのハルトゥームまでは列車で行けたものの、そこから先の交通手段は飛行機を除けばナイルを遡行する船しかない。船といっても大型客船などではなく、最短でも11日を所要するという。
このあたりの上流になるとナイルは広大な湿地帯の中で季節ごとに流れを変える細い流れになっていて、船から見える景色はひたすらパピルスがそよぐ湿原のみなんだそうだ。画面の2/5のところに線を引っ張って下にパピルス、上に空、それだけの風景の中を10日以上船で揺られる。
「人間の世界」ではなく「人間と世界」という構図で物事を観る上で揺るがない定点として存在している風景。
池澤さんにとってこの旅は後々に大きな意味を持ったようで、いろいろ考えることを一度はあの景色の中に置いてみて、あそこでも通用するものなのかどうかを考えてみるのだそうだ。
そうすることで見えてくるものというのは確かにあるのだと思う。

対蹠点。
どうしてそんな遠いところまで?というパタゴニアへの彼女の旅も、きっと対蹠点を探しに行ったのだと思う。
僕も若い頃にそういう旅をしたことがある。
大学を卒業して最初に入った会社を二年半で辞めて無職になった僕は、その年アメリカ横断の旅に出た。それはそれで貴重な体験だったのだけど、一方で日本と同じように毎日過不足なく暮らせてしまうことに少し不満も残ったのだ。
もっと強烈にカルチャーショックを受けるような場所へ身を置いてみたい、そういう思いがふつふつと湧いて、翌年にエジプトやイスラエルの旅に出かけていったのだった。
あの土地での人間の生き方は濃くて強かった。
コンビニへ行って商品を差し出せば無言で買い物ができる国と、買い物のたびに価格交渉をしなければいけない国の違い。
雑然としたバザール、埃っぽい街路、モスクから大音響で流れるアザーンの朗唱。
360°の地平線と満天の星。
暑苦しくて理屈っぽくもフレンドリーで、生きることにとことんしたたかな人々。
そういう経験は確かにその後の生き方の選択にそれなりの影響があったと思う。



今思えば、旅だけじゃなくって、無職だった時期そのものが対蹠点探しの時期だったのかもしれない。
自分と違う価値観の人たちの中でどうふるまうべきか、どう渡りあうか。
最初の会社の退職金が尽きてからは、いろんなバイトをした。職種を選んでる余裕なんてなかったから、昼夜交代制の自動車工場のラインでの期間工や、工場現場の日雇い人足や、もうちょっとヤバいやつとか、そんな仕事をたくさんした。
それも今思えば、自分が普通に育ってきたものとは違う世界を経験しておきたかったということだったのかも、と思う。
そのときそんなふうに考えていたわけではないけれど、他の人たちと同じようにやっていても世の中の強靭なシステムには太刀打ちできそうにない、システムの外側からの視点を知っておかないとシステムにまきこまれてしまう、と無意識に感じていたのだろう。
あるいは自分という人間が社会のどのあたりの座標にいるのかを身を持って行った再確認。
一度底辺までおちてしまえば、意外と怖いものなんてなくなったりするものなのだ。

対蹠点を知っておくことは、今の自分のいる場所だけが絶対ではないことを知るためには有効だと思う。
自分を対象化して客観的に観る視点を養うという意味でも、有意義なことだった。
なんて、今になってつくづくそう思うのです。



エジプト、イスラエル、トルコでの体験談はこちらをどうぞ。

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Author:golden blue
“日々の糧と回心の契機”のタイトルは、好きな作家の一人である池澤夏樹氏が、自身と本との関わりを語った著書『海図と航海日誌』の一節より。
“日々の糧”とは、なければ飢えてしまう精神の食糧とでもいうべきもの。“回心”とは、善なる方向へ心を向ける、とでもいうような意味。
自分にとって“日々の糧”であり“回心の契機”となった音楽を中心に、日々の雑多な気持ちを綴っていきたいと思います。

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